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#NEWS & REPORT 瀧本幹也 写真集「LUMIÈRE」「PRIÈRE」

2024年7月31日

瀧本幹也 写真集「LUMIÈRE」「PRIÈRE」

瀧本幹也 写真集「LUMIÈRE」「PRIÈRE」が、MT Galleryと、青幻社より発売される。

これは、世界中で巻き起こったコロナパンデミック中に、瀧本氏が感じて捉えた“永遠の中の瞬間”や“身近に存在する宇宙”の記録。LUMIÈRE(ルミエール)はフランス語で「光」、PRIÈRE(プリエール)は「祈り」。

本書発行に合わせ、瀧本幹也写真事務所内に出版・ギャラリー部門「MT Gallery」を開設。2024年8月下旬に、MT Galleryより先行発売し、10月初旬に青幻舎から全国発売する。

書籍概要
2020年初頭、世界中で爆発的な感染を引き起こしたCOVID-19によって、人類は他者との接触を極端に減らし、自宅などの限られた空間に閉じこもることを余儀なくされました。写真とともに生きてきた瀧本幹也も、通常大人数で行われるCM撮影や広告などの仕事が軒並みストップしてしまったことはもちろん、世界各地に飛び、大型の機材を使って撮影するようなこれまでの作品づくりはできなくなりました。
そんなとき、瀧本は偶然出会った河原に咲き乱れる小さな菜の花に、これまで撮影してきた人の住めない辺境の地に見る、惑星としての地球の力強い生命力と同じ自然の力を感じ、野の草花の撮影を始めました。連綿と続く命の瞬間を身近な草花に見出し、その内部に息づく「小宇宙」を3年かけて探求、LUMIÈRE(フランス語で“光” )シリーズとして完成しました。
また2020年秋、京都で国際写真祭に参加した瀧本は「円融」(仏語。すべての事物が完全に溶け合い、互いに妨げないこと)を知り、静けさに満ちた寺院の建築や庭と向き合いました。そこで数百年、数千年前から現在に続く時間の流れに自らも連なっていることを感じ、さまざまな寺院を歩いてめぐり、撮影したPRIÈRE(フランス語で“祈り” )シリーズをまとめました。
写真集にまとめるにあたり、用紙や印刷にも徹底的にこだわりました。本文用紙には印刷適性と紙の風合いという相反する性質を両立させる高級印刷用紙のヴァンヌーボを全ページにわたり使用し、表紙は布張りに題簽貼り、箔押しを施しています。一般的な4色にグロスニスを加え、5色で印刷することによって作品の色合いを可能な限り再現しました。生命の循環や、生きものと地球という惑星との共存に思いを馳せる、約10年ぶりの新作写真集『LUMIÈRE』『PRIÈRE』をぜひご高覧ください。

瀧本幹也
1974年生まれ。藤井保氏に師事したのち、98年に写真家として独立。以後、広告写真やCM映像をはじめ国内外での作品発表や出版など、幅広く活動を続ける。代表作に『 BAUHAUS DESSAU』(2005) 、『SIGHTSEEING』(2007)、『LAND SPACE』(2013)、『Le Corbusier』(2017)、『CHAOS』(2018)などがある。

LUMIÈRE
2020年の初め、COVID-19 が引き起こした混乱は、多くの人々に自宅待機を余儀なくさせ、地球規模で先行きの見通しが立たない不安に包まれた。それは私にも写真を撮ることさえ自粛させ、その状況は大きな不安を引き起こした。しかし、その年の春、鬱屈とした隔離された状況を抜け出し、偶然たどり着いた河原での経験が重要な転機となった。そこには、これまでの世界となんら変わらず菜の花が咲き誇っており、その美しさと命の儚さに触れ、この感情を写真に留めておきたいという強い衝動に駆られた。初めてカメラを手にした子どもの頃のような高揚感を覚えながら、無我夢中に撮りつづけた。これらの花々が何十年、何百年、そして何世紀にもわたってこの場所で命を繋いでいることを想像し、地球の大地に根を張り太陽からの光を受け取る様子に、独り地面に寝転がりながら思いを馳せた。この作品集のタイトルでもある“LUMIÈRE”は「光」を意味している。太陽が生み出す光は宇宙空間を旅して地球上のあらゆる場所へと降り注ぎ、命を繋げる源となる。しかし、その光が地上へ到達する間際、風が悪戯に葉や枝を揺らし、ほんの一瞬の出来事のように届くものと届かないものに岐れる。花々や虫の視点に近づくために態勢を低くし、身を屈めながらファインダーを覗くと、木漏れ日の下では必死に光を求め踊る生命体が存在した。移動が制限されて向かった先は、ごく身近に存在する「小宇宙」だった。目を凝らせば小さな世界にも宇宙のような無限の広がりがあることに気づいたのだ。それは自生する花に連綿と続く「命」の瞬間を、時空として捉えたいという欲求の現れなのだろうか? その瞬間の美しさと奥深さに触れ、新たな視点から「小宇宙」を探求する旅に出た。

