フォトグラファーであり、イメージディレクターであるshuntaroさん。元々はフリーランスのフォトグラファー、レタッチャーとして活動していたが、bird and insectのチームとして活動し始めて10年。現在スタッフが約30名と、人員も仕事の領域も広がっている。
SHOOTING編集部では、2018年にドローンにカメラや照明機材を積んで撮影したbirdの写真&映像作品「Gloaming」を取材しているが、そこから6年。改めて写真を始めたきっかけから、個人とチームでの活動の違い、bird and insectの強み、CGやAI(生成画像)の可能性、また今後の展開など、会社代表でもあるshuntaroさんに訊いた。
Interview:坂田大作(SHOOTING編集長) Photo:KAN(bird and insect Ltd.)
坂田 まずはじめに「フォトグラファーになるきっかけ」を教えてください。
shuntaro もともと大学では建築を学んでいました。その当時「建築を見に行って記録撮影する」ということもしていて、そのうちに「写真を撮る」という行為の方が楽しく感じるようになりました。
父がカメラマンだったので「写真」は身近な存在ではあったのですが、カメラマンにだけはなりたくないと思ってました。
坂田 父親の仕事が大変そうに見えたのですか。
shuntaro 昔はアシスタントが大変だった時代があったと思うんです。子供なりにそれを見ていて、「カメラマンのアシスタントにはなりたくないなって」(笑)。
父も「撮影の仕事は将来的には、いま(90年代)のようにはいかないから、違う仕事の方がいいんじゃないか」という話をしていました。
坂田 お父さんはその頃から、危機感というかそういう視点を持っておられたのですね。
shuntaro そうなんです。それで僕も違うことをやろうかなと考えていましたが、巡り巡って戻ってきてしまったという(笑)。でも大学の専攻が建築・デザインだったので、そこから写真系の制作会社への就職は難しいかなと思い、きっかけとして写真と制作の中間に位置するレタッチャーを目指しました。
車の広告を作るような制作会社に入り、社内でレタッチャーをしていたのですが、その会社にフォトグラファー・アシスタントが足らなくて…。気づいたら嫌だと言っていたアシスタントとしてアサインされていました(笑)。
ただ当時、社長の息子さんがフォトグラファーでその人についていたのですが、その彼も会社経営の方にいきたいから「写真は君が撮れるようになって」ということで、アシスタントをしつつ、ブツ撮りの撮影からフォトグラファーとしてのキャリアをスタートしました。
仕事を続けるうちに、「レタッチと組み合わせれば自分でも撮影の仕事を受けられそうだ」と思い、タイミングをみて独立したのですが、辞めてからは大変でした。今思えば、大手制作会社や直アシなどで仕事をしつつ学んだ方が、独立後はスムーズにいく気がします(笑)。
2011年に東日本大震災がおこり、その関係で仕事が減ったこともあり、この年にイギリスへ留学しました。むこうで写真の勉強をして2013年に帰国後、再びフリーランスで活動を始めました。
その頃から、映像の撮影を依頼されることも少しずつ増えてきて、スチルとムービー両方の仕事をし始めました。当初は「写真のカメラでムービーも撮れるんですよね?」みたいなノリで聞かれていましたね。
坂田 その頃から、一眼レフのデジタルカメラでムービー撮影もできたしね。
shuntaro そうです。キヤノンの5Dも出ていましたし、ニコンでも撮れましたしね。
本格的にムービーをやりたいなと思い始め、当時リコーを辞めたばかりの林(裕介)くんがアシスタントをしてくれていたので、「一緒に何かやろうよ」ということで、ドローン撮影や最新の技術に詳しかった奥村さん(現 雨谷周也)と3人で、bird and insect(当時は屋号)を作りました。それが2014年頃で、法人化したのが2016年です。
坂田 デジタルカメラでムービーを撮るフォトグラファーが徐々に出始めた頃ですね。
shuntaro そうです。撮るには撮れたのですが、当時はムービーと写真の違いが正確にはわかっていなかったので、「回せればなんとかなるだろう」というくらいのノリでした(苦笑)。そのくらい軽い気持ちで始めましたが、編集を含め徐々に大変さがわかってきました。
日本のコンシューマー市場では、まだあまり使われていなかったDaVinci Resolve(以下DaVinci)を導入したのですが、とにかくネット上に何の情報もなくて…。DaVinciが出しているオフィシャルのマニュアルしかなくて、バグの対応も完全に手探りでした。英語圏で少し呟いている人がいた程度で、日本語ではほとんど情報がなかったです。
