TOPINTERVIEW「黒田明臣」×「BenQ SW271」 写真編集に最適! 高性能&高コスパで人気を集める27インチ4Kカラーマネジメントモニターに注目!

#INTERVIEW 「黒田明臣」×「BenQ SW271」
写真編集に最適! 高性能&高コスパで人気を集める27インチ4Kカラーマネジメントモニターに注目!

ベンキュージャパン(BenQ)から発売されている、27インチの4Kカラーマネジメントモニター「SW271」。
4K UHDの高解像度、Adobe RGB 99%、sRGB 100%をカバーする色空間を実現し、
微細なディテールや質感など、驚くほど鮮明な画像を再現する。

今回は、フォトグラファーとして活躍しながら、数多くのセミナーを開催し、カラーマネジメントやキャリブレーションなどの知識が豊富な黒田明臣さんが登場。フォトグラファーという視点から「SW271」の印象を語ってもらった。

Interview:坂田大作(SHOOTING編集長) Text:福田紀子 Photo:阿部大輔(bird and insect)

2019.02.22

「黒田明臣」×「BenQ SW271」 写真編集に最適! 高性能&高コスパで人気を集める27インチ4Kカラーマネジメントモニターに注目!

フォトグラファーの仕事は
「正しい環境でイメージの色に仕上げていく」こと。
27インチの4Kなら、その質を上げてくれる。

黒田明臣さん。

もともとは写真とは関係のないお仕事をされていたと伺いました。

フリーランスのエンジニアとして、大規模プラットフォームから新規サービスの立ち上げまで、Webサービスを中心に設計やディレクション、開発の仕事をしていました。

フォトグラファーとして活動するようになったきっかけを教えてください。

2012年頃にデジタルカメラを購入し、旅行先で写真を撮るようになりました。その頃は趣味程度だったのですが、2014年に写真家の魚住誠一さんが主催する「ポートレート専科」というポートレートジャンルに絞った日本最大級の合同写真展に出展したことをきっかけに、写真に没頭するようになりました。ポートレート専科に出展している人たちって、とにかくアツイんです(笑)! 彼らと触れ合ったことで、それまで旅行のときに持ち出すくらいのカメラだったのが、「写真って楽しいな」と思うようになり、撮るために出かけるようになりました。そこから本格的に写真を勉強するようになって、今年で5年目になります。

仕事の傍ら、国内外のSNSやコンテストを中心とした作家活動を続けていくうちに、デザイン会社や出版社などから仕事の依頼をいただくようになり、商業写真家にシフトしました。現在は、広告写真や雑誌、ビジネス写真を中心に活動しています。

TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036), .Frame タイアップ:Model=近衛りこ

株式会社ヒーコも立ち上げられていますよね?

はい。ヒーコは大きく2つの事業に分かれていまして、ひとつはSNSに強いビジュアルコンテンツの制作になります。「SNSやWeb上で高インプレッションな写真撮影ができるフォトグラファー」という点をセールスポイントにして、2017年より始めました。もうひとつはメディア運営で、写真とカメラに関するWebマガジンになります。フォトグラファーとしての仕事が多くなってきて、個人ではなくてヒーコを通して受けるようになり、必要に応じて業務範囲が拡大していきました。

黒田さんの具体的な業務内容を教えてください。

よく「黒田さんは何の仕事をしているの?」と聞かれます(笑)。SNSで発信し続けているわりに、あまり説明しないのでわかりづらいみたいですね。まずは2016年末に起きた2つのターニングポイントの話をさせてください。

ひとつ目はヒーコでWebメディアをスタートさせました。写真を学んでいたときに、国内メディアの多くがカメラのスペック的な情報やニュートラルな写真ばかりで、学習するのに困った記憶があったんです。それに比べて海外ではフォトグラファー署名表記の記事がたくさんあります。日本にも作品性とストック性が高く、フォトグラファー目線で発表されているメディアが必要なのではないかと思い、フォトグラファーによる写真とカメラのWebマガジンを作りました。最初はひとりでやっていたのですが、少しずつ友人を巻き込んで今の形になりました。今は企業とのタイアップなども増えてきて、フォトグラファーに仕事を依頼することができるのですごく嬉しく思っています。

