原田教正写真展「An Anticipation #2」が、THEO KAMAKURAで開催される。
会場のTHEO KAMAKURAは、鎌倉駅からバスで10分ほどにある、大きな吹き抜けをもつ心地よいスペースとなっている。
開催概要
原田教正が継続的に取り組むシリーズのひとつ「An Anticipation」は、森に潜む不穏な気配とその正体を写しとろうとする試みとして始まりました。
2021年に発表した『An Anticipation #1』では、秋田県と青森県をまたぐ十和田湖や八甲田の深い森に赴き、かつての火山活動の痕跡を携える湖や峰々が発する気配を捕らえようとする原田の試行が記録されています。
シリーズ2作目の発表となる本展では、ドイツの首都ベルリンの北東部に位置する非常に小さな原生林を撮影した作品群をご覧いただきます。
2023年に行なわれた撮影では、森に自生するブナの木々と繰り返し対峙するなかで、次第に場に漂う気配やその正体を写しとるという当初の目的から離れていったと原田はいいます。
それは、あらゆる意図的な行為から離れることで、記録媒体としての写真の機能を突き詰めながら、その背後にある時間の顕現を試みようとする原田の長年の取り組みへと循環していきます。
会場では展示作品のほか、ご希望の作品3点のプリントを同封した特装版の写真集『An Anticipation #2』も販売いたします。
ステートメント
ドイツはベルリン郊外に、非常に小さな森がある。周囲を牧草地帯や人工林に囲まれたブナの原生林・古代林とされる森だ。産業革命以降、伐採により古の森はヨーロッパ大陸から人知れず姿を消し、今は散らばる点のように僅かに残存するのみ。だがこの森は、完全な原生の姿というより、保護地区として緩やかな人手の介入によって延命措置を施された半人工の森と呼ぶべきかもしれない。2023年のドイツでの滞在制作では、この森に幾度も足を運ぶことになった。
そこにある、失われゆく森の姿と保持を試みた末の不完全な景色。複雑で曖昧な原生と人工の境界線から覗く、不穏な気配と温もり。人間という生物が抱える矛盾について思い巡らせ、秋から冬へと移ろうこの稀有な森とベルリンのアパートを往復しながら。
原田教正/Kazumasa Harada
1992年東京生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。コマーシャルフォトグラファーとして活動する傍ら、写真家として展覧会や写真集の制作を継続して展開。2020年に1st写真集『Water Memory』を発表後、『An Anticipation』(2021)、『Obscure Fruits』(2021)、『My origin photographs』(2024)を刊行。2023、2024年のベルリンでの滞在制作を経て、2025年9月より同地に制作拠点を移す予定。

©️Kazumasa Harada(2023)

©️Kazumasa Harada(2023)

©️Kazumasa Harada(2023)

©️Kazumasa Harada(2023)

希望の作品3点のプリントを同封した特装版の写真集『An Anticipation #2』も販売。
- ギャラリー名
THEO KAMAKURA
- 住所
神奈川県鎌倉市浄明寺2丁目5
- 開館時間
12:00〜18:00(最終入場 17:30)/事前予約制
予約・問い合わせ:https://theokamakura.setmore.com/- アクセス
鎌倉駅より京浜急行バス4番乗り場 23/24/36系統にて10分、浄明寺バス停より徒歩2分)※会場は一般住宅の敷地内にあるため、住所の詳細は予約確定後にメールにて通知。
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