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#INTERVIEW TYOの海外リモートディレクション・撮影プロジェクト「Remote World」

海外での撮影案件を日本からリモートでディレクションし、企画から編集までを行う「Remote World」

TYOの海外リモートディレクション・撮影プロジェクト「Remote World」

映像コンテンツ制作会社の「TYO」は、海外での撮影案件を日本からリモートでディレクションし、企画から編集までを行う「Remote World」を推進している。
今回、パリのプロダクションと協力して制作したプロモーションビデオ「LA FABRIQUE ROYALE『Reboot』」を手がけたTYOのディレクター北村拓司さんと、プロデューサーの馬詰正さんに、「SHOOTING チャンネル」でインタビューを実施。リモートディレクションのメリットや課題などを訊いた。
(*本特集は「SHOOTING チャンネル」より再編集しています)

Interview:坂田大作(SHOOTING編集長)・中村早希(アシスタントMC)

坂田 はじめにTYOの会社の紹介とお二人の仕事の紹介をお願い致します。

馬詰 TYOは創立して38年になるフィルムディレクターが社長をしている広告制作会社です。僕はそこで、20年くらいプロデューサーをしていて、主にヘアケアとかビューティーとか、そういった広告を多く作っています。馬詰と申します。

馬詰正さん。

坂田 よろしくお願いします。

北村 北村拓司です。クリエイティブディレクターと、あとフィルムのディレクション、たまに映画制作、最近ではデザイン方向のこともやっていたりします。よろしくお願いします。

北村拓司さん。

坂田 コロナ禍において、TYOが海外とコミュニケーションをとりながら「Reboot」という新しいコンテンツを発表されています。

「リモート制作って大変そう」というイメージがあります。どうやってこの企画が進行し、打ち合わせから撮影の本番、編集まで、どのような流れで行われたのか、TYOのお二人に伺っていきたいと思います。

“REBOOT” PARIS X TOKYO Remote Directing Project
 
 
北村 それはもう、最初に言い出したのはこの人なので(笑)。

馬詰 そうですね。僕たちは世界中に出かけて世界の風景を撮ったりとか、世界中のセレブを撮ったりとか、海外からスタッフが来たりとか、普段そういう仕事をしているわけです。

今年4月から5月にかけて、コロナ禍で日本も緊急事態宣言が出され、「どうやって仕事を再開していくのか」ということを、世界中の仕事仲間と話していたところがあります。その中で持ち上がったアイデアの一つが、リモートによるディレクションだったり、リモートによる撮影でした。映像を作ってみることで「解決策の一つになるんじゃないか」というところからスタートしました。

そのタイミングで、パリにある「N EUROPA」というプロダクションから、「パルクールのランナー達のプロモーションビデオを作りたい」という相談がきました。じゃこれを“リモートディレクション&リモートシューティング”のテストケースとすることで、いろいろ見えてくることがあるのではないか、ということになり、制作を決めました。

坂田 パリのプロダクションとコラボして作るということになるわけですね。

北村 あの時期だよね。様々な国のコーディネーション会社からプレゼンとか、相談ベースみたいなの結構あったね。

馬詰 ちょうどその頃、一つはオーストラリアのミュージックビデオの話と、もう一つはタイのイベント映像の話が、並行して動いている状況でした。

北村 アメリカはきてないの?

馬詰 アメリカはロックダウンの状況が酷いというか、撮影の再開の見通しっていうのが一番不透明だったというか…。最近は、ロスなどは始まっています。ロスではリモートの実績事態は一番あったと思うんですけど、先に動いたのはヨーロッパとかアジアかな。

坂田 実際「海外チームと作りましょう」という話になって、じゃあ内容どうするとか、どういう風に進めるのっていう、最初のコミュニケーションから始めないといけないわけですけど、もうそこからすべてオールリモートなわけですよね。

坂田大作

馬詰 もちろんそうですね。ですので、最初の打ち合わせのオリエンの段階のスタートからずっとリモートでパリとつないで、時差も日本からマイナス7時間、地球の裏側なんですけど、打ち合わせを続けました。