2つ目は、商業写真の撮影の仕事を受けるようになり、依頼が増えてきたところで、料金や撮影した写真を掲載した出張撮影のホームページを作りました。そこから依頼を受けられるようにして、スケジュールの問題で自分が撮影に行けない場合でも、知り合いのフォトグラファーが代わりに行けるような仕組みにしました。

この2年間は、ヒーコでのメディア事業、商業撮影の事業、そして個人として営んできたエンジニアリングサービスの3本柱で走り続けてきました。

プロップ:求愛行動 HM=小夏 Model=渡邉リサ・ヴィナ

幅広くご活躍されていますね。最近の状況はいかがでしょうか?

2018年頃からヒーコにフルコミットするようになり、長らく続けてきたエンジニアリングの事業を辞めました。今年からは株式会社アマナとの業務提携も発表し、写真をはじめとしたビジュアルコンテンツという領域で、プレイヤーとしてもマネージャーとしても注力することにしました。

ヒーコのメディアは継続していくのでしょうか?

もちろんメディアは続けていきます。実はもう、運営はほとんどスタッフに任せているので、僕は依頼を受けてプレイヤーとして記事を寄稿したり、セミナーを開催したりする形態になっています。あとは商談くらい(笑)。

得意な撮影のジャンルやセールスポイントを教えてください。

写真業界に入るきっかけになったポートレート撮影が好きですね。セールスポイントはライティングです。必ずしも機材的な話ではなくて、自然光であっても「どうやって撮ったんだろう」と考えさせてくれるような写真が好きなんです。ヒーコのセミナーや外部から依頼されるイベント、セミナーでもライティングや光に関する話を求められることが多いですね。

HM=Iveta Duong Model=関根なつみ

撮影やライティングは独学ですか?

すべて独学です。日本だとライティングやカラーマネジメントの本ってほとんどないので、海外メディアのWebサイトを読んだり、海外から専門書を取り寄せたりしながら勉強しました。

使用機材を教えてください。

今のメインはライカとソニーのα7R IIIです。基本的には雑誌のポートレート撮影はライカ、ライカで撮れないような場合はα7R IIIを使っています。使い分けたり、同時に使ったり、いろいろです。月に数回、雑誌の撮影で中判のフィルムカメラを使うこともあります。

レタッチはご自身でされているのですか?

自分でしています。僕、レタッチも独学なんですよ。だからプロのレタッチャーの方に教わってみたくて。「IINO GRAPHIC IMAGES」×「BenQ SW271」の記事を読んで弟子入りしたくなりました(笑)!

レタッチ中の黒田さん。

フォトグラファーの場合、撮るときもレタッチするときもモニターは重要ですが、今回「SW271」を 1ヶ月ほど使っていただきました。印象をお聞かせください。

ついに「27インチの4Kがきた!」と思いました(笑)。僕の場合、普段からiMacの5Kディスプレイモデルと、27インチのカラーマネジメントモニターをデュアルモニターで使っているのですが、解像度の差があって違和感を感じていました。4Kの「SW271」とのデュアルモニターだと、理想的なバランスで作業することができて楽しかったです。

やはり27インチがいいですか?

画面サイズは大きいほうがいいです。例えば、しっかりレタッチしたと思っていた写真でもプリントしたり誌面上で見ると、「あれ、こんなところに粗が……」と、そこではじめて気づくことがあります。24インチから27インチになることで、単純に実寸が大きくなる。大きければ大きいほど粗に気づきやすくなります。今後は27インチがスタンダードになっていくと思います。

iMacではまったくレタッチ作業はしないのですか?

確認用途ですが、iMacも使っています。最近は最終媒体が紙(印刷)ではなく、Webという案件も増えているので、Webの場合はiMacでチェックするようにしてします。Retinaディスプレイのほうが高輝度なので、iPhoneやGalaxyなどスマホの画面に表示したときに近い色味になるんですよ。写真データを無線でiPadに送り、同時に確認することもあります。iPadをサブモニターにできるアプリ「Duet Display」は便利でおすすめです。

「SW271」とのデュアルモニターの良さはどんなところですか?