坂田 Premiere ProやFinal Cut Proもある中で、いきなりDaVinci導入もすごい。
shuntaro 「発売されたから使ってみよう」的な。
坂田 編集(ソフト)のノウハウも溜まってきますね。
shuntaro DaVinciは使いづらい部分もあって、当時はPremiere Proと併用していました。でもまた戻ってきて、現在はほぼdavinciですね。
坂田 bird and insectを法人化したあたりからは、スチルとムービー両方の仕事を受けていたんですね。
shuntaro そうです。でも当時は圧倒的に写真の仕事が多くて、動画は年に10〜20本くらいの制作で、そこから動画の比率が増えていきました。
bird and insect – brand movie 2024 –
坂田 映像の仕事が増えていくきっかけは何だったのですか。
shuntaro いくつかあるんですが、一つは「ドローン撮影」を始めたことです。
今は二人ともbirdから独立していますが、林くんも雨谷さんも当時からドローンに強かったので「ドローンをきっかけに映像仕事を受ける」、というテクニカルな方面が一つのウリでした。もう一つはイベントです。いまはもう出展していないのですが、東京ビッグサイトで毎年開催されている「コンテンツ東京」内の「クリエイターEXPO」に出展したことです。
そこで色々な方と出会って、そこから写真と映像の仕事が広がっていきました。その二つが大きかったです。
坂田 フリーランスで仕事をしていると、イベントにブースを出すイメージがあまり湧きませんが、プロダクションとして「制作を請け負う」という視点ではありなんですね。私も当時、会場に行きましたが、企業はもちろん個人のイラストレーターもブースを出していて、意外でした。
shuntaro 世の中の流れ的にもムービー制作は需要が増えてきていたのと、スマホからWeb、デジタルサイネージまで「動画制作」が急激に伸びていくよいタイミングだったと思います。
坂田 法人化して8年ということですが、birdとしての転機はどこで感じましたか?
shuntaro コンテンツ東京に出展していたことも一つの転機になりましたし、「機材」「人」「場所(スタジオ)」に、先行して投資してきたことが、今に繋がっていると思います。
「SHOOTING」でも「ドローン+PhaseOne+Profoto」の撮影を取り上げて頂きましたが、何か仕事が発生してから調達しようとか、スタジオを作ろうとかではなく、「ある程度できそうだな」と思えた時には先行投資しました。それがよかったのかもしれません。
坂田 新しいハードやソフトが出れば、そのスペックを知識だけではなく使いながら「ビジュアルとしての質の高いアウトプット」をすることで、注目される率も上がってきますね。
shuntaro すでにPhaseOneを導入した企業や、個人所有しているベテランの方などはいましたが、400〜500万円する機材を駆け出しのような世代が使おうっていう人はあまりいませんでした。それも皆さんからの「引き」になったのかなと思います。
坂田 先行して何かへ投資するのは大事なことですね。
shuntaro そういう意味ではyoutubeにアップしているコンテンツも先行投資で、「あれが何かビジネスに繋がるのかな?」と個人的にはかなり懐疑的な面もあったのですが(笑)、スタッフ内の「発信したい空気」もあって、結果として制作してきてよかったと思います。
まわりがまだあまり手を出していないとか、何をするにも“目新しい時”にやっていたことが、今に繋がってきているかもしれません。
坂田 池袋にあった事務所から世田谷の事務所兼スタジオに移転して、自社内で撮影ができるスペースを確保したのもよかったですね。
shuntaro そうですね。当初は広すぎるかなと思っていたのですが(笑)、最終的には手狭になるくらいに仕事が広がったので、あの場所に移転したのは正解でした。昨年から代々木上原へ移転して、ここでもテストシュートが頻繁になってきています。
チャレンジングな企画を提案する際はテストしないといけないのですが、その時に自社スペースで検証できる意味は大きいですね。
ドローンで撮った「Gloaming」の時に、照明の濱田さんとあの時に初めて組んだのですが、今は彼もbirdに参加してくれています。
Gloaming
making of Gloaming
坂田 あの企画がご縁だったのですね。
shuntaro ここ6〜7年くらい、業界でフリーランスで仕事をしていた人たちが続々とbirdに参加してくれていて、そういう人たちの知見も入ってきて、組織としてより色々試せる環境が整ってきています。
坂田 小さな商品から人物、空撮も全て自社で撮影されていますよね。事務所名の「bird and insect」は、当初からそういう思いを持っていたのですか?