坂田 企画が始まってから編集が終わって公開するまで、どのくらいの期間でできるものなんですか。

馬詰 いちばん最初にパルクールの話が持ち上がったのは5月末ですね。実際に打ち合わせを始めたのは6月8日頃。そこから3週間準備して6月30日に撮影しました。

坂田 「ロケ地をどこにしようとか」「どういう風なカメラアングルにしようとか」、スタッフィングも勿論そうですし、そういうのはその3週間の間で色々詰めていくっていう感じですか?

馬詰 そうですね。最初にリモートでオリエンテーションするわけです。リモートしていると、“アイデアをどのように先方に伝えるか”ということが非常に重要になってきます。そのやりとりが10日間ぐらい、週5日ぐらいはパリと繋いで打ち合わせしていたかもしれないですね。

北村 多分、企画の一発目としてその位の期間はリモート関係なくかかるとは思う。ただコロナじゃなきゃもっとスムーズにいくはずだよね。コロナだったから向こうの状況もわからなかった。あと出演者の状況も結構もやもや動いて、どうなるかわからない。ただそれが現状、一応アフターコロナと言えるなら、その辺は今後もう少しスムーズにいくんじゃないかなって感覚はありますけどね。

坂田 ちなみに会話は何語になるんですか?

馬詰 パリにいるN EUROPAのプロデューサーは、日本語とフランス語のバイリンガルなので、僕たちは日本語で話していて。そこの先にいるカメラマンですとか、例えばオーディションしていればキャストですとか、ロケーションハンティングするコーディネーターですとか、そういう人たちはそこからフランス語になってくっていう感じですね。

Akinori Fioreさん(N EUROPA プロデューサー)。

坂田 我々も普段の打ち合わせはZoomとかGoogle Meetとかリモートでしますし、会話まではやれるのかなってイメージはあったりはするんですけど、撮影っていうところが入るわけじゃないですか。それを今後リモートで行うのは、やっぱり大変なんじゃないかなって想像しちゃうんですけど、そこはいかがですか。

馬詰 確かにリモートで行う撮影・ディレクションで最も難易度が高いのは“本番撮影”のところにあります。

そこにはやはりこちらから、どういう映像を撮りたいのかっていうことをキチッと整理して、無駄を省いて、強いアイデアにしたものをあちらにパスする。むこうで伝言されていく中で、そのアイデアがブレることなく、スタッフに伝わっていくことがすごく大事だなって感じました。

中村早希

中村 メイキングを見させていただいたのですが、結構スムーズにやっているのかなっていう印象があったんですよね。

北村 編集しているからね(笑)。

中村 リモートでここまで出来るのってすごい!と思って。

北村 苦労したのはロケハンで「ああ、これは不便だな」って感じはちょっとありましたけどね。

普段と違うのは、企画上は、一応こんな絵を撮りたいみたいなのはあるけれども、それがそもそもできるかもわかんないじゃないですか。だから向こうでカメラのフレームを見せてもらいながら、ロケハンにカメラマン、DPも来てくれていたし、あと出演者も来てくれていたんですよ。ここのロケーションでこんなアクションができるっていうことがないとこっちも考えられないので。

カメラマンやDPもロケハンに同行した。

ちょっと不便さはありましたね。これ「もしかしたら演出コンテなんか描けないぞ」って言っていたから。

その場のノリで大体の場所だけはピックアップしておいて、現場でやっていくしかないのかなと、当初は考えていました。ただ結果的には描いたけどね。向こうで撮ってくれたものを厳選して。通常とはまた違うのだけど、香盤をきったよね、最初にね。そもそも何カ所でできるか分からないとコンテ描いても無駄じゃん、っていう部分があったから。

まず一日でどのくらいのカット数いけるのか、実際にアクションする人の、ここでどんなアクションができるか。その上で、カメラのこんなアングルですっていうのもなく、いつもよりも考えなきゃいけない部分が多くて。それを絵にしていくという作業になりましたね。

