中井菜央 個展「ゆれる水脈」が、ふげん社で開催される。
開催概要
中井菜央は、1978年滋賀県生まれの写真家です。かねてから「雪」をモチーフに制作したいと考えていた中井は、勤めていた出版社を辞めて全国の豪雪地帯を訪ね歩いた後、2015年から新潟県津南町に6年間滞在を繰り返して撮影した作品『雪の刻』を写真集と写真展で発表しました。雪が律する風景と人を見つめ、人間の内奥の記憶を揺さぶるようなそのイメージ群は高い評価を得て、さがみはら写真新人奨励賞(2022)と日本写真協会新人賞(2023)を受賞しました。
本展は、2025年に「WEB みすず」(みすず書房が運営するウェブマガジン)で連載されたエッセイ「ゆれる水脈――写真 表象のさきに」の執筆と、海をモチーフに北海道で撮影した新作「海の緒」の制作を経て生まれた写真群で構成されます。
ロラン・バルトが『明るい部屋』で母という個人的な存在から写真の本質に迫ったように、中井もエッセイの執筆を通し、長らく目を背けていた幼少期の記憶と対峙することで、自身にとっての写真の本質とは何であるかを探っていきました。
故郷の滋賀に赴いて撮影をしていた際に、眼前の風景と、無意識下に押さえ込まれていた幼い頃の記憶が二重写しとなり、琵琶湖から水路へこんこんと水が流れ出すようにある心の奥底に眠る「水脈」の存在が、自らの写真表現に深く影響を与えていることを強く感じました。中井はエッセイでその体験を「喩えるなら、我が家を出て、世界の果てをめざし、長い長い旅を続けたある日、目の前に我が家が出現するような不思議さ…」と語ります。
今回の展示は、生まれ育った滋賀で撮影した写真と、新作のために北海道で撮った写真という、ロケーションも時間も異なる、一見関わりのないような写真同士が響き合い旋律となるように構成されます。カメラという眼を通して外界を覗き込むことが、自分の内側にあるものと出会うことであり、現在と過去を行き来しながら異なる時系列の糸を撚り合わせるような営為であること。本展はまさに中井の写真論そのものであり、個別具体的な記憶のイメージはやがて普遍性を帯びて、鑑賞者の奥底に眠る「水脈」とも共鳴することを願ってやみません。
中井菜央/Nao Nakai
1978年滋賀県生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。出版社写真部勤務を経てフリーランス。モチーフだけを決め、あらかじめテーマを設定することなく制作を始め、撮影の中でテーマを見出してゆくスタイル。外界に在るもののさきに、自分の内界に潜むものを発見し、それをテーマに据えて、「私とは、世界とはなにか」を問い続けている。主な展覧会に 2014年「未明」銀座ニコンサロン、2018年「繡」Roonee 247 Fine Arts、2022年「雪の刻」横浜市民ギャラリーあざみ野、2022年「雪のさき」TURNER GALLERY、2023年「雪の刻」砂丘館、2023年「雪からはじまる」南魚沼トミオカホワイト美術館・鈴木牧之記念館などがある。これまでに、名取洋之助写真賞奨励賞、さがみはら写真新人奨励賞、日本写真協会新人賞などを受賞。写真集は、「繡」(赤々舎、2018)、「雪の刻」(赤々舎、2022)がある。今秋、赤々舎より新作写真集「海の緒」、みすず書房より文章と写真を合わせた書籍「ゆれる水脈」を上梓予定。
ギャラリートーク 中井菜央×大倉宏(砂丘館 館長)
日時:2026年9月20日 14:00〜15:30
トーク終了後にレセプションを開催
会場:ふげん社
参加費:1,200円(会場観覧・オンライン配信)
申込み:ふげん社オンラインストアからチケットを購入
https://fugensha-shop.stores.jp/
ギャラリーガイドツアー(無料・申込不要)
作家本人とギャラリーディレクターが本展の見どころなどを展覧会場にて解説
日時:2026年9月27日 14:00から30分程度

©️Nao Nakai



- ギャラリー名
ふげん社
- 住所
東京都目黒区下目黒 5-3-12
- 開館時間
水〜金 12:00〜19:00/土・日 12:00〜18:00 休廊:月曜日・祝日
休廊:月曜日、火曜日、祝日(9月23日)- アクセス
JR 目黒駅 徒歩15分 JR目黒駅 西口より東急バス(黒01 黒02 黒07)「元競馬場前」下車 徒歩1分
- URL








