TOPINTERVIEW伊藤彰紀 x Profoto「Pro-11」Impression

#INTERVIEW 伊藤彰紀 x Profoto「Pro-11」Impression

最速のスピードとパワーを誇るジェネレーター Profoto「Pro-11」を使った撮り下ろしインタビュー。

伊藤彰紀 x Profoto「Pro-11」Impression

「Pro-11」は連写を続けてもチャージ速度が落ちない。
今まで以上に“間の表情“を切り取れることで、
より良い写真を生み出せる可能性が高まる。

圧倒的なスピードとパワーに、次世代のProfoto AirX接続を組み合わせたジェネレーターストロボProfoto「Pro-11」が発売された。
「Pro-10」からさらに耐久性、安定性を強化させた「Pro-11」を使い、広告やファッションで活躍している伊藤彰紀さんにスタジオでの撮り下ろしを依頼。
自身も「Pro-10」や多くのアクセサリーを所有する伊藤さんに、ライティングに対する考え方から「Pro-11」の印象まで話を訊いた。

Photo:伊藤彰紀(aosora) ST:YOSHI MIYAMASU(SIGNO) Hair:SHOTARO(SENSE OF HUMOUR Make:井上まあさ Model:Mia B(BRAVO)
Interview:坂田大作(SHOOTING編集長) BTS Photo:三浦一喜

初めてプロフォト製品を使い始めたのはいつ頃ですか。

2003年頃です。アメリカへ留学していた時は、周囲も含め他社製品等、色々使っていました。帰国後フォトグラファーとして活動し始めた頃、東京のレンタルスタジオにはプロフォトが入っている事が多かったので、その頃から触る機会が増えました。当時、自分では中古のプロペットを購入して使っていたんです。

伊藤彰紀さん。

そうなんですね。プロペットはモノブロックですか?

いえ、ジェネタイプです。それとコメットも使っていました。

青レン(青山レンタル)で中古を買っていましたね。その後、スタジオでプロフォトを使う機会が増えていったので、プロフォトに慣れていったということもあります。

Profoto「Pro-11」

今回、最新型の「Pro-11」をメイン機種に使い、撮影をお願いしました。

はい。テーマはベタですが「Light & Shadow」にしました。もともと「Pro-10」が世界最速機種だったわけですが、より安定性が増したこと、閃光速度が速いということをどのように表現するかを考えました。

煙や水を使うのもいいのですが、普段「Pro-10」を使っている自分が「Pro-11」で日常というか、いつもやっているような「実践的な撮影をすることで、その違いが感じられるのでは」と思いました。風を当てたり、ジャンプしてもらったり、いつものテンポでシャッターを切ったらどうなのか、興味深かったです。

結論から言うと、連写でも発光がついてきていましたし、アシスタントも違和感なく操作できていました。「Pro-10」の場合、連写を続けると、放熱の関係で自動的にチャージを遅らせる安全装置が働きますが、「Pro-11」は一度もそういうこともなく、撮り続けられましたね。

アシスタントも「激しく連写するとPro-10は途中でピーピー(警告音)鳴ることがあるけれど『Pro-11』は何事もなく発光しているのでスゴイ!」と。いつも「Pro-10」を使っているスタッフも驚いていました。

ドレス、ピアス、ネックレス/VIVIANO

ビシッと止める、ピントはシャープなのにブレや動きのある写真など、リアルなファッションフォトだと思いました。モデルも伊藤さんも動きながら撮影していましたね。

自分のスタイルとして基本的に三脚は使わないです。動いて撮影しながら、組み立てていくことがほとんど。幸い優秀なスタッフが周りを固めてくれているので、撮影中に次の展開を考え、シャッターを切りながら“次はこうしよう”と考えたものをアシスタントに伝えて、ライティングの準備をしてもらっている事が多いです。

イイノ南青山スタジオで撮影。伊藤さんの指示でアシスタントがキビキビ動くのが見ていて心地よい。

一つのシーンでの撮れ高の判断、ライティングやセットチェンジなど、スタッフの動きも含めてウルトラスムーズだなと感じました。

特にタレントさんの撮影は入ってみないとほんとにわからないので、ご本人がスタジオに入って、(写真の上がりで)悩む暇がないほどスピーディに、臨機応変に光を組み立てて撮ることが多いです。それを続けていたら、自然と今のスタイルになってきた気がします。