馬詰 そうですね。ロケハンしているっていうのが、リモートの技術的なテストも兼ねていて。リモートで撮影ディレクションするためには、あちらで回っているカメラが撮っている絵っていうのが日本側に伝わってこないと、何を撮っているかわからないのでディレクションができない。

ロケハン後に日本で作られたカンプ。

それと同時にあちらにいるスタッフとコミュニケーションするための、もう一つモニターの回線があります。メイキング映像にもその様子が入っているんですけど、その二つの画面が技術的にキチッとこちらに伝わるっていうことが、“リモートディレクション”っていうことになるんですね。

ですので、ロケハンしている時に、今回使ったのはPSUっていうシステムなんですけど、それがキチッとロケ場所からこちら側に伝わるかっていう。そのことと同時にテストになっている、そういう形を組みました。

北村 整理して言うと、スタッフ間もやりとりするZoomの画面が一つあって、実際本番で撮っているカメラのアングルをチェックするモニターの二つを見ながら、お互いがコミュニケーションをとっていくっていう体制だよね。

坂田 白ホリとかハウススタジオであれば、その空間が限られるので、ある程度フィックスで見えるものがあれば、いけそうだなって気はします。ただ街中や橋の上、階段のところとか、あちこち動くじゃないですか。ロケ場所もどんどん移動して撮られているので、決めていくのがすごく大変だろうなって。

いきなりハードルの高いことをされている感じがしました。それが2回線を確保して、状況とカメラアングルをチェックしながら見極めていくっていくとこなんですかね。

北村 通信が切れたもんね、結構(笑)。やっぱり途中で撮っている映像がピュッと消えて。あっ、繋がってないよー、繋がってないけど現場止められないから、とりあえず回しといてっていう…。

撮った後、スタッフとやりとりしているカメラで、今度はモニターを見せてもらって、「あ〜大丈夫だね」みたいな。そんなのもあったね。

馬詰 通信回線が弱いところは、そんなことも交えながら撮影を続けるっていう感じですかね。

北村 場所によって通信の環境が変わるからね。やっぱりそこの不具合は多少あったよね。

坂田 パリのような都会でも、通信環境によって切れることがあるわけですね。

馬詰 そうですね。橋の下とか。そういうところで回線が弱かったり。回線の強弱って、場所によってまちまちなので、そのテストっていうのは成功の鍵、肝になることは間違いないです。なので、ロケでリモートシューテングをするっていうのが、一つのテストケースとしては非常に意味があるかなと考えています。

坂田 撮影って、スタートしたら終日するわけじゃないですか。お二人の印象として、撮影当日は指示しながら意外とすんなりいけたのか、かなりストレスはあるのかどういう印象ですか。

北村 確か、最初からつまずいたもんね(苦笑)。何がつまずいたんだっけ?

馬詰 最初ですね、ロケハンしていたら、スタッフがパリで移動している時に、予定されていなかったデモが行われていて…。スタッフが次のロケ場所に行けなくなったんですよ。3時間後にもう一回繋ぎ直して再開みたいな、そんなことをやったりとか。

同じ現場にいない分、何かが起こった時にどういう風に対応するのかっていうのは、またちょっと違う、みんな一緒にいるのとは違うやりとりになったところはあります。

北村 丁度、Black Lives Matterのデモの騒ぎの時。デモとは別に、撮影の初端からなんかつまずかなかったっけ?

馬詰 撮影はですね、朝日を撮っていたんですね。パリ時間で夜中の3時ぐらいから準備していました。3時から朝日が出る直前まで、回線の状態が非常に悪かったんです。まあ、ギリギリ繋がったんですけど。

北村 そういう意味で言うと、パリ側でも技術とか、通信環境の課題があぶり出されたから「すごくためになった」って言っていましたけどね。

坂田 北村さんの指示で「もうちょっとこっちから撮れないか」とか「最初に握手しているからここではやめよう」とか。メイキング映像を拝見すると的確に指示されたのかなって印象はあります。

北村 そういう印象あります?