shuntaro 一応、そういう思いも少しありましたけど(笑)。「名は体を表す」じゃないですが、けっこう重要ですね。
ここ数年で急激に人数が増えたのですが、もともと専門的な知識を持っている人たちが入ってきてくれているので、それもよい刺激になっています。
特に「映像制作」に関しては、独自進化して僕らなりのやり方でやってきてそれはそれでよかった面もあるし、あまりノウハウがなかった大型スタジオで動画撮影する際に「どんな風に何を発注するのか」とか、それも制作経験者が教えてくれたり。
彼らと元々僕たちが培ってきたノウハウが融合することで、効率があがったり、質の高いものが作れたりするので、特にここ2年くらいで「制作物のクオリティ」が上がってきていると感じています。
THE SPELLBOUND「LOTUS」
坂田 カメラや編集のデジタル化、パーソナル化で、映像系と写真系の垣根がなくなってきていますよね。「大がかりな機材のハンドリングができないと映像は撮れない」ということから徐々に変わりつつあります。birdには様々な色を持つ専門の人たちが入ることで、インクが混じり合うような、新しい状況が生まれてきている気がします。
shuntaro そういって頂けると嬉しいです。
bird and insect のセールスポイント
坂田 先ほどの流れからですが、現在のbirdのセールスポイントはずばり何ですか。
shuntaro 一つは「ワンストップでできる」というのが僕たちの強みです。中にプロップチームもあれば、照明に強いスタッフもいます。
企業(クライアント)が悩んでいる課題に対して、最適化して良いクリエィティブを作る方法を中で考え、実験もしながら進めてけるので、「クオリティを高めつつ負担を減らしていける」という、二律背反したものを高い次元で解決していけます。
僕らの負担もクライアントの負担も減らしながら進められるので、そういう意味では特殊な制作スタイルかもしれません。それは一つのウリになっているのかと思います。
凛として時雨 『 Marvelous Persona 』 (上下関係W「終わらせる者」主題歌)
昔は「『写真と映像』の両方できるのがセールスポイント」という時期もありましたが、今はそういうスタイルも増えていますよね。birdはそこから進んで「各自の個性が活かせる組織」になってきています。
例えばこの3月に、阿部が招待作家としてライカギャラリーで展示をしていますし、NEWoManの撮影・照明パートをbirdで指名して頂いています。また資生堂クリエイティブと、プロップパートでご一緒させて頂いていたり、僕以外が前に出てbirdとして活動してくれています。
一人一人が仕事をしながら、またbirdとしても一緒に組む、という感じです。
坂田 個人の活動が広がることで、birdとしての面積が大きくなりますね。
shuntaro でも真ん中に「全員で作る」という制作スタイルがあるので、一人一人持ってきたものがバラけずに一つの力になっていると感じます。それがいま、いい流れになっている。
この前、ベテランのADの方と仕事をさせて頂いたのですが、打ち上げの時に「初めてこういう形態のチームと仕事をしました」と。「流動的に全員が意見をいいながら最適化していき、コンパクトだけどいいものを作るチームって、あまり見たことがありません」と、おっしゃって頂きました。
普通は誰かが先に立って、指揮系統に沿って制作されていくものなので、僕たちのやり方はかなり新鮮に映ったみたいです。
写真と映像業界をどう見ているか
坂田 写真と映像業界の垣根が低くなっている中で、shuntaroさんはその二つをどう見ていますか。
shuntaro 写真業界は良くも悪くも完成されている気がして、今から大きな変化はあまりないように感じています。映像は流動的に変わってきているので、特に大きな仕事は分割化されていき、WebCMの量が増え、個人ベースで制作できる人も増えていき、制作スタイルがどんどん変わってきています。そういう意味では映像業界は、テクニカルな面も表現的にもまだ「変化の途中」にある気がしています。
