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#INTERVIEW 博報堂プロダクツ × SHOOTING

「ビビビ」ビューティ・コラボレーション企画 vol.01

2023年12月15日

博報堂プロダクツ × SHOOTING 「ビビビ」ビューティ・コラボレーション企画 vol.01

博報堂プロダクツのメンバーが中心となって、「ビューティジャンルにおけるビジュアルクリエイティブの活性化」を目指すために活動しているプロジェクト「ビビビ」。
言葉通り「ビビッ」っと感性に響くビジュアルを探求、提案していくクリエイティブチームだ。

今回、社内外のクリエイターとコラボしながら、刺激的な「ビューティ」を提案していくコラボレーション企画第1弾として、博報堂のアートディレクター榮良太さん、フラワースタイリストYuusuke Ishiiさんらとビジュアルを制作。被写体は俳優、モデルとして活躍している宮沢氷魚さんに依頼した。

「ビューティ=女性」と思いがちの面もあるが、なぜ男性を起用したのか。いまの時代の「ビューティ」とは何なのか。制作メンバーで座談会を行った。

座談会メンバー:(上写真左から)
岡 祐介(photographer) 宮武佑弥(producer) 伊藤 亮(retoucher) Yuusuke Ishii(flower stylist)
Featuring:宮沢氷魚(actor, model)
Interview:坂田大作(SHOOTING編集長) Text:福田紀子 Photo:多田美久璃(博報堂プロダクツ)

坂田 2022年10月から、「ビューティ」ジャンルにおけるビジュアルクリエイティブの活性化を目指すことをコンセプトにしたプロジェクトチーム「ビビビ」が発足し、昨年末には展覧会も開催しています。今回は、社内外のクリエイターとコラボしながら、刺激的な「ビューティ」を提案していくというコラボレーション企画の第1弾でした。

 アートディレクターの榮 良太さんとは普段から「絶対美」についてよく話していたのですが、話すたびに「花」に行き着いていたんですよ。花は一瞬の輝きや煌めきがあるけれど、いずれ色が変わりしわしわになって朽ち果てていく。人と共通している部分が多いよねって。「ビビビ」の3つのメッセージ&バリューである「絶対」「連続」「探究」を表現、提案するコラボ企画のモチーフには「花」が最適なんじゃないかっていうことで、花を使った「ビューティ」のビジュアルクリエイティブを目指すことになりました。

ファーストカットは自然光のみで撮影。

さまざまなテーマのアイデアが出てきた中で、メインテーマを「人生花 HITOIKEBANA」に据えて、その人をイメージした花を生けることによって、その人の内にある魅力やエネルギーを可視化し、その人が持つ“生命力”を表現したいと考えました。今回の撮影のポイントになるのですが、人は花として撮り、花は人のように撮っていこうと終始気をつけていましたね。

AD:榮 良太 Photo:岡 祐介 flower stylist:Yuusuke Ishii ST:庄 将司 HM:吉田太郎 Retouch:伊藤 亮 Pr:宮武佑弥 Model:宮沢氷魚 https://bibibi-photocreative.jp/

坂田 男性である宮沢氷魚さんにオファーした理由を教えてください。

 彼の持つ圧倒的な透明感に惹かれました。クリアな感じがすごくいいなって。以前、あるファッション誌で終わりのある美しさについて語った記事を読んだことがあって、グローバルな観点を持ちながら、自分自身と闘う20代を過ごしてきた氷魚くんに「花」、「死」を演じてもらうことで、「花の持つ儚さ」や「終わりのある美しさ」を表現できるのではないかと思ったんです。

Ishiiさんが準備した大小さまざまな生花。現場でスタッフと話しながら何をどのように使うか、その場で決めてアレンジしていく。

あと、「ビューティ」というと「肌が白くてハリのある女性」をパッとイメージしてしまいがちですが、もう少し幅を広げたくて。「ビビビ」の考え方でもあるのですが、女性観と男性観、女性の「ビューティ」と男性の「ビューティ」というように分ける必要ってないんじゃないかなと感じることがよくあって、これからのビューティは「それぞれが持つ個性」をより美しく表現していくべきだよなって思ったんです。