タレントも忙しい方が多いですし、その日の体調や肌のコンディション、メンタルなど、色々気を遣う部分はありますね。

そうですね。基本的なスタンスとして、どんなボールが投げられても受け止めて返す自信はあります。硬めの光なのか、やわらかくするのか、「自然光っぽく」と言われても対応できるような構え方をしています。

仕事は、白ホリ系、ハウススタジオ、外ロケとどのような比率ですか。

割合としては、おそらくどれも同じくらいな気がします。広告はスタジオが多いですが、本数でいえばハウスやロケの方が多いですね。

極端に言うと、雨が降っても晴れても何が起きても「今日は撮れない」ということがないような状態にはしてあります(笑)。

ドレス/RYUNOSUKEOKAZAKI

最近、気に入っている「機材」や「光」はありますか。

硬い光が作りやすいプロフォトのハードボックスはよく使っています。ただ基本的には、現場に被写体の人が入ってから、いかようにも持っていくことが出来るのが、ある意味自分のスタイルな気がします。

硬い光が作れる「Hardbox」。

ハードボックスとビューティディッシュ(ソフトライトリフレクター)がポイントですね。日本人と外国人のモデルでライティングは変わりますか。

そうですね。光のバランスを変えたり、手前のディフューザーの厚みを変えたり、起こしたり…。光質に加え、その人の骨格に合わせて照射位置も動かしたいので、やはり手持ちが有効です。

アシスタントがビューティディッシュを手持ちで照射。

広告撮影ではラフがきっちりしていて、それを敬遠したり苦手とするフォトグラファーもいます。伊藤さんはどういう向き合い方で撮影していますか。

事前打ち合わせではそんなに意見を言うタイプではないかもしれません。広告にはカンプがあるので、撮影現場ではカンプに即したカットをおさえつつ、こちらで用意したライティングやアングルとかも探っていって、僕がいいと思うものを“写真でプレゼン”しています。

制作スタッフが現場で悩み始めるのはよくないし、僕の考えですが、タレントさんもみんなが悩んでいる時間というのはよろしく思っていないと思うので、そこは自分の良いと思うものをスピーディに提案します。具体的な“ビジュアルで見せること”で理解して頂けることが多いし、そういう“現場での提案”は必ず行うようにしています。

今回の撮影でも、ライトセットを変えたり、衣装チェンジの間にセレクトした写真を簡易レタッチされていました。カット選びもレタッチもとにかくスピーディな印象です。

セレクトに迷わないタイプです(笑)。写真の好みにブレはないので、撮りながら「何となくここかな」と思うところに戻って、その前後のカットを見てすぐに決めます。モデルやタレントがメイクルームや控室にいる間に、レタッチした写真を見せると喜んでもらえることが多いですし、自分のイメージしている方向性に決まりやすいですね。

雑誌の場合は現場でページネーションして見せると、編集者も具体的な構成がイメージしやすいため、僕のセレクトしたカットが第一(候補)になりやすいです。

ハードボックスとビューティディッシュの話も出ましたが、アタッチメントは他にも使われますか。

プロフォトのアクセサリーはほとんど持っている気がします(笑)。メインがオクタの時もありますし、状況によってソフトボックスも使います。ナロー(ビームリフレクター)1灯だけだったり…。

実は「A1」も発売された時に買っていたんです。でも、A1ってどうやって使ったらいいんだろうって、ずっと思っていて…。でもこの前初めてA1をメインに使いました。

「A1」はどのように使ったのですか。

基本はクリップオンのままいけるシーンでも、A1ならパッと離して好きなところから当てられるじゃないですか。雑誌の撮影で、肌のキレイなモデルさんだとわざとラフなライティングをしたい時に有効です。

