TOPINTERVIEWTOSH SHINTANI インタビュー

#INTERVIEW TOSH SHINTANI インタビュー

2025年7月1日

2025.07.03

TOSH SHINTANI インタビュー

フォトグラファーとして仕事を始め、現在は映像ディレクター、ビデオグラファーとして活動しているTOSH SHINTANIさん。
TOSHさんは、どのような経緯でフォトグラファーになり、その後映像を扱うようになったのか。またスチルとムービーでは、時間軸やその他様々な違いがあるが仕事上ではどう違うのか。
映像ディレクター、ビデオグラファー、フォトグラファーというそれぞれの立場がわかるTOSHさんに、映像を仕事にしていくためのヒント、映像制作の魅力、今後の展開などを訊いた。

インタビュー:坂田大作(SHOOTING編集長)

坂田 TOSHさんは元々、スチルフォトグラファーとして活動されていて、そこから映像に移られたそうですが、その経緯を教えてください。

TOSH 僕の個人サイトでは、写真家からキャリアをスタートさせたような書き方をしているのですが、当初はファッション・スタイリストを目指していました。

高校時代にファッション雑誌が好きでよく読んでいました。それがきっかけで「スタイリストになりたい!」と思ったことが、僕の人生のはじまりのようなものです。

TOSH SHINTANIさん。

坂田 そうだったのですね。

TOSH 高校を卒業したらすぐに「誰かに弟子入りしたい」「制作現場にいきたい!」って思っていました。しかもモード誌が好きだったので、海外に行きたかったんです。

特にロンドン系のマガジンやスタイリストが好きだったのと、ワーホリ(ワークングホリデー)はロンドンが長期滞在できるということもあって、そこへ行こうと思っていたのですが、その前に語学勉強のためにアメリカへ留学しました。略歴に書いてあるNYというのがそれです。

坂田 英語を学ぶために渡米されたのですね。

TOSH そうです。なので高校を卒業してすぐ、NYへ渡りました。語学学校へ通いながら、とにかく早く現場で仕事を始めたかったので、インターンで職探しを始めました。

NYLON JAPAN「天使のような幸せを宿す今田美桜が愛するエアリーなファンデーション」

ファッションスタイリストのアシスタントや、雑誌立ち上げのお手伝いをしたり…。とにかくインターンとして、アシスタントを続けていました。最初は3ヶ月間滞在するつもりが、気がつけば1年が過ぎていました。その後帰国した感じですね。

坂田 英語圏でいきなり現場に入るのって大変ではないですか。

TOSH そうですね。でもNYは日本人もたくさん活動されていて、その方々のアシスタントをしながら、対外的には英語を話す感じでした。

あるファッション誌の立ち上げのタイミングがあって、「バイクを借りてこい」とか(笑)。「ドラムセットやギターを借りてきて(ただし無料で)」みたいな。そういうことを交渉したり…。

坂田 もはや洋服集めではないですね(笑)。

TOSH 「そんなん無理やろう!」って思いましたが、意外と何とかなるものです。タフな仕事をこなしていく中で、限界を超えていきましたね(笑)。

そういう流れがある中で、ファッション雑誌の仕事に携わるのですが、その中で世界観を作っているのがフォトグラファーだったんですよね。服をコーディネートするのは好きなのですが、「最終的に世界観を作る、フォトグラファーになりたい」と思い帰国しました。

それがフォトグラファーを目指したきっかけになります。

NYLON JAPAN「NCT WISHとNARSが奏でるシンクロビューティ 頬から生まれるピュアとクールの2面性」

坂田 そういう流れがあったのですね。帰国されてからどうされたのですか。

TOSH 独学で写真を勉強しました。僕は関西出身なのですが、関西には「通販の撮影仕事」はけっこうあったんです。そういった商品撮影を撮影する会社に入って、実際の撮影をしながら学んでいきました。