博報堂プロダクツ フォトクリエイティブ事業部ロビーでの掲出風景。

その人が持つきれいな部分、かっこいい部分ってひとつだけということはないですよね。誰もが複数持っている。そういった多面性や多様性の部分を表現するには氷魚くんはやりやすいだろうなって思って。すごく女性的だと感じる時もあるし、すごく力強いなと感じる時もある。撮影中も氷魚くんにお願いして良かったなって思う場面が何度もありました。

岡 祐介さん。

ー とことんアイデアを出し合う実験的な現場で起きた化学反応

坂田 フラワースタイリストのIshiiさんにもコラボレーションに加わってもらいました。

 潜在意識を超えた「ビビビなビューティ」を探求するには、モチーフにした花のことを知り尽くしていて、実験的な要素が多い現場で一緒に試行錯誤してくれる人が必要でした。それなら最適なフラワースタイリストがいるからと、宮武くんに紹介してもらったんだよね。

宮武 Ishiiくんとはこの企画の前にも何回か一緒に仕事をさせてもらう機会があって、他のプロデューサーやフォトグラファーからの評価も高い方だったので、ピンときたんですよ。柔軟性があり、フレキシブルに対応してくれる部分も今回のコラボ企画にはピッタリかなと。岡さんが言う「実験的な要素」にとことん付き合ってくれる人だと思って紹介しました。

花ビラのようなヘッドピースなど、現場で「宮沢氷魚=花」をアレンジしていく。 定常光とストロボを組み合わせ、スローシャッターで動き(ブレ)を表現。

 はじめはだいぶモヤッとしたイメージだったから(笑)、Ishiiくんとしては「どうしよう」って思っていませんでした? でもこのコラボ企画では「みんなでアイデアを出し合いながら進めていこうよ」って榮さんとよく話していて。僕自身もそこがすごく重要なポイントだと思っていました。

Ishii 仕事ではありましたが、自由度の高い作品撮りをしているような気持ちで楽しく参加させてもらいました。この企画は事前に固めすぎず、現場で作り上げる方法だったので、テスト撮影の時もかなりの量の花を用意しましたね。

Yuusuke Ishiiさん。

岡 花もただゴージャスな花をセレクトするというよりも、花自体に意味合いを持たせたセレクトを意識してくれていたと思います。Ishiiくんが現場で花を凍らせてみたり、液体を垂らしてみたりと本当にさまざまなことにトライしてくれたから、想像以上の化学反応が起きたんじゃないかな。

Ishii ありがとうございます!

坂田 IshiiさんのInstagramでは他にも「男性と花」の作品をアップされていますよね?

Ishii はい、紹介しています。ただ「男性と花」って結構難しいんですよね。男性でも女性的な部分を感じられる人のほうが茎のラインなど花の繊細な部分に合うと思うので、そういう意味でも氷魚さんは「花に合う」方でした。

 今回の撮影ではキービジュアルを作るつもりはなかったんですよ。最初に撮った自然光の中での作品は「できるだけ手を加えず、アイデアだけで“ビューティ”を表現する」ということを狙って撮影していたのですが、撮りながら「この作品が今回のキービジュアルになりそうだな」という手応えを感じていました。

広告の場合、「ビューティ」でワンカットを撮ることってすごく大変なんですよね。ライティングの妙だったり、被写体の骨格に対してハイライトを作っていく技術だったりいろいろあるのだけれど、ラフに添って“完全美”を作り上げていく広告の「ビューティ」とは別に、パッと見た時に「あ、きれい!」と思える“瞬間的な美”の感覚を求めている人たちもいまの時代はいるんじゃないかなって思うんですよ。

自然光の中で撮ったこの1枚だってちゃんと「ビューティ」になっているよね、というところを表現する上でのカットがこの写真だったんです。特に何も手を加えることなく、ただスタジオのシャッター(搬入口)をあけた自然光だけのカットなのですが、しっかり「ビューティ」になっているよなと感じています。

坂田 少し話が前後してしまいますが、花のセレクトはどうオーダーされたんですか?

