「至近距離の宇宙 日本の新進作家 vol.16」が、東京都写真美術館で開催されている。
SNS全盛の時代だからこそ「出かける」「体験する」という事が大事なのはもちろんだが、逆に身近な世界にも見逃している「何か」はある。本展は6名の作家それぞれが「身の回りに感じた宇宙」を、写真やインスタレーションで発表している。
出品作家は相川 勝、井上佐由紀、齋藤陽道、濱田祐史、藤安 淳、八木良太の各氏。
藤安さんは、双子を撮影し続けている写真家。藤安さん自身が双子だそうで、幼い頃から「双子の兄弟」という記号で見られてきた。自分と類似した他者の存在を意識しつつ、個のアイデンティティを探すべく、双子を探し、それぞれの部屋で撮影を行い、写真として対峙させている。
寝たきりの祖父が亡くなるまでの2年間、祖父の目を撮っていた井上さん。
「最後のほうは、ただ光を映すだけの美しいものとなり、何も見ようとはしていなかった」という。
その後、初めて光を見る赤子の出産に立会い、ただ光だけを感じている目を撮影し続けている。
同じ時間を生きていることの奇跡、それを痛感するときにシャッターを切るという齋藤さん。被写体や場所は様々だが、自分が感じた「いま」を撮り続けている。
SNSに上げられるような写真は、色加工やトリミング、画像修正などを経ている場合が多い。相川さんはそんな架空のイメージを逆手にしたような作品を制作。ゲームの中の仮想空間を印画紙に焼き付けた「landscape」、AIにより自動生成された人物の顔を印画紙にコンタクトプリントとして焼き付けた「#selfy」他。
写真における山のイメージを、反射率の高いアルミ箔を使い、ライティングやレンズのぼけ味を活かしながら制作した「Primal Mountain」。
それとは対照的な水の作品「Watermark」は、ソルトプリントのベースの上に食品用ラップをのせて、太陽光で露光させて作り上げている。またその塩の代わりに東京湾の海水を用いることで、この時代の海の成分を作品に閉じ込めている。
一般的に、鑑賞者は制作者の意図をみようとするが、その関係性を逆転させた作品とインスタレーション。模様が変化するプロジェクション作品、赤緑色覚異常のある人だけが文字を読み取ることができるようになっているという円形オブジェクト。左右の壁の模様を立体的に見ることができる正方形の鏡など、鑑賞者によって見え方、感じ方が異なる作品。
作家とゲストによる対談(12月)
2019年12月20日(金) 18:00~19:30 濱田祐史×増田玲(東京国立近代美術館主任研究員)
2019年12月21日(土) 15:00~16:30 齋藤陽道×イ・ラン(シンガー・ソングライター、作家) *手話通訳付き
会場:12月20日(金)2階ロビー、12月21日(土)1階スタジオ
定員:各回50名
*当日10時より1階受付にて整理券を配布いたします。 番号順入場、自由席。
作家とゲストによる対談(1月)
2020年1月12日(日) 15:00~16:30 藤安淳×竹内万里子(批評家)
2020年1月13日(月) 15:00~16:30 井上佐由紀×穂村弘(歌人)
2020年1月18日(土) 15:00~16:30 相川勝×中尾拓哉(美術評論家)
2020年1月25日(土) 15:00~16:30 八木良太×日下部一司(美術家)
会場:2階ロビー
定員:各回50名
*当日10時より1階受付にて整理券を配布いたします。 番号順入場、自由席。
- ギャラリー名
東京都写真美術館(TOPMUSEUM)
- 住所
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
- 開館時間
10:00~18:00 休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(12月29日から1月1日) ※1月2日(木)と3日(金)の開館は18:00まで。
- アクセス
JR 山手線 恵比寿駅 徒歩約7分
東京メトロ 日比谷線 恵比寿駅 徒歩約10分- URL