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#INTERVIEW 北岡弘至(レタッチャー)インタビュー 

2023年3月1日

北岡弘至(レタッチャー)インタビュー 

「レタッチャー」という職種は、写真関係の仕事に携わる方はほとんどが知っているはずだ。しかし、いざ「レタッチャーになる」にはどうすればよいのだろうか。

フォトグラファーのように、写真や撮影の技術を学べる学校やワークショップなど選択肢が多岐に渡るのとは違い、「レタッチとは何をするのか」「どこで学べば道が開けるのか」、すでにプロとして仕事をしている人以外は、意外と情報が少ないのが現状だ。

SHOOTINGでは毎年「SHOOTING PHOTOGRAPHER + RETOUCHER FILE」という年鑑書籍を発行している。そこでこのファイルでも紹介しており、独立して22年目を迎えるレタッチャーの北岡弘至さんに、改めて「レタッチの仕事とは?」「レタッチャーに求められる要素とは何か」等を、レタッチや画像処理の歴史を振り返りながら、話を伺った。

Interview:坂田大作(SHOOTING編集長)
 
 
坂田 北岡さんがレタッチャーという職業に就かれるまでの経緯を教えてください。

北岡 僕が画像修正、画像加工を始めた当時は「レタッチャー」という言葉がまだありませんでした。

最初はアルバイトでデザイン業界に入りました。その会社にワークステーションの「PAINTBOX」が導入されていたんです。

坂田 おおっ、懐かしい(笑)。クォンテルの「Graphic PAINTBOX」ですね。島精機製作所「HYPER-PAINT」等、当時はハイエンドの画像処理マシンがありましたね。

北岡 そうなんです。PAINTBOXが会社にあって、それがデジタル合成の走りでした。他にこのマシンを持っていたのは、光洋カラーやフォートンなど、写真業界では数社だけじゃないかな。

北岡弘至さん。

数千万円もする大そうなマシンがあった割には、デジタル合成だけでは食べていけない時代でした(笑)。需要がそれほどなかったんでしょうね。

私が所属していたデザイン会社は、デザインから版下、印刷、納品までワンストップで行える会社で、入社当初は何でもやっていました。製版会社に原稿を持っていったり、印刷物の納品や、パンフレットを何千部と搬入したり…。

そのうちに物を運ぶだけではなく、「出来上がりを見てきてほしい」と、いわゆる“品質管理”のようなことを任されるようになって、現像や印刷、製本の工程、刷り上がりのチェックなどを行うようになりました。

会社としても「将来を見越してデジタル部門を強化しよう」ということになり、僕は営業に配属になりました。

坂田 入稿から納品までの流れを知っていると、営業的にも説得力がでますね。

北岡 そうです。顧客の所へ出向き、「こんな合成をしたい」という意向を聞き、原稿を預かってきて、当時はフィルムやプリントでしたが、それをスキャニングしてオペレーターに渡して調整後に納品する、という流れでした。

ただしばらくして、オペレーターが辞めてしまったんです。新しいオペレーターが入ってきたのですが、どうしてもいいものが上がらないんですよね。

前任者なら「こういうイメージなんです」という事を伝えたら、それがポンポンと具現化され、出てきたものを見せればクライアントが満足する流れだったのが、一から十まで言わないとダメになってきて…。

顧客と話をしてきて「絵」は僕の頭の中にイメージとしてはあるんですね。それを伝えても伝わりづらいので、ベースの合成までをオペレーターにやってもらい、それをMacで使えるデータに変換後、僕がPhotoshopで調整して納品する形にしました(笑)。

坂田 オペレーターの力量や相性にもよりますが、イメージを伝えるよりも自分の手でやってしまった方が早かったのですね。

北岡 そうなんです。その頃はWebやインターネットがなかった時代で、僕にとっては「Photoshop A to Z」という書籍がバイブルでした(笑)。赤を増すのはトーンカーブのここを触って、みたいな感じで触りながら覚えていきましたね。