時代的に「eコマース」が伸びてきた時期で、撮影件数がものすごくあって(苦笑)。通販の現場で基本的なことから全て学びました。

坂田 アマゾンを始め、インハウスのスタジオは今では珍しくないですよね。

TOSH 通販はモデル撮影のイメージが強いかもしれませんが、ブツ撮りをしていましたね。鞄とかトルソーに服を着せて撮影してました。

坂田 ブツ撮りといっても、扱う範囲は膨大ですよね。そこで様々な撮影を経験されたのですね。

TOSH そうです。最終的には「家具」を撮ってましたね。ザ・ブツ撮りでした(笑)。

坂田 そこには何年いらしたのですか。

TOSH 2年間在籍しました。ただ自分はファッションが好きでこの業界に入ったので、やはり「ファッション(フォト)をやりたい」という気持ちは沸々と持っていました。

商品撮影自体は楽しかったですし、何よりライティングの勉強になりました。僕が今なぜディレクターとしてやれているのかと考えると、カメラワークと特に照明かなと思っています。その基本を、写真を通して勉強させてもらっていたのかなと思いますね。

坂田 写真(静止画)は、その人が伝えたいことが見えやすいですよね。その後はどうされたのですか。

TOSH フォトグラファーとして独立しました。それこそ「SHOOTING」も拝読していました。

関西は市場規模が小さいので「HOT PEPPER」系の美容室の写真とか、知り合いのフォトグラファーの手伝いとか、横の繋がりで食べていました。

坂田 大きな仕事はどうしても東京中心ですしね。

TOSH そうなんです。独立してしばらく関西で仕事をしていましたが、ずっと地元にいる気持ちもなかったのと、そのタイミングで結婚したこともあり、東京へ出稼ぎに(笑)出ました。

でも東京はライバルが多過ぎて…。

途中から進出をしても、今まで誰にも直アシに付いたことがなく、ポートフォリオも関西で作ったものでそこまで尖ったカラーでもない。「この状態では難しい」と冷静に思いました。そこで差別化のために動画を作り始めたんです。

坂田 関東はフォトグラファーもすごく多いので、仕事を得るのも大変ですよね。

TOSH はい。ひと言で言うと「映像での売り込み」でした。写真での営業はしていないです。

関西で写真作品はたくさん撮っていたので、試しにその感覚で動画を繋いだ「ファッションフォトの動画版」を作って売り込みをしたら、仕事に繋がっていきました。

坂田 そうなんですね!

TOSH ほんの15秒程度の動画なんですが、それをきっかけに雑誌編集部へ営業しましたね。3社に連絡をしたところ、2社から仕事のオファーがきました。

坂田 すごい確率! 写真を繋いでストーリーにしていくのは、少し前まではあまりなかった気がします。

TOSH 当初の計画では動画で売り込んで、名前が広まってきたら、フォトグラファーとして活動したいと思っていたのですが、もう動画のままいこうかと(笑)。なので、僕がフォトグラファーとして仕事をしていたことを知る人は少ないと思います。

坂田 今は、映像ディレクターやビデオグラファーとしての活動が主ですか。

TOSH そうですね。

元々ファッションをやりたかったことはお話していますが、ファッション雑誌の動画を撮り始めたのが東京でのキャリアのスタートですね。

最初は映像制作というよりも、ファッション誌の「表紙撮影のメイキング映像」を作るという仕事でした。

7〜8年前は、そういうBTS(Behind the scene)の制作がかなり流行っていたのですが、そういうメイキング映像の仕事って、最近は減っている気がします。

坂田 今は編集部の関係者がスマホで撮って、そのままかサクッと編集してSNSにアップ、という感じかもしれません。

TOSH ファッション誌は紙媒体が主流でしたから、動画への参入が遅かった気がします。それと自分が東京で活動するタイミングと動画需要がちょうど合ったのかもしれません。

編集部にも動画のノウハウがまだ乏しかったこともあり、「お任せ」で作らせてもらえました。表紙に関しては、表紙の動画版的な作りにして、タレント撮影の実績がみるみるうちに増えていきました。