 僕自身は花の撮影の経験が多いわけではないので、そこはIshiiくんにお任せでした。テスト撮影時は驚くくらいの量の花や植物を持ってきてくれたよね(笑)。その中で気になった花を剣山に挿してみたり、天地逆に吊るして液体を垂らしてみたり、花の見せ方をいろいろとトライしたことを覚えています。

Ishii テストで花を撮ることによって、それぞれの中でアイデアが出てくることを狙っていたというか。試行錯誤の一歩目という撮影でしたよね。

 そうそう、花の形状や色の見せ方がわかってきたところで、それに見立てて氷魚くんを撮っていこうよ、という方向性が決まった撮影でした。あのテスト撮影はすごく意味があった。

自然光の中で寄って撮ってみたら、緑だと思っていた葉っぱの中に赤や青が混ざっていることに気づいたんですよ。最初から組写真のように見せようと考えていたわけではないんだけど、このワンポイントで効いている葉っぱの赤と、氷魚くんにくわえてもらった赤い花びらがリンクしていて良い感じだなって思って。

振り返ってみると「発見」や「気づき」というものが、花から始まって人のポートレートにリンクしていくような撮影でしたね。

宮武佑弥さん。

宮武 確かヘアメイクの吉田さんがアラーキー(荒木経惟)さんの世界観の話を出してきてくれたんですよね。その場にいた全員が同じ方向を向けた瞬間だったというか、意見が合致したというか、そこから加速度的に撮影の本筋が決まっていって、「この花ならこういう服を着せたいよね」など、どんどんアイデアが出てきました。

「人生花 HITOIKEBANA」、「花を使わずに花を表現する」、「ポートレート」という3軸で、その人の内にある魅力やエネルギーを可視化して、人間の“生命力”を表現していこうということになったんだよね。

宮武 そうでしたね。Ishiiさんが出してくれた背骨に見立てて胡蝶蘭を使うアイデアもすごく良かったです。軸が決まったことでいろんなアイデアが出てきて、化学反応が起きてるなあと感じていました。

Ishii ありがとうございます!

 ちょうど氷魚くんが舞台をやっている時期の撮影だったんですが、舞台中にできたアザが氷魚くんの生き様のようにも感じられて、そのままを撮らせてもらったんですよ。この撮影では、そういう生き様の部分も含めて「美しい」という表現にしたくて。

伊藤 だから敢えてアザの部分のレタッチはしていないんですよ。花もだんだんと褪せて退色していきますが、そういう部分でのリンクを感じてもらいたいですよね。

ー 限られた時間の中だからこそ出てきたジャストアイデアと想像を超えた「探求」

坂田 顔を布で覆って、布と同じ色のカラーを服の中に入れたカットもとても印象的ですが、どんなイメージやきっかけがあったのでしょうか?

宮武 スタイリストの庄さんとヘアメイクの吉田さんがその場で氷魚さんの顔を布で覆い始めたんでしたよね?

 そうだったね。でも花の見せ方はまったく違っていて、最初は腰あたりに吊るしていたんだよ。撮り進めていくうちにIshiiくんが氷魚くんの胸元に花を挿し始めて、布で覆った顔のまわりを花で囲んでくれて。それを見て、みんな「いいね!」っていう感じになって。胸元に花を入れたことで全体がより花っぽくなったなと思いました。

Ishii 氷魚くんに寄って撮っていたので、顔のラインに合わせて花を生けたほうが合うなって思ったんですよね。

宮武 それこそ「人生花」で、人に花を生けている感じが出ていて良かったですよね。実験的でライブ感があり、すべての要素がうまく絡み合ってビューティーフォトに昇華した瞬間でした。

