TOPINTERVIEW皆川 聡× FUJIFILM GFX100

#INTERVIEW 皆川 聡× FUJIFILM GFX100

富士フイルムから発売されたラージフォーマットのデジタルカメラ「GFX100」。1億画素のセンサーを35mmデジタルカメラとほぼ同等の筐体に収めながら、数々の最新技術を搭載している話題の製品だ。
今回、広告写真のフィールドで活動し、GFX50Sの撮影経験もあるフォトグラファーの皆川聡さんに、GFX100で撮り下ろしを依頼。これまでは中判のデジタルバックと35mmデジタル一眼レフカメラを使い分けていた皆川さん。
プロにとって重要視されるワークフローの中での操作性と機動力、描写力をどのように感じたのか、印象を訊いた。

2019.08.30

皆川 聡× FUJIFILM GFX100

正確なオートフォーカスと優秀な手ぶれ補正、テザリング。
GFX100は、コマーシャル・フォトグラファーが待っていたラージフォーマットカメラだ。

Photo:皆川聡(MILD) ST:Toshio Takeda(MILD) Hair:HIROKI(W) Make-up:Nagisa(W) Model:Johana/Sarka(DONNA)
Interview:坂田大作(SHOOTING編集長) BTS Photo:堀晃

「GFX100」を最初に触った印象はどうでしたか。

ケースから開けた時は、ボディのデザイン、グリップを握った時の感覚、機動性は35mmデジタルに近い印象でした。というかほぼ35(サンゴ)ですね(笑)。

僕はX-T2も使っているので、感覚的にはフジのカメラには慣れているのも違和感がない理由かもしれません。「X-T2よりも少し大きいかな」くらいです。

      皆川聡さん。

35mmフルサイズ一眼レフのフラッグシップ機とほぼ同等のサイズ、重さだそうです。

そうなんですね。このボディに大きなセンサーが入っているんですよね〜。でも明らかに35mmよりもマウントが大きいので、そこはかとなく「只者ではない感」が伝わってきます。

      FUJIFILM GFX100

最初に便利だなと感じたのは、バッテリーです。このクラスだとよく1本の棒状のバッテリーが積まれますが、GFX100は小さいのが2個並列で入っているんですよね。

2個あるうちの片方ずつ減っていく構造なので、1つのバッテリーが減ったら取り出して充電をしておいて、もう一つのバッテリーだけで撮影できます。そうやって順番に回せば、予備のバッテリーは要らないかもしれないですね。

今回は、2つ入れて撮影していましたが、テザーで撮影している時は全然減らなかったんです。

バッテリーは2個搭載でき一つずつ減っていく構造。1つでも駆動可能。

フジからの情報ですと、テザー撮影でPCと繋いでいる際にスイッチオフの時はバッテリーが自動的に充電され、入れると給電になるそうです(USB PDに対応している機材と接続している場合)。

そうなんですね。どおりで「撮影していても全然減らないな〜」と思った(笑)。僕の仕事はスタジオでもロケでもテザーで撮ることが多いので、それは助かりますね。充電と給電ができるUSB-C PD(パワーデリバリー)接続のいいところですね。

モデルのヘアメイクを直している時とか衣装チェンジとか、合間合間は電源を切っているので、バッテリーの減りを気にせずに撮影に集中できます。

カメラの重さとかグリップの感触、シャッターを切った時の感覚とかはいかがですか。

縦位置グリップを使わないタイプなので、横位置で握ったまま縦でも撮影します。その時の感覚も35mmカメラと変わらないですね。シャッターを切った時の感触は気持ちいいですよ。操作に関しては嫌な感覚はどこもなくて、自然に操作できますね。今使っている中判のボディよりも全然いい(苦笑)。

有機ELファインダーですが、覗いた感じの解像感や視野率、フォーカスの見やすさなどはどうですか。

思った以上に見やすかったです。

モデルに指示を与え、手持ちで動きながら撮影していく皆川さん。

X-T2のファインダーが約236万ドットで、GFX100が約576万ドットです。

なるほど〜。解像力が2倍以上になっているんですね。その分よりデジタル感がなくなって自然な感じがしました。

GFX50Rで約369万ドット。ただしセンサーが違うそうで解像感だけでなく駆動もGFX100の方が速いそうです(リフレッシュレートがGFX100は秒間50P、最大85Pまでアップすることが可能)。

「フレームレート優先モード」これですね! 動きの早い被写体を追う時は、一時的に85フレームにすれば、残像現象が減ってより見やすくなるわけですね。すごい! 僕は仕事でアスリートたちの「動きのある撮影」もするので、これは使ってみたいです。

被写体があまり動かない撮影とか、普段はノーマル設定にして、スチルライフの時は「解像力優先モード」にして使い分けられるのは便利です。

なんと、この撮影の後に「GFX100+GFX 50R+GFレンズ」を購入されたそうですね!