中村 あります。「カメラ位置をもっと遠くから」とか話されていましたよね。結構指示していらっしゃるなと。

北村 意識的にやっていたのは、あんまり口出しすると絶対失敗するなと思って。
普段だったら、間近で感情を伝えたりしていくじゃないですか。それができないので、基本的には向こうのスタッフの力を信じるしかない。あえて普段よりは踏み込まないようなスタンスはとっていましたね。

役者が自分から出してくれる芝居とか、そこを大事にしようっていうのと、あとカメラマンのセンスっていうのを、ものすごく信頼して任せるっていうのを、意識的にかなりやっていました。じゃないとね、細かいこと言い出すと色々難しくなる。

中村 やっぱりそこも信頼関係ですよね。

北村 役者さんと話す時も、自分の喋り方で熱量とか伝えたりとかするでしょ。それができないから、半端なことになると思って。

ロケハンのときからもうそうだったんだけど、「まずカメラマンの好きなフレーム見せて」っていうのをお願いしてやっていましたね。

カメラマンにもタイプがあって。「言った通りにやります」みたいなタイプもいるし、でもフランスとかだと逆にすごくうるさかったりとかするから、「なんでこのアングルなの?」「このカットで表現したいお前のビジョンを話せ!」みたいな、すごい理念の話を、特に自分の感覚で言うと、フランスの人ってすごいそここだわるっていう感覚があったから。

そこの理屈をちゃんと伝えつつ、「じゃあこのシーンに対するお前のビジョン見せろよ」って先に言っちゃおうと思って(笑)。そこをすくって活かしていくみたいな演出方法を取りましたね。

馬詰 お互いにリスペクトがありつつ、提案型のやりとりができるようなスタッフィングでないと、そもそもリモート・ディレクションが成立しにくくなります。

北村 オペレーターばっかり集まってもちょっときついかもね。

馬詰 どうすればいいの? ということになっちゃうと出来上がらないっていう…。

坂田 とは言え、東京から全ての指示もできないですしね。

北村 限界があるんですよ。今後、広告を作る時とかの課題に、多分これからなっていくのかなと思っていて。「もうちょっとこっちがこう」とか細かいこと言い出すと崩壊する気がしていて。

やっぱり現地のスタッフたちの空気感とかは伝わってこないわけね。「なんだよ」みたいな雰囲気になったりするわけじゃないですか(笑)。そこらへんもわかんないわけですし。「こんなものできる訳ねーよ!」とか。時間と進行度合いとか、みんなの焦りっぷりとか…。

特に重要なのは“太陽が見えていない”こと。ロケだったら普段太陽を見ながら自分で割り振るわけですよ。「このカットをあと3分で終わらせなきゃ」とか。そういうことができないから、細かいこと言い出したら多分きついだろうなと。

馬詰 そういうのは間違いないですね。

北村 ほんとに思ってる?

馬詰 そのことって、リモートじゃない作業でもそこがきちっと整理されているっていうことが、成功への近道になる。リモートすることで、リモートじゃない作業を見直すっていうか…。そういうこと非常に意味があるなと思うんです。

北村 枝葉とか細かい部分の演出ではなく、一番大事になってくるのって本質。このカット、このストーリーの本質をとにかくブラさないっていうことだけを意識する。このカットで表現すべきこと、このカットの本質はこう。クリエイティブの本質みたいものの理解、それがリモートで炙り出された気がする。

坂田 大事な芯をちゃんと伝えることによって、あとやっぱり向こうのスタッフを信頼して、ある程度アレンジしてもらうみたいなところになるんですかね。

北村 彼らが見せてくれた絵で、本質からブレていたら言いますけど、ブレていないんだったらやってもらっちゃった方がいいかなって。

あとはメイキングにあった「もうちょいカメラ後ろから」っていうのは単純な技術論です。これ単純に後ろからステディ(カメラ)が動きだしたら入るじゃんっていうのを、なんで気づかない?とか。