坂田 雑誌は、広告よりもタレントやモデルさんとの距離が近いですよね。

TOSH そうなんです。それでポートフォリオの厚みがすごく増しました。それまでは撮影から編集まで行うビデオグラファーとしての仕事でしたが、続けているうちにTVCMなどの監督、いわゆる「映像ディレクター」としての仕事も入ってくるようになりました。

フォトグラファーが雑誌の撮影をめちゃくちゃ沢山こなしていたら、知名度とスキルが高まっていき、広告撮影の仕事が増えてきたみたいな。それの動画版ですね。

そうやって雑誌から広告に。ファッションからビューティーに。仕事がどんどん広がっていきました。

坂田 女性誌はスキンケアからメイク、バッグや装飾品から服までタイアップが多い印象です。

TOSH そうですね。ファッション雑誌ですが、化粧品やジュエリーなど、アパレル以外のタイアップ広告の映像をたくさん作らせてもらいました。そこでまずビデオグラファーとして広告の実績を積んでいき、CMなど映像ディレクターの仕事の依頼が来るようになりました。

坂田 仕事の規模としては大きくなりますね。

TOSH そうです。15秒の絵コンテを描くところからですね。

坂田 スキル、仕事の規模や予算感がどんどん上がっていきますね(笑)。

広がっている映像ディレクターの役割と仕事

坂田 ひと昔前であれば、映像ディレクターといえば、広告会社から依頼を受けた大手制作会社に所属(または契約)しているインハウスのクリエイターが仕事を動かす、というイメージでした。

でもTOSHさんが個人でオファーを受けていたり、会社のSHIKIもコンパクトな体制で、コミュニケーションのスピードも早そうです。表現もガチガチではなくてカメラワークが手持ちだったり、ライトな感覚というか…、クライアント側が求める画も変わってきているのでしょうか。

TOSH 「押し付けがましくない」とか「親しみやすい動画」というのは重要になってきています。また別の意味で、クライアント側の制作費が減ってきてしまうと、「撮影自体をコンパクトにしたい」「少数先鋭チームに依頼したい」という思いもある気がしますね。

今までは、超大掛かりで、超大人数で、監督がいて助手がいてカメラマンや照明もたくさんいて、美術も大掛かりで…、とものすごい費用をかけていたじゃないですか。

坂田 はい。ありますよね。

TOSH そんなお金をかけて1本のCMを撮るのではなくて、メディアもSNSに切り替わってきているので、「1本の予算はコンパクトにして、何種類も作りたい」という方向に変わってきている気がします。

坂田 テレビCMを抜いて、ネット媒体の広告費が1位ですからね。スマホの縦位置での閲覧がデフォルトです。そこでどのように注目されるかは重要ですし、おっしゃる通り、本数を作った方がいい気もします。

TOSH こだわればこだわるほど、当然予算はかかります。僕らクリエイターからすると、そういう大規模な案件を目指して頑張るわけですが…。企業側の立場で考えると、今の時代は数が大事な気がしますし、もっとそういう時代が加速していくと思います。

坂田 仕事の依頼は、企画から監督、撮影、編集、完パケまでのワンストップが多いですか。

TOSH そうですね。その一式のパターンか、監督のみですね。

私の場合は、クライアント直よりも間をつなぐ制作会社が入るケースが多いですが、「一式良い感じにお願いします」という依頼が多いです。

個としては監督としてやっていますが、会社にもしており。そこでも「良い感じのスピード感と、良い感じの予算感で、良い感じの映像を作れる会社」を目指してます(笑)。ビデオグラファー出身だからこそできる機動力で、質と量のバランスを取っていきたいです。

坂田 でも、それも一つの個性であり、強みですね。

TOSH 世の中には、映像制作会社もたくさんありますが、ファッション、ビューティに特化している会社はそれほどないので、そこは強みなのかなと思っています。

坂田 そこはTOSHさんがスチルのフォトグラファーとして活動されていてノウハウを積んでこられた経験値が大きいのかもしれないですね。株式会社SHIKIはどういう体制なのでしょうか。

TOSH 今は僕の他に、5人が社員として所属しています。あと2名、今年入ってきます。

坂田 皆さんディレクターということですか?