徐々にスキルが上がってきて、気がつくと自分の担当顧客は自分でレタッチから納品まで全てこなしていました(笑)。

製版工程がデジタル化されたPhotoshopのツール

坂田 ハウツー本はありながらも、ほぼ独学だったのですね。

北岡 そうです。手探りで覚えていきました。ただ今の若い人たちが恵まれている部分と、僕が恵まれていたなと感じる部分は少し違います。

当時は、Photoshopの機能って、ラボや製版業務と直結していた部分があって、例えば「覆い焼き焼きツール」とかって、今の人はわからないと思うけれでど、あの形はラボや個人が暗室などで実際に「覆い焼き」をしていたものからきているじゃないですか。

暗室の引き伸ばし機で、印画紙への露光を遮ってトーン調整するのが覆い焼き。
©︎ tokyo-photo.net 銀塩ウェットプロセス★モノクロ写真より
http://darkroom.tokyo/

製版部門の人がネガを切って合成していたのが「切り抜きツール」のアイコンだったり、マスクやエアブラシツールもそうですね。自分たちがリアルの道具として使っていたものがそのままデスクトップのツールになっていた時代だったので、イメージしやすかったです。

「これをするために何を使うか」というアナログの作業工程をデジタルツールに転化すればよかったわけです。合成作業に慣れるという点ではスムーズでした。むしろ今の方が機能が増えすぎて、わかりにくいかもしれません。Photoshopは、僕も全然使っていない機能があります。

KURIMOTO『クリモトグループ 企業広告』
CD・AD:株式会社ADKクリエイティブ・ワン 松本明 D:株式会社balance 島田智之
(以下、レタッチは全て北岡さん)

ある時、仕事を頂いてきて自分で作業して、納品から請求書まで発行していると、「これ全部一人でできるな」とふと思って、独立しました(笑)。

坂田 スキルは身につけても、独立するのは勇気がいりますよね。

北岡 そうですね。でも30代だったので、もし食べられなくても何とかなると思っていました(笑)。それに画像合成を引き受けるのは、アマナや光洋カラーなど会社としては数社ありましたが、個人ベースではまだ少なかったですしね。

レンタルスタジオにはそういう機能はなかったですが、イイノ(メディアプロ)さんあたりも、フォトグラファーの声を聞くようになって、比較的早くレタッチ部門を立ち上げていたと思います。

画像処理ワークステーションから、MacとPhotoshopの時代へ

坂田 PAINTBOXやHYPER-PAINTなど、何千万円という高額製品がある中で、MacとPhotoshopが徐々に浸透し、「画像処理」から「レタッチ」「レタッチャー」ということで仕事内容も言葉も変わってきた気がします。

北岡 そうですね。Macの処理速度の進化、Photoshopのバージョンが上がるたびに仕事で使える道具になりました。特に1994年の「バージョン3.0」からレイヤーが実装されたことで、レタッチの自由度が急激に上がりました。

独立した頃はまだフィルムカメラが主だったので、デジタルデータ化については製版会社やラボに「フィルムスキャン」を頼んでいました。

ただPAINTBOXがMacになったように、スキャナも印刷会社が所有するような大型機器からフレックスタイトのように何百万円クラスの製品が出てきて「まだがんばれば買えるかな」、というところまではきていましたね。

一時的にフレックスタイトは重宝しましたが、そこから先にデジタルカメラが出てきてからはあっという間にデジタル撮影になっていきました。

レタッチャーとはどのような仕事なのか

坂田 仕事のキャリアを積むとあたり前のように感じてしまうので、改めて素朴な質問になりますが、レタッチャーは何をする職業なのでしょうか。

北岡 一言でいうと、デジタルになった画像を修正したり合成したり「調整」をすることで、「最終的な目標に向けたビジュアルを作る人」でしょうか。

昔は「修正屋さん」と呼ばれていました。最初にビジネスとして成立したのは「写真の修正」だったからです。「電線を消す」「人の肌のキズを消す」とか。そこから「一枚絵の写真を作る」という仕事になって今度は「合成屋さん」と呼ばれました(笑)。

そのうち「薄曇りの空を青空にする」ということができるようになって、こんな事ができるなら「新しいイメージが作れるのではないか」と、アートディレクターやフォトグラファーが気づいて、レタッチという仕事が、今のように「イメージをつくる人」という位置付けに変化していきました。

着物『Ondine』
client=Ondine

細かく見ると、修正ばかりしている所、商品の切り抜きや合成ばかりやっている企業もありますし、フォトグラファーと組んでイメージを作る人もいるしその範囲は広いですが、僕の場合は、クライアント、アートディレクター、フォトグラファーがイメージするものを「最終的にまとめ上げて着地させる仕事」だと思っています。