坂田 まさに「ビビビ」のメッセージ&バリューのひとつである「探求」ですね。それぞれの立場でいろんな材料を持ち寄りつつ、セッションして生み出した「美」だったんですね。

岡 広告の場合、ロジックに合うように考えて整えていく能力も必要なので、時間をかけて撮っていると無意識に整えようとしてしまう部分があるんですよね。でも今回の撮影は20〜30分のショット感覚で香盤表を作っていたから、限られた時間の中でみんなのジャストアイデアがはまると想像を超えた「探求」になってすごく楽しかったです。時間が限られるというのも意外と大切なんだなって思いました。

伊藤 亮さん。

伊藤 俳優の方に布をかぶせて大丈夫なのかなって考えてしまいがちですが、氷魚さんや所属事務所の方たちもそういうことを楽しんでくれていた雰囲気がありましたよね。氷魚さんも含めて「みんなでモノづくりしていこうよ」という気持ちが感じられる写真でした。

 このカットはラストに撮影したものなんですけど、ヘアメイクの吉田さんが氷魚くんに霧吹きをかけまくっていて、氷魚くんがものすごくビショビショになっていたんですよ(笑)。

しかも「ビューティ」を撮る時はこんなにセンターが落ちたライティングはしないんですけど、Ishiiくんが凍らせてくれた花とのリンクやビショビショに濡れた感じが逆に氷魚くんの透明感を引き出せていたと思うんですよね。

伊藤 グリーンのかぶり方といい、下手するとホラーっぽくなってしまいかねないライティングだったと思うのですが、濡れたツヤ感が花とリンクしていて実験的かつ印象的な1枚ですよね。

宮武 この背景の植物も効いていますよね。車の荷台いっぱいにこの植物を乗せてきたIshiiくんのセンスに脱帽でした(笑)。

 本当に脱帽だったよね! 僕からは「こういう植物を用意して」なんてオーダーできないですよ。それこそコラボの妙だと思いました。

Ishii ありがとうございます! 長さのある葉っぱで流れを作ることで、全体がまとまるんじゃないかなあと思いながら立ち会っていました。

全身に水滴を吹きかけシズル感を出した撮影。キノフロにグリーンフィルターをつけ、サイドから挟み込むライティング。

 小さな花畑の中に立ってもらったカットでは、引きで撮りながらビビッとくる見せ方を探していたんだけど、なかなか全員の熱量が上がるようなカットが撮れなくて。そんな時に榮さんがジャストアイデアを出してくれて、花で顔が隠れるほど寄って撮ってみたんですよ。

氷魚くんの繊細さと、花の儚さや生命力が感じられて良かったよね。自分ひとりでは撮れなかったと思うので、コラボの醍醐味が詰まったカットです。

ローアングルから撮影。ランダムにくり抜いたプレートで光のムラを作っている。

ー「ビビビ」では「美」の多面的な表現に挑戦し続けたい

坂田 いまのビューティ広告、ビューティ市場をどのように見ていますか? ビビッときているもの、気になっているものなども教えてください。

伊藤 いまの時代は王道の「ビューティ」もありつつ、パッと見て直感的に「きれいだな」と感じる「ビューティ」も求められてきているのではないかなと思っています。男性だから女性だからという区別の仕方ではなく、本質的な美というものが求められてきているように感じていて、レタッチをする際もただ肌をツルツルにするのではなくて、「琴線に触れる美とは何か」ということをかなり意識しています。

 肌をきれいにすることだけが「ビューティ」ではないんだよね。その人が持つ内面的な魅力や生命力をさらに引き出すことが重要で、LGBTに対する理解が進んだことで自分の目を通して見て感じたことを怖がらずに意見する人も増えてきているように感じます。

いままでは「美とはこういうもの」という教科書的な美しさがあったけど、そこから外れたとしても「きれい」だと感じたことを正直に言える世の中になってきていて、「ビビビ」として探求していくべき方向性はそこにあるのかなって思っています。