紙とWeb両方にプラスして、実際に閲覧ユーザーが多い作業環境を整えられるところです。高輝度かつ“Retineディスプレイ”というユーザー環境としてはもはやデファクトスタンダードともいえる環境として、iMacではスマホなどの画面に表示したときのチェックができるし、「SW271」では商業印刷やカタログ、雑誌などの印刷再現のチェックができる。さまざまな仕事に対応できる環境づくりは大事です。

「SW271」とiMacをデュアルモニターで使用。用途によって使い分けている。

PEACH(LINE株式会社):Model=ヨシダナギ

紙の場合、アウトプットまでの色味をどのようにコントロールしていますか?

まずは印刷用のプロファイルを作成すること、次にこちらが出したい色を印刷会社に伝えるために、色見本を作るようにしています。色見本がないと答えがわからず、色が転んでしまっていることにすら気づいてもらうことができません。色見本で目指す色を提示することで印刷会社側も作業しやすくなると思いますし、意図しない色になるリスクを最小限に抑えることができる。「手の届く範囲で自分の色を完全にコントロールする」ということが重要なんだと思います。色見本を付けていないのに、あとから「イメージと違う……」などというのはNGですね。

僕は写真業界に入って日が浅いので、最初は色見本の重要さがわかりませんでした。でもいざ仕事をしてみると、色やキャリブレーション、モニターに関することなど、商業ならではの大事なルールをたくさん学びました。

そうすると、自分の理想の色を出せる環境を整える必要がありますね。

フォトグラファーにとっての「キャリブレーション」は、「色見本として、イメージしている色をプリントできる環境を整える」ということだと思います。

話は変わりますが、「SW271」には光源ムラを修正するユニフォーミティ機能がありません。光源ムラは気になりましたか?

光源ムラは気になりませんでした。それよりも耐久性が気になりましたね。5年後も今と同じくらいの速度で安定するのかが気になります。私有のカラーマネジメントモニターは使い始めてから5年ほど経つのですが、色が安定するまでにかなり時間がかかるようになってきました。キャリブレーションしても「SW271」の色と違うので、正しい色になっているかどうかも微妙で……。

具体的にどのように色が違うのでしょうか?

色が違うというよりは、シャドウ部分の見え方が違うといったほうがいいかもしれません。アンダーギリギリの256〜246の間のヒストグラムを使っているときに、「SW271」では階調がきれいに見えているのに、私有のモニターではつぶれ気味でした。「SW271」はシャドウ部の再現性が有利といえそうです。

レタッチャーの方も同じようなことをいっていました。「今までよりアンダー目の写真のトーンがよく見える」と。

やっぱり! レタッチャーの方たちはよく、「シャドウに近い部分をレタッチするために、一度トーンカーブを上げて明るくした状態でレタッチし、またトーンを戻して確認する」という作業を繰り返し行っているそうですが、それでは作業効率が良くないですよね。リアルな状況でアンダーまでしっかり見えると、非常に作業しやすくなると思います。

僕の場合も、今まではiMacを高輝度にしておいて、つぶれて見えない部分はiMacでチェックするようにしていました。あまり本質的ではないワークフローです。でも「SW271」ならそんな無駄な作業をしなくて済むので、効率が上がりました。

Model=勝海麻衣(Cruva)

Adobe RGB 99%、sRGB 100%をカバーしている色域についてはいかがでしたか?

色味について不満に思うことは一度もありませんでした。紙とWebの両方で見ても、ちょうど良いバランスだなと思います。以前のモデルは97%で不安に思うこともありましたが、今回の99%という数値は信頼して使うことができます。

モニターの表示色‎は10bit(約10億7000万色‎)です。

もはや10bitは必須ですよね。10億以上の色で再現してくれるから、グラデーションは滑らかだし、暗い写真の微妙なトーンもしっかり表示してくれる。安心して作業することができます。

欲張りなことをいうと、10bitだと8bitのJPEGは完全にカバーできますが、RAWはカバーできません。カメラ側が14bit、16bitになってきているので、モニター側も対応してくれると、さらにリアルな色を見ることができていいですね。自分がそれを判断できるかはわかりませんが(笑)。

異なる色空間のコンテンツを横に並べて同時に表示できる「GamutDuo(ガンマデュオ)」機能は使われましたか?