中村 そういうことなんですね。

坂田 撮影の本番に至る前のスタッフィングとか事前の打ち合わせがかなり重要ですね。

馬詰 そこが結構全てです。距離も時差も言葉も壁がある中でやるならば、そこのところがきちっと準備されていると、無駄がない、きちっと出来上がる、ということになるのかなと。

北村 あともう一つすごく大きい要素は、我々と現地スタッフの間に入ってくれる人が優秀じゃないときつい。N EUROPAのアキさんって、無茶苦茶優秀な方だったんですよ。そこがグダグダになると多分ダメだろうね。コーディネーターさんたちの質というか、実力が多分ものすごく大事になってくると思います。

坂田 そうですね。“意思疎通の要”みたいなところですよね。

北村 多分、俺がいなくてもアキさんだったら現場回してるよ。というくらいな人がいてくれると、すごくスムーズになると思いますね。

馬詰 リモート先できちっと受け取る人がいるっていう、そういうことが非常に必要ですね。

坂田 撮影が終わって、編集・グレーディングに入るわけですが、それは日本で作業するわけですよね。そこからはもう仮編とかをやってから、向こうとコミュニケーションを取る感じですか。

馬詰 そうですね。グレーディングなどはカメラマンと一緒に進めるところでもありますので、編集室からZoomで繋いで、データをやりとりして完成のイメージまで持っていきます。

坂田 そこもリアルで、リモート編集されているんですか。

北村 カラコレはリモートしましたね。カメラマンと。

でも、やっぱりいてくれて助かりましたね。こっちでカラリストとやっていたけれど、撮った本人の「こんな風にしたいんだ」っていう話が聞けて、なるほどって。大分いい感じになったかなと思います。

リモートで現地とやりとりしながら、編集やグレーディングを実施。

TYOの今後の取り組み

坂田 コロナ禍が続いていくという中で、海外とのリモートワークというのも継続していくと思うのですが、リモートディレクションはTYOの中で今後どのように展開されていくのでしょうか。

馬詰 リモートっていうのは、映像業界の中で必要とされていく技術になると思います。広告主がいるような、例えばテレビコマーシャルとか、そういうものに応用していきたいなと思っているんです。

実際に先月からは二つくらい動いています。一つはオーストラリアで、街の光と影を撮影するようなコンテがあって、その背景素材をオーストラリアとリモートディレクションする。その背景を使って東京のスタジオでタレントと合成するというリモート撮影が行われます。

あともう一つは、中国のクライアントで日本人の方が技術者として参加しているような企業なんです。その企業のブランド広告を中国で作るにあたって、日本の技術者の方のパートを、中国にディレクターがいて、日本が受け側としてリモート撮影する。

坂田 逆パターンですね。

馬詰 そういう案件が実際に動き出しています。これからリモートの技術っていうのがより洗練されて広がっていくことで、映像の作り方がもう少し多様化するといいなと思っています。

坂田 クライアントがいる仕事で、もうそれが始まっているっていうことですよね。

北村 “外国の企業が日本で撮る”逆パターンっていうのが、増えそうな予感がする。

馬詰 実は「日本を撮りたいけど撮りに行けない!」っていうクライアントが相当いるのかなと思っていまして。そういうところに向けてプロモーションもかけていきたいなと思っています。

中村 新しい時代になりそうですね。

馬詰 新しい時代はもう、始まっているからね。

坂田 めちゃめちゃ上からきたね(笑)。新しい時代とか。

北村 でも海外じゃなくて、地方ロケも出来ちゃうんです。

馬詰 リモートするのは大きく二つあると思っています。一つは撮影の現場っていうのがやっぱり少し密になるんですよね。カメラ前には演者さんたちがいますし、後ろにはスタッフがいる。見えないけどたくさんいるわけです。広告の場合は、エージェンシーの人たちも広告主もいるっていうような現場。それをどのようにリモートで分散させるか。もう一つは冒頭に申し上げたような、海外と仕事をするということを、どうやって続けていくのか、その二つですね。