トップス、スカート/RYUNOSUKEOKAZAKI

独立してから今まで、写真に対する考え方に変化はありますか。

僕の場合は、撮影することが本当に好きで、自分のスタンスは独立当初から変わっていない気がします。

昔は「かっこ良い仕事だけをしていきたい」と思っていた時期もありましたが、様々な仕事をすることによって新しい知識が身に付いたり、撮影の引き出しが増えます。一つの色味、一つのライトに偏らない方が僕らしいなと思っています。とは言え、自分の好きなトーンや写真はあります。

「PhaseOne XF」「RED ONE」など新しい機材をいち早く導入していましたね。

はい。新しい機材にはとりあえず手を出そうと思っています(笑)。新しい物好きな性格もありますけど。

新しい機材や技術は、新しいものを生む可能性があります。表現の幅が広がる可能性のあるものにはアンテナを張って、そこは惜しまず投資しようと思っています。

PhaseOneは早い段階で購入していて、それによって仕事も広がりましたし、RED ONEも早くに導入したことによって、ムービーの仕事もお声をかけて頂いています。

手元に置いて使うことにメリットがあるんですね。

僕はそれが大事だと思います。新しい製品は“何かが進化している”わけじゃないですか。例えば「Pro-11」であれば、閃光速度やチャージタイムが元々速いわけですが、内部設計や放熱対策が強化されたことで、チャージの遅延がなくシャッターチャンスが増えました。

シャッターを切る回数が増えるということは、表情と表情の“間の表情“をさらに切り取れるようになっているので、より良い写真を生み出せる可能性が高まっているわけです。先ほども言いましたが、ジェネも含めて様々な機材を持っていることで、特にロケ先等で何があっても対応できる強みもあると思います。

具体的なライティングを少し紹介させてください。

ドレス、ピアス、ネックレス/VIVIANO

これは斜幕越しからのベースの光と、B10 PlusのLED 4灯のみです。シャッター速度は1/100秒にしていて、ドレスをブラすことによって、ドレープの美しさと躍動感を出しています。

斜幕の後ろから傘トレ(Pro-11)でベースの光を作り、B10 Plus 4灯のLEDを斜幕にバウンスさせモデル側に反射させて定常光を作っている。

ストロボで人物を止めながら、定常光でブレを演出している。

ドレス、ピアス、ネックレス/VIVIANO

これは左サイドからのベースとフラッグで光を切ったハードボックスと、ビューティディッシュですね。

そうです。白亜の大きな宮殿があるとして、遠いところの天窓から光が射し込んでいるイメージです。

白ホリで空間を作るには、光で奥行きやフレーム外の広がりを感じさせたいので、スタッフに話をする際も「あのあたりに窓があって」という伝え方をします。

この日のモデルさんは外国人で彫りも深いので、サイド光でも顔がキレイに見えていました。そのため普段よりも壁に近い位置からハードボックスの光を照射して、攻めたライティングにしています。

ドレス、ピアス、ネックレス/VIVIANO

このシーンは動いてもらいながら、スモークを少し吹いています。これもベースライト+ビューティディッシュを使っています。

いつもはベースに「Pro-10」を使っているのですが、先ほどお話したように集中して連写していると、撮影途中で悲鳴を上げ始めるんです(笑)。今回「Pro-11」でやってみて、どれだけ連続でシャッターを切ってもアラートが鳴らなかった。安心してシャッターが切れるのはありがたいですね。

ドレス/RYUNOSUKEOKAZAKI

これは「ベース+ナロー+LED」ですね。光の揺らぎを表現するために、1/6秒でシャッターを切っているんですが、そのためのB10 PlusのLED(4灯)がかなり効いています。服のハイライト、シャープな影はナローの光です。

ただこの場合、足下を照らすだけでなく、スタジオに設置してあるライトの影や透過するフラッグなどを通して複雑なニュアンスが生まれています。

スタジオの端の高い位置にナロービームリフレクターを設置。アンバー系のフィルターで色温度を落としている。透過率の高い斜幕や途中のライトに光があたり、複雑な光と影がモデルや赤バックに当たる。 斜幕にバウンスさせたLED 4灯の色温度も少しずつ変えることで、複雑な光をミックスさせている。