そうなんですよ。本当に気に入って、買っちゃいました!!

おおっ、ジャストで収まっていますね。システムの構成を教えてください。

GFX100とサブ機としてGFX 50R、レンズ構成は、GF63mmF2.8 R WR/GF110mmF2 R LM WR/GF32-64mmF4 R LM WR/GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR/HC 50-110mm/マウントアダプター、充電器、ケーブル類を、Pelican 1560のハードケースに収納しています。

今後、皆川さんの仕事のメイン機種になりそうですね。

そうですね。まだまだ使いこなせていないですが、ファンクションの割り当てとか、自分のスタイルに合わせて、セッティングをしていこうと思います。

二人のモデルを使って、動いてもらいながらの撮影でした。手持ち撮影でのオートフォカスの精度はどうでしたか。

AFは速かったですね。本当に35mmのカメラを使っている感覚なんですよ。1億画素の大きなセンサーを積んでいるのを忘れてしまう…。約5.0コマ/秒だそうですが、つい35感覚で連写しちゃいます。

撮影時の設定は、可逆圧縮の14bit RAWでしていました、非圧縮の16bitRAWだとデータ転送が重くなりますし、クオリティ的にも14bit RAWで十分だと思います。動きのある撮影でもAFが速くて、フォーカスを合わせ直すとか、迷子になることもまったくなかったですね。

今まで動きのある撮影は35mmカメラを使っていましたし、事情で中判デジタルを使う場合は“予め決めたポイント”にフォーカスを合わせておいて撮るしかありませんでした。

デジタルバックに比べたら、AFのメリットが大きいですね。ほぼ全面がフォーカスエリアになっていて好きなところへポイントを持っていける。今回は使わなかったですが、「瞳AF」にしておけばピントを合わせる負担と不安がかなり低減されるので、それがものすごく助かります。

モデルに動きを指事しながら手持ちで撮影する皆川さん。PCとテザリングするスタイルは、普段の広告や雑誌撮影のワークフローと同じ。

PCのモニターで確認してもピンのはずれがほぼない感じがしました。

絞りは開け気味で撮っていましたが、それでもフォーカスはちゃんときてましたね。自分が使っていた中判カメラではできない撮影でした。

RAWデータを展開されてみて、色味の印象はいかがですか。

僕の場合はCapture Oneで現像することがほとんどですが、出てきた絵はシャープで色味もキレイでした。

広告の仕事では、横位置ワイド、縦位置サイネージ、ポスター等、サイズも判型もいまは多様化していて、1カットから様々な媒体にアレンジしていくケースもあります。そんな時でも画素数に余裕があると安心できますね。

GFレンズを4本準備しましたが、こちらはどうですか。

使ったのは単焦点の63mmと110mmでした。特に110mm(35mm判換算87mm相当)の絵はすごくキレイ。事前のテストでも110mmは開放の雰囲気が良かった。ボケ感に味がありますね。色にじみもないです。

フィルム時代から中判カメラを使っていましたが、GFX100はセンサーサイズが大きいので、6×7や645時代のレンズのボケ味や空気感が出せますね。APS-Cや35mmフルサイズのカメラとは、レンズの画角と焦点距離の関係が変わってくるので「ラージフォーマットでしか醸し出せない写真」が撮れます。

編集部からは「ビビット」「ヌケ感」的な要素を入れて欲しいとお願いしました。

今回はGFX100とレンズの操作性や機動性を試したかったこともあって、ライティングをしたくないなって考えていました。

ライティングで作っていっちゃうと動きづらくなるので、なるべく自然光でいきたいなと。梅雨時期でしたが、曇天でも「そこにある光」で撮ってみようと思いました。晴れましたけど(笑)。

「決めポーズ」よりも「動きの中で捉えていく」方が僕らしいかなというのもあって、ウォーキングしてもらったり、モデルの二人に絡んでもらったり…。速いシャッターを切るために高感度も使ってみたかったのでISO 400〜1600で撮っていますが、この感度域ではノイズもなく、まったく問題なかったですね。

GFX100とPCを接続して撮影。Capture Oneを使えることがプロのワークフローにとっては大きい。

室内ではCapture Oneでテザー撮影されていました。

そうですね。仕事でテザー撮影はマストですし、今回Capture Oneがフジのラージフォーマットカメラをサポートした意味は非常に大きいですね。

日本はもちろんですが、海外での撮影する際、現地のアシスタントやオペレーターを雇った時に、彼らが使うのはほぼ100% Capture Oneですからね。

設定を「ロスレス圧縮の14bit RAW」にして撮影していました。非圧縮のRAWデータだと1点200MBくらいになるので、こちらで十分かなと。

モデルにも動いてもらって、風も吹かせて、自分も動きながら撮りました。「偶然の中から生まれるカッコよさ」は連写の方が捉えやすいんです。

タブレットに画像を表示させることで、離れた場所でもビジュアルを確認できる。

タブレットにも画像をワイヤレス転送で表示させていました。

Capture Pilotを使って、iPadに転送していました。

GFX100からテザーでPCへ画像表示させていましたが、ほぼ同じタイミングでiPadにも表示されていたので、モデルはタブレットを見ながら「自分たちがどのように写っているのか」「どう動けばよいのか」わかりやすかったと思います。