北村 クライアントやエージェンシーの担当者も、実は現場にいてもモニター越しに見ていることも多いから、彼らにとってはそんなに違和感がないのかもしれないなと思っています。意外とすんなり受け入れちゃうんじゃないのかなと。なんだったら自宅で現場を見られる状況になるわけです。

坂田 リモート案件がどんどん増えてきて、通信速度もさらに速くなり、ハード・ソフトも改良されて、一つの方法として当たり前のように確立していく感じにはなっていくかもしれないですね。

馬詰 そうですね。そうなるのかなと思っています。

坂田 コロナ禍で、日々の仕事やミーティングも当たり前のようにリモートで行われるようになりましたよね。大きな広告案件でも、普通にリモートがワークフローとして組み込まれる時代になってきますね。

中村 リモートで撮ってみたいものとかありますか?

馬詰 海外と“スポーツ選手のライブ中継”みたいなものをリモートで撮ってみたいですね。今年初めの頃、アスリートたちをドキュメントするっていうことで、結構ロスとか行っていたんですよ。

坂田 現地でアスリートを撮る?

馬詰 アスリートを追っかけていたんです。でもコロナの影響でそういう仕事もなくなってしまった。だけどリモートでアスリートに密着したら、どんな絵が撮れるんだろうと…。そんな撮影をしてみたいなと思いますね。

中村 いいですね! 今後繋がれそうですね、いろんな国の方と。

馬詰 この繋がりが切れないように、リモートっていうのは活躍するんじゃないかな。

坂田 リモートができれば、国内海外関係ないですよね。逆にどこでも撮れちゃうよっていう。通信環境の問題はあるとは思いますけど。

北村 リモートで出来ちゃうこともあるんですけど、僕は現地に行きたいです。

坂田 最終的には(笑)。

北村 だって絶対行った方が面白いもん。あ、そんなこと言っちゃだめか(笑)。

馬詰 まあ共存していくとは思うんですけどね。

坂田 両方ありですよね。現状だとまだ二週間拘束だとか色々あるけど、そういうのもだんだん緩和されてくると、もう少しスムーズに渡航もできるようになりますし。

北村 リモートの可能性として、例えば地方のスタッフとか、今まで広告の仕事をしたことのない人たちとか、そういった方達がもう少し気軽に参加できるようなツールとして使っていくと、可能性が広がるんじゃないかなと。

もっと気軽に、しかもその土地のスタッフとか役者さんとかと一緒に仕事ができるようになると面白いなとは思いますね。

坂田 地方でいい映像を撮られている方とか、普段はなかなか掘り起こせてなかったりすると、この機会にそういう方々を見つけて、地元の風景とかお祭りとか リモートで撮れたりするかもしれないですね。

北村 地方にも優秀なスタッフは沢山いますからね。そういう人たちと気軽に繋がっていけたら面白いんだろうなと思います。クライアントさん含めて。

坂田 「リモートでもいいもの作れますよ」ということになっていくと、リモートとリアルの境界線もなくなるかもしれないですよね。今はまだ“リモートが”って言ってますけどね。普通に「この案件はリモートで」みたいな形でなっていく気がします。

馬詰 そのとおりだと思いますね。

坂田 今回、その先がけでお話いただき、ありがとうございました。是非また次の新しいトピックがあれば、お話伺わせてください。

馬詰 よろしくお願いいたします。
 
 

“Reboot” Paris×Tokyo Remote Directing Project
https://www.youtube.com/watch?v=Onq26qDSEY8

Behind the scenes of the film “Reboot”
https://www.youtube.com/watch?v=-1pugdDl4B0

TYO
http://group.tyo.jp

remote world
http://group.tyo.jp/news/pressrelease/6433.html

N EUROPA
http://www.n-europa.net

馬詰正
https://vimeo.com/umaz

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