前田真三写真展「Landscapes Unlimited」が、BOOK AND SONSで開催される。
紹介文
1970年代から90年代にかけて日本の自然風土の美しさを捉えた風景写真を数多く撮影し、日本を代表する風景写真家の一人として国内外に広くその名を轟かせた風景写真家・前田真三(1922-1998)。
数多くの作品の中でも、代表作と言われているのが北海道・美瑛町とその周辺の丘の風景を撮影したもの。わたしたちが「北海道」と聞いて雄大な小麦畑やジャガイモ畑を思い浮かべるそのイメージの源泉には、真三氏が発見した丘の田園風景があるのは間違いありません。
2021年5月、真三氏の孫であり、アートディレクター・フォトグラファーの前田景氏が企画・デザインをし、新たな視点で祖父の写真たちに光を当てた写真集『HILL TO HILL』(BlueSheep刊)が出版されました。時代を越えて、普遍的な美しさ、静かな力を持つ真三氏の自然観と写真世界は、いまという時代に改めて必要とされているのではないでしょうか。
本展は上述の写真集『HILL TO HILL』からの北海道美瑛の丘の写真と、1977年に出版された写真集『出合の瞬間』から抜粋した作品群の2部構成となり、約20点の作品を展示いたします。
『出合の瞬間』(毎日新聞社刊)は前田真三が注目されるきっかけになった異色の写真集。「出合の瞬間」という言葉には、真三氏の写真哲学が凝縮されています。風景と出合った、まさにその瞬間の感動をそのまま撮る。待つことよりも動き続け、心の動くままに自らの感性に従って、ただただ撮る。その膨大な繰り返し、実践の中から、確立していった独自の写真世界。40年以上の時を越えた新旧2冊の写真集から構成された本展で、新たな前田真三像が浮かび上がります。
前田真三 Shinzo Maeda
1922年東京都八王子市下恩方町に生まれる。東京府立織染学校、拓殖大学を経て、1944年館山海軍砲術学校(第三期予備学生)を卒業。スマトラ島サバンで海軍中尉として終戦を迎え、翌年復員。1948年日綿實業(株)入社、以後17年間勤務。1967年(株)丹溪を設立し、写真活動に入る。1974年初めての写真集『ふるさとの四季』を出版。以後、風景写真の分野に独自の作風を確立し、数多くの作品を残す。代表作に『出合の瞬間』『一木一草』『奥三河』『丘の四季』などがある。1987年、北海道美瑛町に自らの写真ギャラリー拓真館を開設。日本写真協会賞年度賞、毎日出版文化賞特別賞、勲四等瑞宝章、美瑛町特別功労者章などを受賞(章)。1998年に他界。
前田景 Kei Maeda
アートディレクターとして広告、書籍、ウェブなどのデザインやブランディングを手がけながら、2017年からはフォトグラファーとしても活動を開始。2020年に北海道美瑛に移住。美瑛にある前田真三写真ギャラリー「拓真館」とその周辺のリニューアルを現在進行中。
https://maedakei.jp/
https://www.instagram.com/maedakei/
HILL TO HILL PROJECT
北海道・美瑛にある前田真三フォトギャラリー「拓真館」を存続し、美しい丘の風景を次代へとつないでいくためのプロジェクト。自然、農業、写真、食が一体となった空間へと拓真館とその周辺を生まれ変わらせる。2021年夏には、料理家たかはしよしこのレストラン「S/S/A/W」が敷地内にオープン予定。
- ギャラリー名
BOOK AND SONS
- 住所
東京都目黒区鷹番2-13-3 キャトル鷹番
- 開館時間
12:00〜19:00(水曜日休館)
- アクセス
東急東横線 学芸大学駅 徒歩3分
- URL