これは広告撮影など、関係スタッフが多い時にも有効なツールです。

空抜けのシーンは、スタンドアローンで撮影されていました。

そうですね。SDカードへの記録撮影ではまったく滞らないので、35mmとほぼ変わらないです。

良い意味でカメラに「中判感」がないんですよね(笑)。三脚に固定したり、手持ち撮影なら「しっかり構えて」撮らないといけないとか…。今まで「中判のメリットと引き換えだったネガな部分」が消え去って「普通に」「簡単に」ラージフォーマットが扱えてしまう。

高画素カメラでも、手持ちで簡単に撮れるけれど大きくプリントしたらブレていたり、その画素数を生かすための撮影方法というか「お作法」があったと思います。

GFX100はセンサーが大きいのに、ボディ内手ブレ補正がガッツリ効いてくれるし、ミラーレス(ミラーショックがない)ということもあり、撮るのが難しくないんです。これは革新的なことですよ。

センサーサイズが大きいとフォーカスがシビアというイメージがありますね。

GFX100はAFがいいです。画面のどこでもAFが効くし、被写体に合わせて設定を変えることができるので便利ですね。これがあるかないかで全然違います。

ここでは使わなかった「瞳AF」は、追従力が凄いそうなので寄りの撮影で是非試してみたいです。レバーを使って測距点を移動させられるだけでも十分使いやすいですけどね(笑)。

右:像面位相差AFで、被写体が画面の端でも高速・高精度にフォーカスが可能。 (富士フイルム Webサイトより)

ボディ本体の価格は約120万円です。

中判デジタルのシステムには、今までもけっこうな額を投資してきました。何かあった時に備えて、カメラボディも2台必要ですし、レンズも8本くらい持っていたので、それはもう(笑)。

GFX100のボディは約120万円ですから、かなり魅力的なプライスです。アシスタントも興味津々です(笑)。僕がすぐに買ったこともあり、機材が手元にあるので「見せてください!」ってよく言われます。若いフォトグラファーでも、この金額なら導入できる範囲に入ってきます。

今後、メーカーに望むことはありますか。

レンズですね。Gマウントズームレンズとして、100-200mmは発売されていますけど、個人的には150mm単焦点レンズがあると嬉しいかな。35mm換算で120〜130mmなんですが、バストショット以上の寄り用に欲しいです。

テザーの転送スピードは速いにこしたことはないので、例えばより処理速度の速いプロセッサーを搭載したり、メモリ容量を増やした「GFX100 Pro」とか。それで価格が1.5倍になっても、必要な人は買う気がします。

GFX100を使うシーンは増えそうですね。

とにかくフォーカスが合わせやすいので、動きものの撮影で使うことは増えるでしょうね。今まで中判で撮影する場合は、立ち位置をバミッて、待ち構えて「そこに来たらシャッターを切る!」というやり方でしたから。

いきなり「羽がはえた!」くらい自由度が上がりましたね。これから様々なシチュエーションで使っていきます。マイカメラで!

FUJIFILM GFX100

●主な仕様
有効画素数:約1億200万画素
撮像素子:43.8mm×32.9mm ベイヤーCMOSセンサー 原色フィルター採用
手ブレ補正:センサーシフト方式5軸補正 補正段数5.5段
シャッタースピード:メカニカル+電子シャッター Pモード:4秒~1/16000秒 電子先幕シャッター Pモード:4秒~1/4000秒
連写:高速連写 CH 約5.0コマ/秒
フォーカス:モード シングルAF/コンティニュアスAF/MF(リング回転式)AF方式 センサー全面像面位相差AF
ファインダー:0.5型有機ELファインダー 約576万ドット(視野率約100%)
液晶モニター:3.2型 4:3アスペクト 3方向チルト式タッチパネル付きTFTカラー液晶モニター 約236万ドット(視野率約100%)
電源:充電式バッテリー NP-T125(2個、リチウムイオンタイプ)
大きさ:EVF装着時(幅)156.2mm×(高さ)163.6mm×(奥行き)102.9mm (最薄部48.9mm)
重さ:約1,320g(付属バッテリー2個、 メモリーカード含む)、 EVF装着時: 約1,400g
https://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/gfx/fujifilm_gfx100/

Phtographer

皆川聡

1990年 渡米。
1996年 Colorado Institute of Art 卒業。
1999年 フリーランスフォトグラファーとして活動。
2005〜2011年渡英。
2015年 MILD Inc.に参加。
http://satoshiminakawa.com/
http://www.mildinc.com/minakawa/

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