それには自分(の好み)を出し過ぎてもいけないし、出さないと呼ばれなくなるという、難しさもあります。

坂田 クリエイターとオペレーターの間というか。

北岡 そうですね。そのバランスが求められます。僕の感覚では、ラボでやっていたこと、製版やエアブラシの会社がやっていたことを「まとめて自分が担っている」という感じですね。

「レタッチャーが介在する」ことで、昔はデザイナーも企業も、依頼して上がってくるまで仕上がりがわからなかったものが、今は隣にいて「一緒に作り込んでいける」というように変化したことが大きいと思います。

坂田 ゴールまで、過程を可視化しながら進めていけるメリットは大きいですね。ネットでもリアルな媒体にしても、レタッチャーは世の中に最終的なビジュアルを送り出す重要な役割ですね。

北岡 そうですね。紙媒体の場合は、その後に製版・印刷の工程がありますが、そこに送るフィニッシャーなので、「やりがい」も「しわよせ」も両方あります(笑)。

坂田 でもそれがあるから、単純に電線を消すとか、そういうことではない仕事の質を求められているわけですね。

レタッチャーになるための方法とは

坂田 レタッチの仕事に就くためにはどのような方法があるでしょうか。私のイメージでは、写真やイラスト(絵画)、3DCGなど、絵を作ることに興味がある人が入ってきている印象です。

北岡 だいたいその通りだと思います。たまに写真学科の学生たちが、僕の事務所に見学に来ることがあります。その中には「レタッチに興味があって、卒業後にレタッチャーになりました」と連絡を頂く人もいます。

あとスタジオアシスタントとして働いている人で、フォトグラファーではなくレタッチャーとして制作会社に入る人もいます。デザインの勉強をしていて、カンプを作るのが楽しくなってそこからレタッチャーになったり、製版会社に務めていたとか、ルートは色々ありますね。

いまの若い人はデジタルネイティブなので、Photoshopを触っている人なら技術的にはそこまで高くなくても、レタッチャーとしての入り口には入っていきやすいんじゃないかな。

坂田 そうですよね。フォトグラファーに師事したり、スタジオのアシスタントは、昔は機材周りだけだったものが、今は撮影後のデータ整理やレタッチもアシスタントがするパターンもありますね。

レタッチャーに求められる要素

坂田 写真を学んでいる人がレタッチャーになることもありますが、必要な要素って何でしょうか。

北岡 写真や光を知っていることはメリットにはなりますね。素材がたくさん来る中で、「どういう意図でこのカットを撮っているのか」という面ではおそらく強いと思うのですが、最終的にはそこまで重要ではない気もします。

一番大事なのは、その人の「想像力」と「コミュニケーション能力」です。

アートディレクターやフォトグラファーが「どのような仕上がりを求めているのか」を、コミュニケーションをとって伝えてもらう。それがどのようなものか「イメージができるかどうか」そこが大きい。イメージさえできれば、そこに到達するために様々なツールを使えばいいんです。

HONDA NBOX
A&P=サムライ+dentsu、JC spark CG=オムニバスジャパン PM=東北新社

坂田 「相手が求めているもの」への理解力が重要なんですね。

北岡 「この光のあたり方はおかしい」「こんな風には反射しない」とか、光に関しての知識はあるといいかもしれませんが、ビジュアル制作においては「敢えて嘘をつく」ということもあるじゃないですか。そのため専門知識よりも「3つ伝えれば10わかる」という理解力が最も重要です。

坂田 逆に捉えれば、理解力に長けていれば、ツールというか技術は何とかなる、ということでしょうか。

北岡 そう思います。学生たちには「Photoshopとかの知識に関しては、僕よりも君たちの方が詳しいかもしれない。でも仕事での理解力とか細かいディテールまでイメージして仕上げることが出来るかどうかに違いがある」と話しています。極端な話、ペンツールとブラシ、トーンカーブが駆使できれば、大体のことはなんとかなります。

坂田 技術的なことは、何とかなっていくものなんですね。

北岡 そうです。「こんなことをやりたい」と思えば、それを様々な方法で調べれば、できるようになります。ただ「こんなことをやりたいな」がなければ、覚えられないんですよ。

