篠田優「Fragments of the place 2017-2019」が、THE BOOK ENDで開催される。
ステートメント
かつてあるところに位置していた存在を、そこにいなくなったあとも見つづけるということ。言いかえれば、もう戻ることのできない時のかたちが目の前にあるということ。その不思議さと残酷さに、わたしはずっと惹かれているのかもしれません。
本展覧会に並ぶ写真や映像はある美術館とその周囲で撮影したものです。1966年に開館したその建物は、2017年に美術館としての役目を終え、二年後には完全に解体されました。それに伴い、美術館の前に広がっていた公園もまたその風景を大きく変えています。
はじめてそこを訪れたのは、クロージングを記念する展覧会に参加するためでした。
つまり、その場所がまもなく様子を変えてしまうことは、わたしにあらかじめ告げられていたのです。そのような時のなかで、なにをすればいいのか。
その建物がコンクリートの一片になって運び出されるまでのあいだに、わたしがレンズを介して見ていたのは、空っぽの展示室に置かれた椅子、時間を経ることで生じた壁面の肌理、そして、公園の植栽で身を休める鳥や遊具の上に立って家族に話しかける子供の様子など。公共建築物の取り壊しという事態のもつ大きさに比べれば、それらは取る—撮る—に足らないものなのでしょうか。
それでも、イメージというかたちでわたしが残しておきたかったのは、ある時と場所をたしかに織り成すものでありながらも、公的な記録の中には居場所をうまく見いだすことができないような、事物やひとの、かけがえのない姿だったのだと思います。
篠田優/Yu Shinoda
1986年長野県生まれ。2021年に明治大学大学院建築・都市学専攻博士前期課程修了。現在、明治大学理工学部建築学科助教。Alt_Medium共同主宰。
写真やヴィデオを主なメディウムとして使用し、「記録」の実践と再考をテーマとして制作をおこなっている。それは、今まさに目の前から消えつつあるものに対する率直な応答であるとともに、そのような行為と不可分にある恣意性や限界、そしてそのことから陰画的に示されるはずの可能性を問うという、いわばポリフォニックな実践として遂行されている。
近年の個展に「Forest | Monument」(photographers’ gallery、2026年)「Voice(s)」(長野県立美術館、2025年)、など。主な刊行物として『Fragments of the place 2017-2019』(喫水線、2024年)、『ひとりでいるときのあなたを見てみたい』(paper company、2021年)などがある。
https://shinodayu.com/
https://www.instagram.com/shinoda_yu_ordinary_objects/



- ギャラリー名
THE BOOK END
- 住所
兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-5 海岸ビルヂング 302
- 開館時間
11:00〜18:00(火・水曜定休)入場無料
- アクセス
JR 元町駅 徒歩5分
- URL