TOSH 職種的にはマルチというか、横断してますね。「監督と撮影」「撮影と編集」「監督のみ」など。ベースの職種はありつつも、案件に応じて柔軟に対応しています。監督で入る、編集で入る、撮影アシスタントで入る…。そこはケースによって変わります。

坂田 役割の自由度があるので、最適化しやすい体制ですね。

TOSH
 もう少し規模が大きくなれば、監督部門、撮影部門、編集部門のように部署化していくこともありですが、今の人数ではまだないですね。

とはいえ弊社では「編集」に重きをおいているので、例え撮影部門であっても必ず編集はやってもらう。など、その辺の仕組みはこれから考えていきたいです。

坂田 扱うジャンルが広がっていくと、オールマイティな制作会社的な立ち位置に変化していくかもしれないですね。

TOSH そうですね。ビューティ、ファッション軸なんですが、色んな個性あるスタッフが集まってきているので、「おしゃれ系の映像を作る会社」として、扱う範囲を広げていきたいと思っています。

実際に、密かに車の動画も作ってるんです!

坂田 あっ、そうなんですね。

TOSH そうなんです。しかもグローバルアカウントのリール動画を作らせてもらってます。

TOSH 当然、広告会社が間に入っていますが、監督、撮影、編集は弊社で担当させていただいています。約870万人もフォロワーがいるグローバルアカウントで、世界に向けて発信できた事は良い経験でした。

坂田 車の映像ですが、シズルを感じますね。

TOSH 自分としては、これもファッションの感覚で制作しています。予定調和を崩す、っていうんですかね。昔は私1人でやっていたものを、今は会社にいる色んなスタッフのアイデアを活かして作っています。会社組織として人数が増えることで、色々なカラー(個性)が混ざり合っていけばいいなと思います。

坂田 映像を拝見していると、カジュアルだし動きがあってリズミカルで、なんだか人を撮っているような感じもしますね。ランクル君を撮っているような。

TOSH おおっ、なるほど。それは面白い視点ですね!

坂田 車に限らず、今は「押し付けがましい広告」って嫌がられるじゃないですか。そういう意味では、この映像に共感した人が「気になる」「乗ってみたい」という感覚になってくれるのが大事ですね。

TOSH こういうコンテンツを作っていきたいという気持ちは強いです。

坂田 様々なクリエイターが「それぞれの視点で自社の製品を料理する」という感じで、面白いですね。

車はオールCGも珍しくないですが、こういうカメラワークで実写撮影という方が、キレイに作り込みすぎない、ちょっとゆるさもあって逆に見てしまいますね。

TOSH そのあたりは、僕自身が「写真が起点」になっているのが理由かもしれません。新しいことに挑戦することに生きがいを感じるタイプなので、どんどんトライしていきたいですね。

フォトグラファーが映像に進出するための要素

坂田 スチルフォトグラファーから「ムービーを撮りたい」「ムービーの領域で仕事を広げたい」という相談を時々受けます。フォトグラファーがムービーの仕事を請け負うためには、何が必要ですか。

TOSH お答えの一つとして申し上げると、「人をいれる!」です。

坂田 それは、どういう職種の人ですか?

TOSH 映像に強い助手に現場に入って頂くことです。それで解決です。

坂田 助手、ですか!?