坂田 レタッチャーの中には、広告制作会社や撮影プロダクションを経て、独立される方も多いですね。

北岡 その場合、大手で技術を学んで、というよりもその会社で色々な人と知り合えた、人脈を培うことができた事の方が、メリットとしては大きいはずです。

レタッチをする上で心がけていること

坂田 北岡さんが仕事をする上で、意識されていることは何ですか。

北岡 カッコよくは言えないですが「役に立つように、一生懸命向き合うこと」でしょうか。

例えば合成ものや物撮りの場合、できる限り現場に立ち合わせて頂いています。自分がいることで「それは後でできるから」というアドバイスで撮影の工程が少し楽になったり、逆に「こういうカットが撮れれば仕上がりがさらによくできます」といった、お話をさせて頂くことも、その一つかな。

レタッチという仕事は僕の「作品作り」ではありません。広告でもエディトリアルでも、目的に向かって、よりよいイメージを作るお手伝いですから。

坂田 撮影現場の立ち会いはよくされるのですか。

北岡 スケジュールが調整できれば、なるべく現場に行くようにしています。その場で「仮レタッチ」をすることもあるし、そのような時間がない現場でも、行けばみんながどのような熱量、方向性で撮影をしているのかが共有できますから。

『法廷遊戯』[映画]
©五十嵐律人/講談社 ©2023「法廷遊戯」製作委員会

坂田 北岡さんの仕事を拝見していると、人物や小さな商品から車まで守備範囲が広いですよね。どのジャンルにも強い感じがします。

北岡 肌とか合成とか、ブツが得意とかはないです。そもそもジャンルがない頃からやっていた、というのがあるかもしれません(笑)。人もブツも車も好きなので、特にジャンルに偏りがないとも言えます。

坂田 どんなジャンルでも相談しやすいですね。

北岡 そういう風に思って頂ければ嬉しいのですが、特色がないのが特徴で、これは「肌ものだから北岡さんに」という依頼の仕方はないですね(笑)。

最初から「肌だけ」とか、「合成が得意です」とかジャンルを絞るのではなく、まず自分自身が、色々なものに興味を持つことが大事ですね。専門性はそのあとから見えてくるものもありますから。

着物『Ondine』
client=Ondine

坂田 フォトグラファーは、街中のポスターや電車内の広告など、写真がいいとか、下手だなとか、そういう“仕事の目”で見る人も多いかと思いますが、レタッチャーは、「これは上手い」とか、「仕上げがもうちょっと…」みたいな視点で見られるんでしょうか。

北岡 それはあります。「すごくキレイだな」とか、「どういう風に作っているんだろう」とか。逆に「こんなのでいいのか?」って思う時もあります(笑)。

3DCGやAIとの関係性

坂田 今は3DCGは当たり前で、AI生成された画像や映像が話題です。北岡さんの仕事とはどのように関係しているでしょうか。

北岡 長年静止画中心に仕事をしていますが、企業の中には「Webに転用にしたい」とか、「動かしたい」という要望もあります。その場合、僕の方で作ったレイヤーを渡して、それを他の人が引き継ぐこともあります。動画に関しては、自分でも少しやり始めたところです。

CGは僕がこれからやる予定はないので、CGである程度仕上げてもらったものを「最後にまとめたり、イメージづけをする」というスタンスでやっています。

AI画像は、Photoshopに実装されているレベルだとそのまま使うことはできないので、それで生成したものをベースにして手を加えていくという方法はありますね。CGでフィニッシュまでいくというよりも、最後にはトーン調整などの工程が入るので、レタッチャーが介在する意味はあります。

坂田 最終的には、レタッチャーが細かい部分も調整して仕上げるということですね。

北岡 そうです。「撮影がCGに置き換わった」という考え方です。最近関わった車の広告などは撮影した写真データではなく、CGデータをお預かりして、それをレタッチで詰めていくという流れでした。

CGデータはある意味、すごくキレイなんですよ。でもキレイすぎることもあるし、アピールしたくない所にまで光がまわっていたりとか、そこに手を加えていきます。

CGデータのままだとシャープ過ぎてしまうのでしょうね。ムービーだとそのままグレーディングだけでいけるデータも、静止画だとじっくり見られるので、視覚的な違和感が生じることもあり、それを仕上げていく必要が出てきます。

