岡田敦|幻の馬 Yururi Island 1950–2026」が、東京都写真美術館で開催される。
開催概要
写真家・岡田敦は自己の存在や、生と死といった生きることの根源的なテーマに一貫して向き合ってきた作家です。その制作の基盤には、ひとつの被写体に静かな情熱を傾け、歳月をかけて見つめ続けるまなざしがあります。本展は、2011年より15年に及ぶ北海道の最東端(北方領土を除く)、根室半島の沖合に浮かぶユルリ島での創作活動の集大成です。約80点の作品で構成され、2025年に発表した写真集『The Horses of Yururi Island ユルリ島の馬』(青幻舎)の作品や関連映像に加え、残り2頭となった馬の姿を新たに捉えた未発表の新作も公開します。
岡田敦は北海道に生まれ、大阪芸術大学から東京工芸大学大学院に進み、芸術学博士号を取得した2008年に、写真集『I am』(赤々舎)で第33回木村伊兵衛写真賞を受賞しました。その後も受賞第1作『ataraxia』(青幻舎)、『世界』(赤々舎)、『MOTHER』(柏艪舎)と精力的に作品を発表しています。
その活動の傍らで長年追い続けてきたのが、ユルリ島という上陸禁止の無人島に生きる馬たちの姿です。周囲8kmのユルリ島には、戦後に故郷を追われた北方領土の住人などが昆布漁の労働力として1950年から馬を移入しました。しかし、やがて人々が島を離れると馬だけが残されます。一方で島はエトピリカなどの海鳥をはじめとする貴重な自然を保護するため国の鳥獣保護区に指定され、1980年代初めに実質的に上陸が禁止されました。こうして、住人ゼロの島に雌馬だけが生き続けることになります。
岡田は木村伊兵衛写真賞を受賞した2008年にこの島の存在を知り、強く興味を惹かれます。根室市役所へ2年半にわたり粘り強く撮影の意義を説明し続けた結果、2011年から島での撮影が許可されました。それは岡田自身の予想も遥かに超えた長期間にわたる、“幻の島”に生きる馬たちとのファインダーを通した格闘、あるいは交感の歴史の始まりともなりました。
雌だけである以上、群れはいずれ消えゆく運命にあります。岡田は上陸禁止の島でひとりテントを張り、その運命をカメラで見つめ続けました。撮影開始時に十数頭いた馬は、15年が経った今年の4月には、2頭にまで減少しています。岡田はこの間、元住民へのインタビューや調査を重ね、前述の写真集『ユルリ島の馬』に先立ち、フォトルポルタージュ『エピタフ 幻の島、ユルリの光跡』(インプレス)などの作品も発表してきました。その活動により、ユルリ島とそこに生きる馬たちの存在は多くの人々に知られることとなりました。
生と死という岡田の写真に通底するテーマを体現し、いままさに消えようとしている幻の馬たち。本展は、その姿を追い続けた写真家の静かな情熱の軌跡に触れる展覧会です。
岡田 敦/Astushi Okada
1979年、北海道生まれ。東京在住。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。東京工芸大学大学院芸術学研究科博士後期課程修了、芸術学博士。2008年、写真集『I am』(赤々舎)にて第33回木村伊兵衛写真賞を受賞。2011年より、上陸禁止の孤島・ユルリ島に生きる馬たちの撮影を開始し、15年にわたり記録を続けている。写真集に『ataraxia』(青幻舎)、『世界』(赤々舎)、『MOTHER』(柏艪舎)、『エピタフ 幻の島、ユルリの光跡』(インプレス)、『The Horses of Yururi Island ユルリ島の馬』(青幻舎)など。作品は北海道立近代美術館、神田日勝記念美術館、東京工芸大学写大ギャラリーなどにパブリックコレクションされている。
https://okadaatsushi.com

《ユルリ島の馬》2018年7月 撮影:岡田敦

《ユルリ島の馬》2014年2月 撮影:岡田敦

《ユルリ島の馬》より 撮影:岡田敦

《ユルリ島の馬》2013年8月 撮影:岡田敦

《ユルリ島の馬》2016年5月 撮影:岡田敦

《ユルリ島の馬》2013年8月 撮影:岡田敦
- ギャラリー名
東京都写真美術館(TOPMUSEUM)
- 住所
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
- 開館時間
10:00〜18:00(木・金は20:00まで)※最終入場は閉館30分
休館日:毎週月曜日(ただし1月11日は開館)、12月28日-1月1日、1月12日
一般 1,200円/学生・65歳以上 950円/小中高生 400円- アクセス
東京メトロ 日比谷線 恵比寿駅 徒歩約10分
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