TOSH はい、それで解決します。

写真系の人が映像に進出できない、また躊躇する理由は「全てを自分でやろうとし過ぎ」ではないかと思っています。

坂田 確かに。

スチルの仕事は、機材、ライトのセッティング、構図、撮影、RAWからの色作り等々、ほぼ自分で対応してしまう人が多いですね。というか、そういう職種でもあります。

TOSH 全部自分でやってしまいがちなんです。そこは人を入れて、何でもかんでも買わないで(笑)、その時に必要なものだけをプロ(助手)にレンタルしてもらえばいい。

「こういう画がとりたい」というのがあるじゃないですか。フォトグラファーは画(構図)は切れる。そして、そこからこう寄っていきたいみたいな。

でも、カメラを寄せるためには、フォーカスを動かさないといけないし、まっすぐブレずに動かす機材も必要。それだけでも「ええっと?」ってなりますよね? そこを助手や周囲の力を借りてヘルプしていただく。

坂田 「経験値のある助手やスタッフに頼ろうよ」ということですね。

TOSH そうです。いざカメラをスライダーに載せてみたら、「重過ぎてカメラがブレる」「シンプルに動かすだけなのに水平がとれない」「高さ(アングル)を少し上げたいだけなのに、かなり面倒なことになる」等々、そういう撮影まわりの細かいことを解決できますし、本当の自分の仕事「撮影」に集中できるんです。

坂田 今の話の中にも含まれていますが、アングルを寄る、引く、カット割り等の時間軸があるじゃないですか。それに関してはスチルの人は案外? いけてしまうものでしょうか。

TOSH いえ、動きについてはスチルとは別の考え方かもしれません。僕らは繋がりのことを常に考えていますが、フォトグラファーは一点一点の「良い絵」を考えてしまいがちではないでしょうか?

映像は導入があって、最後まで見てもらって着地させないといけない。動画を撮りたいというのは、撮影のみなのか、ストーリーを考えた編集や監督もやりたいのか、それによってアドバイスの方向が変わってきます。

撮影のみの場合は監督が別に立っているので、撮ることに集中できます。その方が入りやすいとは思います。

まずはスマホで。ムービーを撮り慣れるのも大事です。そして編集も考えると…、さらに、向き不向きもわかってくるかも知れません。

坂田 個人的に、カット割りをテンポよくすると、その映像がオシャレでカッコよく見えていた時期もあったのですが、最近は「何をアピールしたいのか」が重要で、編集のテクニックには惹かれなくなっています。

TOSH 訴えたいものを持って作っている方が、響くと思いますよ。

映像を撮ることと編集ソフトの関係

坂田 今は、編集ソフトもたくさん発売されています。撮影する人も編集ソフトは覚えた方がいいですか?

TOSH ソフトは触っていた方がいいですね。でないと「自分が撮影した素材の振り返り」ができないから。「ここブレてるやん」とか、「露出はもう少しアンダーで撮っておけばよかった」とか。

また写真データをRAWから現像をするように、動画素材のグレーディングも知っておいた方がいいと思います。「グレーディングでここまでいけるのか」とか、色の変え方やノイズの変化なども実感としてわかってきます。

上達したいなら、Photoshopと同じように動画ソフトを覚えていくことで、確実に「撮り方の上達」に繋がります。

坂田 TOSHさんがディレクターで立った時に、カメラマン(シネマトグラファー)はどのようにされていますか。

TOSH 弊社スタッフがマッチしていればそれでもいいですし、例えば「ロケで、エモい感じでいきたい」というディレクションだとしたら、そっちに強いカメラマンをアサインします。で、その人がチームを連れてきてくれる、というイメージです。

例えば、タレントさん案件でカット数が必要な割りに撮影(にとれる)時間が短いとか、そういう場合は、「チーム力がありそうなカメラマン」という見立てでお願いすることもあります。

照明機材とムービーカメラの選択

坂田 撮影によって様々な機材を使い分けられていると思うのですが、映像を撮る時はどのように使い分けられていますか。

TOSH 照明に関しては、もう皆さんも使われていると思いますが、LEDライトです。特に大掛かりな撮影の時はHMIも必要になりますが、私がよくやるビューティであれば、LEDの方が機動性がいいですし、なにより細かい色味の調整ができて、LED一択です。G/M(グリーンマゼンタ)の調整が特に肌では大事で。使うネタ(バンクやトレペ)でずれる色味も調整して揃える事も可能です。