坂田 PhotoshopのAIを使ったサンプルムービー等を見ると、切り抜きや合成があっという間にできていきますね(笑)。

北岡 スマホのコマーシャルなどもそうですが、画面に写った不要なものを囲むだけで簡単に消したり動かしたりできる、みたいな映像がありますよね。

あれを流されると、僕たちの仕事でも「ピピっと囲めばできるでしょ」みたいなことを思われるととっても困るんです。いやいやと(笑)。

そういう方法もなくはないですが、「少し拡大しただけで粗が出てしまいますよ」って。でも、そう見られがちなんです。レタッチ業界全体の予算が軽んじられるのは危惧しますね。

レタッチ業界のギャランティと営業

坂田 レタッチ業界のギャランテイ、単価って、現状をどう思われていますか?

北岡 おそらくですが、両極端になってきているような気がします。ビジュアルの質を向上させるために必要なレタッチは現状維持か単価が上がっていく傾向で、ミドルレンジ以下は下がってきている気がします。

あと、単純にレタッチャーの人数も増えているので、数が増えるということは、低い単価で請け負う人も出てくるのは確かです。

坂田 フォトグラファーの場合は、ポートフォリオを持参したり、SNSでの投稿を通じて知名度を上げるなど、仕事へ繋がる活動をしていますが、レタッチ業界での課題や、いま何が必要だと思われますか?

北岡 これは日本の産業全体に言えることなのですが、若い人たちがSNSで情報発信していて、仕事のオファーがいくとはいえ、「安くやらせよう」という傾向がある気がします。それは大元の企業がそういう考えなのか、間に入る企業が(大きく)中抜きしているのかわからないのですが…。

色々な物価が上がり、人件費も上がっているにも関わらず、若いクリエイターの報酬って、下がっていっているじゃないですか。フォトグラファーやレタッチャーに限らず、イラストレーターやアニメ界隈など、個人のクリエイターに皺寄せがいっている気がするんです。

若手へのメッセージ

北岡 若手のレタッチャーに対してアドバイスがあるとしたら「人と会うこと」でしょうか。スキルはついてくるものだし、努力で学べるものです。

レタッチャーの仕事が難しいのは、「こんなものをやっています」と言ってポートフォリオを持って営業にいきづらいんです。「世界観」はアートディレクターだったりフォトグラファーが作るので、ポートフォリオを持参しても「こういう仕事に携わりました。安心して仕事を任せてください」という見本にしかなりません。

タレントのBefore、Afterとか、商品のバラ撮りを見せられるかというと、それはフォトグラファーなりの種明かしになるので出来ません。そういう面での難しさはあるので、最低限のスキルがあることを前提に、「人と会って信頼関係を構築していく」ことが重要です。

商材用 加工
「株式会社ビームス / mmts」  (ディレクター:BEAMS 廣町愛子)

これから「レタッチャーを目指そう」という人は、企業に応募してみるのが一番早いかもしれません。博報堂プロダクツやイイノ・メディアプロのような一流の所だけではなくて、小さなスタジオだったり、製版会社でも募集しています。まずは企業に入って、レタッチの仕事や全体の流れを把握するなどキャリアを積むのも手だと思います。

たくさん量をこなす現場よりは、小さな会社やスタジオであっても“クオリティを重視している企業”に、どんどん応募していく方がいいかな。

若ければ、まずレンタルスタジオでアシスタントとして仕事をして、写真や撮影のことを勉強する方法もあります。Photoshopは家で勉強すればいい(笑)。レンタルスタジオには様々なタイプのフォトグラファーがきてその現場を見られます。仕事の進め方、コミュニケーションの取り方も勉強になるはずです。

中堅のレタッチカンパニーだと「経験者募集」になっているとは思いますが、おそらくですが、未経験でもやる気とある程度スキルに自信があれば、仕事に就ける可能性はあると思いますよ。

この業界のよい所は男女差別がないところです。スキルがあれば、例えば女性が出産・育児で一度的に現場を離れても、育児が落ち着けば「経験者」ということでまた仕事ができます。リモートで仕事をするケースも増えていますし、色々な働き方の可能性はあると思います。

Retoucher

北岡弘至

2002年に個人事務所ガラバートとして開設。
2005年、有限会社GARABATOを設立し現在に至る。
http://www.garabato.jp

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