その中でCGとAIが加わることによって、業界の構造が大きく変わっちゃうんだろうなと。特に写真は、絵画の流れからきている部分と、ドキュメンタリーや報道のような流れと二つあって、広告もそうですが「絵を作る」方は、どうしてもCGやAIの影響をもろに受けますね。そうなってくると、絵作りの仕事はCGやAIもうまく活用していく方向かなと思います。でも考え方とか発想やセンスは人間がやることに変わりはなく、ツールがデジタルに置き換わっていったように、CGやAIを活用して具現化していく人たちが増えるだけだと思います。
ドキュメンタリーとか、記録が重要なコンテンツは、より希少性が上がっていきます。写真においては、「その人がその場所で撮った空気感」とか、「その現場で醸し出された瞬間」みたいなものを、AIで作るのは難しいと思います。
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AI議論の中で、「結局、人間は人間が作っていないと満足できないのではないか」という話が出ますよね。同じものでも、人が作っているのとロボットが作っているものでは価値が違うというか。ロボットに握られた寿司よりも、職人が作った寿司の方が条件が同じでも美味しく感じるとか(笑)。写真も「〇〇さんが撮っている」という「個人の価値感」が上位にくる気がします。
一方でツールとしてCGやAIを使って、写真や映像を作っていく方向性は増えていくでしょうし、ツールを使いつつもその人しか作れないものがある、その二つの流れを見ていかないといけないですね。
坂田 写真は「この方に」という希望(指名)で成立する面は一部ありますが、競合で成り立つ撮影ビジネスは、AIやCGに置き換わる可能性もありますね。
shuntaro そうなんです。だから会社としては僕たちもCG部門も立ち上げています。CGも作るし、AIもどんどん活用していきたい。
Koharu Sugawara’s「LIFE NOTES」by MARGARET HOWELL
今は「AIを使うこと」自体に目新しさがありますが、みんなが使い出すと「AIを使って何ができるのか」「どういう絵が必要でそのためにAIをどう活用するのか」に移ってきます。そうなった時に、フォトグラファーの方々の知見は生きると思うんです。
坂田 新しいテクノロジーは注目されますし、CGやAIに仕事を置き換えられてしまうことがあっても、一周回ってまた人間の手仕事が求められると。人物も背景も全てがAIとCGで作られた世界は、ムダがなくカッコいい感じはするものの、スマート過ぎて自分の琴線には触れない部分を感じています。
shuntaro 映像はここ数年「物語」が重要になってきているので、そこがAIではまだ補完できない部分だとは思います。
坂田さんがおっしゃることはよくわかります。それこそ、ロラン・バルトが語っていた「プンクトゥム」ですね。「タイツが少し破れていると、人はその写真を見た時に、そこに引っかかりや魅力を感じたりする」という感覚ですね。
あの考え方が今戻ってきていて、何とも言えない“綻び”とか“不規則性”を、CGとかAIが作れるのかどうか。それが次のテーマだと思います。
僕がよく説明するのが「香水」です。香水は完璧なノート(香調)を作ると人はあまりいい匂いに感じなくて、そこに一滴“臭い匂い”を入れることで、めちゃくちゃいい香りに感じられるそうです。
坂田 おおっ、何となくわかります。
shuntaro そこにどんな“臭い匂い”を一滴加えるのか、それが重要になってくるんですね。写真や映像にも、なにか“毒気”が潜んでいるものに人間は惹かれるのですが、今の段階ではCGやAIにも結局人の匙加減や、手を加えることになっちゃう。身体的な感覚は人間固有のものですしね。
坂田 デジタルカメラが伸びてきた時も「フィルムでなければ写真じゃない」とか、「デジカメで仕事をするなんて」という意見もありましたが、いまはもうほとんどデジカメに置き換わりました。CGやAIも「仕事を奪われる」という発想ではなく、うまく活用したり取り入れていく感覚が大事ですね。
shuntaro 例えば時計のプロモーション映像を、オールCGで作ることはできますが、「もう少しノイズを入れたら」「こんなにツルツルにしなくてもよいのでは」とか、そういう人間の“数値化できない感覚”ってありますよね。そこは写真を仕事にしている人の感性は鋭いと思います。
