ウィリアム・ワイリー写真展「Structures and Space」が、ブリッツ・ギャラリーで開催されている。
紹介文
ウィリアム・ワイリーは、過去10年にわたって空間に潜む装飾性を建築物の写真を通して探求してきました。彼はドイツ、イタリア、米国西部の平原地帯の建築物を、自然光を用いて際立った質感を持つ魅力的な存在として提示してきました。それらは、人々がその地に存在して、活動する場所をどのように組織して、整えるかという熟考の結果に生まれてきました。ワイリーは彼らのその行為を「spatial practice」(空間における実践)と呼んでいます。
写真史において、建築物は重要な被写体として長きにわたり撮影されてきました。ニセフォール・ニエプス(Nicéphore Niépce)による最初の写真「View from the Window at Le Gras」は、まさに最初の建築写真でもあります。
本作で、ワイリーは2009年制作のイタリア・カッラーラの大理石採石場での作品に見られるように、空間的に複雑な直線性を巧みに利用することによって、建築写真の伝統を踏まえた上で、さらに洗練された作品を作り上げて提示しています。
彼の主題となる被写体は、19世紀の温室、直接的で生な素材の使い方を指向するブルータリズム・アパートから、ユタ砂漠の訓練基地にあるエノラ・ゲイ爆撃機(最初の原子爆弾を落とした飛行機)を隠すのに用いられたメタル製格納庫にまでわたります。
本展では、イタリア・ポンペイ遺跡、米国ユタ州ウェンドーバー、ハイウェイ「Route36」周辺、欧州都市で撮影されたモノクロ作品約30点を展示いたします。
ウィリアム・ワイリー(William Wylie)
1957年米国イリノイ州ハーヴェイ市生まれ。1976年にコロラド州に移り、ミシガン大学で写真を学びます。現在は、ヴァージニア州シャーロッツビルに住み、ヴァージニア大学のアート部門の教授を勤めています。彼は、特定のロケーションや見逃されがちな場所をテーマに、アメリカ西部から欧州を幅広く撮影してきました。 作品は全米各地で展示されるとともに、多くの公共コレクションに収蔵されています。それらは、メトロポリタン美術館、スミソニアン美術館、プリンストン大学美術館、アーモン・カーター美術館、デンバー美術館などです。写真集は、「Riverwalk, Explorations Along the Cache la Poudre River」(2000年)、「Stillwater」(2002年)、「Carrara」(2009年)、「Route 36」(2010年)、「Pompeii Archive」(2018年)等。
- ギャラリー名
ブリッツ・ギャラリー
- 住所
東京都目黒区下目黒6-20-29
- 開館時間
13:00~19:00(月〜水休廊)
- アクセス
JR目黒駅からバス、目黒消防署下車徒歩3分 / 東急東横線学芸大学下車徒歩15分
- URL