伊藤 モノクロの男性的なトーンの氷魚さんのカットでは、これから30代を迎える男性をより魅力的に見せるためのレタッチってどういうものなんだろうって悩みながら、試行錯誤しながら作業していました。男性の場合は毛穴が渋さを出すので、左頬の毛穴のレタッチはかなりの時間をかけています。

 本当にこだわってレタッチしてくれていたよね。ありがたい限りです。「ビューティ」のレタッチって内面の魅力を引き出すためのアプローチと、肌の美しさを追求するためのアプローチがあるけど、「ビビビ」の考え方としては前者のアプローチで挑戦を続けていきたいですよね。

伊藤 今後の「ビビビ」のコラボ企画でもきっとそうなると思います。僕自身、広告の仕事でも最初からレタッチで仕上げすぎないようにもしていますね。最近では「過度にレタッチしてほしくない」というクライアントも増えてきているんですよ。

 クライアント側から戻しがくる前提ではあるけど、僕らが考える「きれい」を一旦提示してみることって大切だよね。「ビビビ」の考え方を仕事にも入れることで「美」の多面的な表現につなげていけたらと思う。

こうやって組写真のように並べて見ていくと、Ishiiさんの花の選び方も「ビビビ」の考え方にしっかりリンクさせてくれていたのがわかって嬉しいです。

Ishii 鮮度の高い花ばかり選ぶのはちょっと違うのかなって思っていたので、萎んで形状が崩れかかっているものもわざとセレクトするようにしていました。

 そうなんだよね。これまでの美しさの概念って花に例えると、咲いたばかりの水分をたっぷり含んだ花の美しさにばっかりフォーカスしていたけど、「少し萎んだ花の美しさもまた良いよね」って意見できるようになってきたのが、いまのビューティだと思っていて。

その企画意図をよく理解した上でのフラワースタイリングだったから、「ビビビ」らしい刺激的な「ビューティ」=「ビビビなビューティ」に仕上がったんだと思います。

坂田 AIなどテクノロジーの進化とビューティ表現の関係性についてはどう捉えていますか?

 AIがすごいのは認めざるを得ないですよね。でも内面的な魅力やレタッチポイントなどAIには判断できないところを僕らはたくさん判断できているんじゃないかなとも思うんですよ。だから写真を撮って形にしていく仕事はこの先もなくならないと信じています。

Ishii 花の仕事に関してもテクノロジーの進化とはあまり関係がないかもしれないですね。花には生花だけでなく、ドライフワラーやプリザーブドフラワーなど人工的に手を加えて表現するものもありますが、最近は何も手を加えずに放置して、時間の経過だけで花を枯らすこともしています。そのほうが手を加えるよりも自然な美しさを残すことができると思うんですよ。

種子から始まって、美しく花開き、最後は退色して朽ちていくという流れが人間の一生に似ている。萎れて曲がったラインや朽ちて折れ曲がったラインを美しいと感じられるのは、人間だけが持つ感性かなって思うんですよね。

 人が手を加えて作ったラインの美しさももちろんあるとは思うんだけど、何も手を加えず自然にできたラインの美しさもきれいだと言えることって、最近の傾向なのかもしれない。

サボテンをイメージしたかのような衣装。左サイドからブルー、右後方からマゼンタのフィルムを装着して撮影。ポップな印象にした。

ー「美」が身近にある若い世代が作り出す表現の可能性

坂田 最後に、皆さんが考える今後の「ビューティ」を教えてください。

宮武 僕よりも下の世代の人たちは、男性でも当然のようにメイクを楽しんでいます。そういった美が身近にある若者が作っていく「ビューティ」がどうなっていくのかを見るのがいまから楽しみです。

昭和初期の「ビューティ」と、僕たちがいま、令和初期に作っている「ビューティ」を比べると一般の方でもその違いを感じることができると思います。10代の若者たちがアートディレクターやフォトグラファーになって「ビューティ」を表現するようになった時に、僕たちの令和初期の「ビューティ」を見て何を感じてくれるのかにも興味があります。