瀧本幹也
ー本書あとがきより一部抜粋

「LUMIÈRE」より。

「LUMIÈRE」より。

「LUMIÈRE」より。

PRIÈRE
2020年の秋、「KYOTOGRAPHIE 2020」に参加し、寺院で展示する機会に恵まれた。自然界の僻地で撮影した「大宇宙」ともとれる地球の原風景を捉えたこれまでの作品を、大書院に入る自然光を拝借し静粛な空間で展示した。ある日、閉門時間を過ぎてひとり作品と向き合ったことがある。時を忘れ、作品は闇に溶け込んでいきそうになっていた。COVID-19の流行のさなかに開催されたこともあり、「私たちは宇宙的な永い時間の一瞬を生きている。人類が我がものと思っているこの地球こそ、最も身近な天体である」という主題が、より現実味を帯びることとなった。この体験が転機となり、在廊の合間に京都の古寺を巡るのが日課となった。その頃は観光客が皆無で、枯山水の庭は本来の静かな姿を表していた。縁側に座り、目を閉じて暫くすると、網膜に浮かび上がってくる景色が見えた。それは目が見ているのではなく、身体が感じとった景色だった。もしくは自らが座った同じ場所で、数百年、数千年前に誰かが感じ得た景色を教えてくれているのかも知れない─。私たちは、一体今、どこで生きているのか? 小さな者として、途方もない宇宙的な時間の一瞬に震え、同時に自らの存在のなかに大きなものが美しく流れ込んで来るのを感じた時「、祈り」─“PRIÈRE” という、問いにも似た感情が湧き起こってきた。それから3年の間、定期的に京都へ赴き、その問いを探し続けた。宇宙の象徴とされる「円」とは、始まりも終わりもなく、あらゆる執着から解放された心の在り様とされる。古より連綿と流れてきた悠久の時のなかで、万物、自然も人もすべての生命は満ちて融け合い、循環することでこの世界は紡がれてきた。地球は四十億年の歳月をかけ、噴火と海の創造を繰り返し、息を呑むほど美しい自然を彫り上げてきたのだ。そのなかで、日本では禅の文化が起こり、小さな庭園に大自然を投影した。世界の凝縮を試みる作庭という人間の行為。噴火や地震、津波に幾度となく見舞われてきた、この日本列島に住む私たちは、天が下す災いも恵みも等しく受け容れてきた。その時間は、身の回りの小さな世界にも自然の源泉、宇宙の摂理を感じ、生命の循環を汲み取り、慈愛を込めた祈りを捧げる心を育くんだ。万物はそれぞれの中に宇宙を抱き、あらゆる生命は巡り、繋がり合う──。自らのなかに流れる生命循環を感じ、宇宙との融和に想いを馳せたい。

瀧本幹也
ー本書あとがきより一部抜粋

「PRIÈRE」より。

「PRIÈRE」より。

「PRIÈRE」より。

LUMIÈRE
著者:瀧本幹也
寄稿:森田真生(独立研究者)
装丁:須山悠里
編集:森かおる(青幻舎)
判型:A4変形/上製本
ページ数:248頁
定価:13,200円(税込)
発行所:M T Gallery
発売元:株式会社青幻舎
発売:2024年8月下旬/MT Galleryより先行発売、10月初旬青幻舎より一般発売

PRIÈRE
著者:瀧本幹也
寄稿:安藤礼二(文芸評論家)
装丁:須山悠里
編集:森かおる(青幻舎)
判型:A4変形/上製本
ページ数:248頁
定価:13,200円(税込)
発行所:M T Gallery
発売元:株式会社青幻舎
発売:2024年8月下旬/MT Galleryより先行発売、10月初旬青幻舎より一般発売

購入:https://mtgallery.jp/

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