色バックでの撮影はフラットに見えがちですが、複雑な影だったり奥行きを感じますね。

ナローにアンバー系のフィルターをつけたり、4灯のLEDもわざと色温度を少しずつ変えるなど、様々な光をミックスすることで、自然光っぽく見せています。太陽の光は雲でディフューズされたり、緑の葉を通り、建物に乱反射します。あえて雑に作った方が自然光っぽく見えやすいです。

商品撮影では、照明の色温度を合わせることが重要ですが、自然光には様々な色が含まれた複雑性がある、ということですね。

そうですね。スタジオで撮影する時でも自然光を再現できたらいいなと、日々試行錯誤しています。

トップス、スカート/RYUNOSUKEOKAZAKI

この衣装はスタイリストのMIYAMASUさんから、農業用の網を使っていると伺いました。

洋服がメッシュなので、バックからの透過光がいいなと思いました。

「傘トレ+斜幕」をメインにして、手前から白カポで起こしています。天井にむかって打っているのはベースライトです。白ホリ側に背を向けて撮っているので、カメラの後方全体からやわらかく光を回しているイメージですね。

農業用のメッシュをアレンジした衣装。ライトは斜幕越しの傘トレを白カポでおこしている。天井方向に向けた1灯で白ホリ側にまわして柔らかな光をモデルに当てている。

トップス、スカート/RYUNOSUKEOKAZAKI

白ホリスタジオの撮影は「傘やソフトボックスでやわらかく」という比較的淡白に捉えがちですが、今回の撮影で、光の揺らぎや奥行き感、天窓の陰影、発光感など、色々な展開を見せていただき、スタジオでの光の作り方が若手にも勉強になったと思います。

ありがとうございます。もちろんシンプルな1灯ライティングの時もあります。ただ複数台使うことで、表現の幅も広がりますね。

今回「B10 PlusのLED(モデリング)が予想以上に使える」という話でした。

普段、ASTRAやSkyPanelのLEDを使うことが多くて、B10を定常光として使用したことがなかったので面白かったです。あとはフルでバッテリーがどのくらい持つのかな、というのがありますが、スチルの1シーンであればこれで十分ですね。

斜幕に向けて照射されていました。

LEDがいい意味で予想以上に明るかった。直射だと肌が生っぽく感じたので、バウンスしてちょうどよかったです。

プロフォトアプリで「Pro-11」をコントロールできる(スマホのカメラで撮影も可能)。 ファームウェアのアップデートもワイヤレスで行えるようになった。

最後に、ライティングのインスピレーションはどこから得ていますか。

「日常の光」ですね。自然光をよく観察するようにしています。ハウススタジオであれ外であれ、自然光の色や光の方向、人に当たってどのくらい返っているのかとか…。

ライティングが上手くなる早道はなくて、経験が全てです。経験値を高めることしかないと思うので、様々な光を見て感じ、作って、試すしかない。プロフォトのストロボやアクセサリーを使うことも“自分の好きな光”を見つけるきっかけになると思います。

Profoto Pro-11

●主な仕様
最大出力:2400Ws
出力レンジ:11 f-stops (2.4-2,400Ws)
出⼒調整単位:1/10または1f-stops
リサイクルタイム:0.02-0.7s(ハイスピード最⾼秒間50連射)
フラッシュモード設定:フリーズモード(最速閃光時間) /通常モード(カラーバランス優先)
閃光時間t0.5:通常モード:1/800s(2,400Ws) 1/12,000s(2.4Ws)
フリーズモード:1/1,000s(2,400Ws) 1/80,000s(2.4Ws)
ワイヤレス接続:
Profoto リモートでのAirTTL 接続対応、Profoto アプリでのProfoto AirX 接続対応
無線動作距離:Profotoリモートから(Air):最⼤300メートル
大きさ:210×290×300mm
重さ:13.2kg
本体価格:1,818,000円(税別)
https://profoto.com/jp/pro-11

Phtographer

伊藤彰紀

1977年 生まれ。
1996年 渡米。
2001年 ニューヨーク州立大学バッファロー校卒業。
2003年 フリーフォトグラファーとして独立。
帰国。
2012年 aosoraに所属。
https://aosora.info/akinori-ito
https://www.instagram.com/akinoriito_i/

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