 わかるなあ。80年代の「ビューティ」って、例えば日差しの強い海外に女優やモデルを連れて行って、強いシャドウが顔に落ちた表現の日焼け止め広告のイメージがパッと思い浮かぶんだけど、「こんな強い日差しでも大丈夫」ということが瞬時に伝わってくる力強いビジュアルでしたよね。

でもいまの「ビューティ」ではそういう撮り方はしない。AIで背景を作ってストロボやライティングで良いバランスを取りながら撮っていくと思うんだけど、どちらが正しいとかではなくて、ライティングの流行りや時代の空気感を感じて作り出した「ビューティ」が結果的にこういうビジュアルになったというだけのことなんだよね。だから次の世代が時代をどう捉えて表現していくのかを、好奇心を持ってそばで見ていきたいって思うんですよ。

宮武 ファッションと同じように「ビューティ」にもサイクルがあるから、1周まわって80年代のリアルな表現を次の世代の人たちが良いなと感じたら、そういうビジュアルクリエイティブの流行りがまたくるかもしれないですよね。

伊藤 レタッチャーの立場としても「ビューティ」のビジュアル表現がどう変化していくかは楽しみです。世代によって価値観って違うものなので、どんな価値観にもどんな表現にも対応できる技術力、懐の広さを持ったレタッチャーでありたいですね。本能に訴えかけるようなレタッチをしていきたいです。

 めちゃくちゃ熱いレタッチャーだね(笑)。

伊藤 ありがとうございます(笑)! でもレタッチってちょっとしたことで被写体の表情やその人らしさがガラッと変わってしまう部分があるので、フォトグラファーが撮ったものをより良い形に仕上げられるように、ということは常に意識しています。

最近は「男性を美しく見せる」という仕事も増えてきているので、新しいことにチャレンジしながらビジュアル表現の領域を広げていきたいですね。

Ishii 「ビューティ」にとっての花って使いやすいモチーフだと思うのですが、単純に花を添える見せ方だけでなく、花の繊維にフォーカスしたビジュアル表現も面白いんじゃないかなって考えています。花は寄っていくことで別の生き物にも見えたりするので、今回の撮影では考えていた表現に近いことをやらせてもらえてすごく楽しかったです。

 そう言ってもらえてよかった! 僕が思う最近の傾向としては、若い人たちを中心に男性でも女性でも自分のメンテナンスをしっかりしている人が増えてきているよね。いまでは僕くらいの世代の男性でもメンテナンスを楽しんでいる人は珍しくないですし。

これだけ激変している業界ってそんなにないし、それに対する写真表現やビジュアル表現もどんどん変わっていくと思うので、もっともっと面白くなっていくと思うんですよ。今後の「ビビビ」のコラボ企画でも若い世代が中心となって表現の幅を広げていってくれると思うので、楽しみにしていてほしいですね。

岡 祐介/Yusuke Oka (Photographer)

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1980年生まれ。東京都出身。2004年、博報堂フォトクリエイティブ(現・博報堂プロダクツ)入社。フォトグラファーとして、広告写真をはじめ、さまざまな写真領域で活動。

宮武佑弥/Yuya Miyatake(Producer)


1995年生まれ。東京都出身。2019年、博報堂プロダクツ入社。フォトプロデューサーとしてさまざまな撮影を担当する。

石井祐輔/Yuusuke Ishii(Flower Stylist)


1996年生まれ。埼玉県出身。大学在学中からフラワーアーティストに師事し、2019年に独立。独学でプロップスタイリングを学び、フラワースタイリング、プロップスタイリング、セットデザインを行い、ディスプレイや展示会装飾も手がけ、今に至る。

伊藤 亮/Ryo Ito(Retoucher)


1981年生まれ。長野県出身。大学卒業後、デザイナーの経験を経てレタッチャーに転身。2013年、博報堂プロダクツ入社。

博報堂プロダクツ 「BiBiBi ビビビ」
https://bibibi-photocreative.jp/

Instagram「BiBiBi ビビビ」
https://www.instagram.com/bibibi_team/

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