使いました。同じ写真をAdobe RGBとsRGBで比較できるのはやっぱり便利ですね。今回は使いませんでしたが、画像モードを割り当てられる「OSDコントローラー」でAdobe RGBモード、sRGBモード、モノクロモードというようにカラーモードを割り当てておけば、作業効率も上がると思います。フォトグラファーなら、明るさやコントラストなどの設定を割り当ててもいいかもしれないですね。

画像モードを割り当てられる「OSDコントローラー」。

ハードウェアキャリブレーションは試されましたか?

一番相性がいいと聞いていたので、X-Riteのi1(アイワン)でキャリブレーションを行いました。業界的にも信頼性の高いものに対応していて、安心感をもって使用することができました。当然のことではありますが、 使うときはキャリブレーター側の知識も最低限必要なので、理解して使うことも大切だと思います。 キャリブレーション自体は10分程度で終わりますし、キャリブレーターを固定しやすいようにモニターを傾けるときも「SW271」はやりやすかったです。

遮光フードが標準で付いてくるという点はどのように思いますか?

必要なものなので標準装備はありがたいです! それと、モニターが想像以上に薄くて軽くて驚きました。そんなに広い作業スペースではありませんが問題なく置けましたし、煩雑になってストレスがたまるようなこともありませんでした。

他に気づかれたことはありますか?

USBハブがセルフパワーなのは便利でした。デスクまわりは電源タップやコードなどで煩雑になりがちですが、「SW271」なら2台のiPhoneを給電しながら作業することができます。最新のUSB Type-Cポートを採用している点もいいですね。1本でノートPCにつなげられる便利さ、手軽さを一度経験したら手放せないと思います。

HM=Iveta Duong Model=関根なつみ

今後、アップデートしてほしい点はありますか?

内蔵キャリブレーションがあったら嬉しいです。経年劣化によって、キャリブレーションしても色がずれる周期はどんどん短くなっていきます。一番怖いのは色がずれていることに気づかずに作業してしまうこと。ハードウェアキャリブレーション(X-RiteやSpyder)をインストールすればアラートで教えてくれますが、毎回測色しないといけないのはちょっと面倒ですよね。内蔵キャリブレーションで教えてくれたら、より安心して使うことができると思います。

プロのフォトグラファーの中でも「ノートPCだけ」、あるいは「ノートPCとiMacだけ」で見ているという人が結構いらっしゃいます。

しかもキャリブレーションもせずに使っている人って意外と多いんですよね。Retinaディスプレイはきれいですが味付けされてしまっているので、それだけで確認するのは危険です。セミナーをやっていると、「キャリブレーションをしたらきれいになる」と勘違いしている人が数多くいることに驚かされます。キャリブレーションをしたら「きれいになる」わけではなく、「正しい色になる」んです。フォトグラファーの仕事は「正しい環境でイメージの色に仕上げていく」ことだと思います。

プロアマ問わず大事なことは、自分が撮った色を知った上でイメージに合わせて仕上げることなんですね。

本当にそう思います。プロならカラーマネジメントモニターは必須ですし、アマチュアでも自分が撮った色を正しく知ることで上達につながっていくと思うので、ぜひ導入を考えてもらいたいですね。この性能で実勢価格が約14万円弱というのはコストパフォーマンスが高いですし、おすすめできます。

BenQ SW271

主な仕様
27インチ 4K UHD(3840×2160)の高解像度
Adobe RGB色空間を99%カバー
Palette Master Element(無料ダウンロード)によるハードウェアキャリブレーション
視野角(左右/上下)178°/178°‎
10-bit(約10億7000万色‎)カラーディスプレイ
遮光フード 標準装備
http://www.benq.co.jp/product/monitor/sw271/

Phtographer

黒田明臣

1983年生まれ。東京都出身、東京都在住。国内外SNSやコンテストを中心とした作家活動から商業写真家へと転身。SNSに強いビジュアル制作、クリエイターマネジメント、メディア運営を主事業として株式会社ヒーコを立ち上げ。同社代表取締役。

https://artratio.net
https://xico.co.jp

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