birdは台湾にオフィスがあるのですが、その関係で台湾の若手CGアーティストらと先日会いました。彼らはいますごくいい仕事をしています。「VOUGE」とか「ELLE 」とかのビジュアルをCGで作っていて。仕事がきすぎていてかなり断っている状況みたいです(笑)。
彼らと、今度「一緒に作品を作ろう」と話しています。「リアルな撮影をしている我々と組むことで(彼らも)クオリティが上がる」と話していました。お互いにコラボすることで、表現の幅も広がっていきますからね。
bird and insectのこれから
坂田 「ここ2年くらいで、様々なジャンルの人がbirdに参加してくれている」という話でしたが、これからどういう方向に向かっていくのでしょうか。
shuntaro この1年で、割とちゃんとしたチームになってきたと感じています。(内部的な)課題を徐々に解決してきた中で、これから先は「海外に出たい」という思いがあります。日本国内だけではなくて、海外の人たちと仕事がしたいし、海外のクライアントの仕事もしたい。いま一番課題としてあげているのは「海外進出」です。
コロナ禍前は台湾で仕事をしても、台湾でその売上げを使わない限り、為替差で日本に持ってきてもあまり意味がなかったのですが、いまは全然そんなことはなくて、お金の価格感って、ほぼ同じなんですよ。
分野によっては向こうの方がむしろ高くなっているし、シンガポールとかマレーシアだと、向こうの方が全然高いです。
坂田 日本はギャランティや制作費に於いて、アジアに抜かれてきているんですね。
shuntaro 海外と仕事をしていると、国内のクリエイティブにかける予算の低さも気になります。
ただコロナ禍を経て、僕たちも海外へ出やすくなりました。先日、インスタ経由で知り合った、L.A.のムービーディレクターの人が日本へ来たので会いました。「今度MVの仕事で、インドネシアで撮影があって、クライアントはアジアの別の国で、日本でも撮影があって…」とか、国境は関係ないんですよね。
そのディレクターは日本のコンテンツが好きで「日本で撮りたい」と言っておられましたが、当の日本人が日本の良さを海外に活かして仕事ができていないので、もっとルートを広げたいなという気持ちはあります。
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あとはさっきの話ではないですが、僕たちの仕事にもCGやAIを活用していく方向を探ること。会社単位ではなく、個人としても作品を作って自分の名前を売っていくこと。これらをみんながやっていこうと話しています。
坂田 会社の名前だけでなく、クリエイター個人のブランディングも大事ですね。
shuntaro 両軸を並行して行っていくつもりです。台湾オフィスも作ってみると台湾の仕事を取りやすくなりましたし、最初の話ではないですが、先行投資して動かないと厳しくなっていくだろうなと思います。
坂田 「場」を作るって、大事ですね。
shuntaro そうなんです。台湾もやはりスタジオがあった方がいいと思い、半身までは撮れて、宿泊もできる場所を事務所にしています。
「台湾で商品撮影やビューティも撮れます!」とアピールしていかないと、本気度が伝わらない。「では日本に戻って撮ります」では「こちらに来ている意味があまりないじゃん」ってなりますしね(笑)。これを一つの足がかりに海外の仕事を増やしていきたいし、海外と日本を繋げていければと考えています。
Image Director
shuntaro
1985年、東京生まれ。京都工芸繊維大学で建築・デザインを学び、広告系制作会社を経てフリーランスへ。その後、bird and insect ltd.を立ち上げ、代表取締役を務める。2017年には日本のファッション写真史の研究で博士号を取得した。クリエイティブを論理的に行うことを信条としながら、精緻なディテールの詰めや感性を活かすディレクションも大切にしている。広告の写真や映像制作はもちろんのこと、近年は MV やドラマの制作、作品の制作提供を多く行なっている。
https://bird-and-insect.com/