動画は写真のように、「後でレタッチで調整します!」と簡単に言う訳にはいかないので…。

坂田 カメラはいかがですか。 

TOSH 事務所で所有している機材もあるので、そこで事足りる場合は自分たちで所有している機材を選びます。「買う基準」で言うと「RAW」で撮れるもの一択です。

弊社の場合は、RED「V-RAPTOR」、Blackmagic「PYXIS」がメインカメラです。あとはCanon R5 Mark IIや、Sony α7 S III、最近はiPhoneも使います。案件に応じて使い分けています。

ムービーでの営業方法

坂田 フォトグラファーの方がムービーの仕事を受けるための「動画作品」を作ろうとすると、写真の実績があることにより、自らハードルを上げてしまって中々進められない、というパターンが多い気がしています。「30秒とかのイメージムービー」でいいのでは、と話をすることもあります。

TOSH 最初の一歩は難しいところですよね。僕もスチル出身なのでその気持ちはわかります。

ポイントは編集です。私からアドバイスをさせていただくとしたら、

・三脚固定
・3カット(3シーン)
・尺は6秒

これで全然いいと思いますよ。

坂田 6秒! なるほどそう考えると、かなり気が楽になりそうです。

TOSH 時代は「縦型ショート動画」なので、長ければ長いほど見られません。いかに「最後まで見てもらうか」が大事。尺を短くすれば、その分最後まで視聴してくれる可能性は高まります。

Webサイトでもyoutubeでも「離脱率」の数字は重要ですよね。僕らも最後まで観てもらうために、「冒頭」にはめちゃくちゃこだわります。

今後やってみたいこと

TOSH 根本的な部分では「常に新しいことをやり続けたい」です。映像の仕事をする以上に、「映像の仕事で出会う人たち」が好きなんです。そういう方々とずっと仕事をしていきたいと思っています。

自分一人では、受け入れられる仕事量に限界があります。「忙しそうだから」と気を遣われて、声をかけてくれなくなるのは悲しいし、自分的には面白い人たちとの繋がりこそが自分の人生を豊かにしてくれるものなので、だからこそそういう繋がりを増やし続けていきたいし、それを会社のスタッフや、何ならクライアントとも広げていきたいなと思っています。

ビューティやファッションを軸としつつ、入ってくるスタッフの個性を活かして、自分も予想していないような展開になってくれるといいなと、期待しています(笑)。

海外にも進出したいし、そろそろ自社ブランドも作ってみたい。僕は「日本酒」が好きなので、日本酒のブランドを作ってみたいなとか。色々動きたいなと思ってます…。(笑)

坂田 どんどん広がりそうですね!

最後に、フォトグラファーの方へのアドバイスとして、二つほどお話していいですか? 一つは先ほど話しましたが、写真のテイストを活かした形(延長)での短い尺の映像作品を色々作ってみること。これが動画に慣れる最も現実的な方法です。二つ目は「うちの会社にはいること!」です。

坂田 あっ、リクルートですね(笑)。SHIKIは写真でも攻めていきたい思いもあるということですし、動画を学びたいフォトグラファー(シネマトグラファー)が入ってくれたらウィンウィンですね!

Film Director

TOSH SHINTANI

株式会社SHIKI 代表取締役。
高校卒業後、渡米。
ファッションスタイリストのアシスタント、そして雑誌のアシスタントを経て帰国。
帰国後はファッション・ビューティ撮影を中心にフォトグラファーとして活動。
現在は映像ディレクターとして、企画・演出・撮影・編集まで一貫して行うスタイルを強みに、様々な雑誌・アパレル・化粧品など、企業のWebCMのディレクションを担当。
現在は株式会社SHIKIを立ち上げ、SNSやWebを中心としたコンテンツ制作を行っている。
https://www.toshshintani.com/
https://www.instagram.com/toshshintani
https://www.instagram.com/shiki.tv/

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