戸田沙也加 個展「東京にカンナの花を添える」が、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHYで開催される。
開催概要
美しさと表裏一体の醜美の世界観を絵筆に込め、稀代のペインターとして注目を集めてきた戸田沙也加は、写真表現のみの個展や、写真・絵画・立体・植物などを組み合わせたインスタレーションなど、メディウム問わず通底する表現力が注目を集めているアーティストです。2024年には「TOKAS-Emerging 2024」に選出され、時空間を超越させるインスタレーションが高い評価を得ています。
本展『東京にカンナの花を添える』は、戸田が初めて写真の個展を行った際に被写体として選んでいたカンナの花が、実は「平和の象徴」としての深い歴史があったことを知ったことをきっかけとしています。
1945年8月6日、世界で初めての原子爆弾により一瞬にして焦土と化した広島の地は「今後75年間は草木が生えない」と言われていましたが、爆心地に程近い場所にまもなく一輪のカンナの花が咲き誇り、人々に生きる希望を与えたと言われています。レジデンスをきっかけにこの事実を知った戸田はその後、カンナの花をそっと街中にゲリラ的に配置しては写真作品として記録する、本シリーズを展開しはじめました。
一見すると社会的な文脈とは無関係にみえる「花」の主題ですが、植物としての命をまっとうするその姿は、置かれる場所や時代によって、それぞれの物語を生み出すことを静かに語るかのようです。画家でありながら、多様なメディウムを駆使してその世界観を表出させる戸田沙也加による新たな表現をご高覧ください。
ステートメント
平和の花を街に添える。
1945年の夏、原爆投下により広島が焦土と化し「今後75年間は草木が生えない」と言われた約1カ月後、爆心地からそう遠くない地にカンナの花が咲いた。
一人のカメラマンが撮った焦土に咲くカンナの写真は、
人々を勇気づけ、平和を願う人々の希望、そして象徴となった。
東京の街並みをカンナの花と共に歩き、
絶えず移り変わる景色に力強く咲き誇るカンナを忍ばせ記録する。
終わりのない悲しみや、叫び、絶望に耳を傾け、愛する友人を想いながら、
私なりの平和を願うささやかなデモを行う。
戸田沙也加
1988年、埼玉県生まれ。2012年、女子美術大学大学院美術専攻洋画研究領域修了。
主な個展にTOKAS Emerging 2024『消えゆくものたちの言葉なき声 』(2024年、トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京)、『茶花礼賛 』(2024年、アートスペース福寿園、京都)、『Monster 』(2024年、Gallery 10 [TOH]、東京)、『生い茂る雑草の地に眠る 』 (2023年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)、『The glitter of the shadow and color of the light』(2023年、GALLERY MERROW、東京)、『海を越えて、あるいは夜の向こうに』(2021年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)、『美しさのあるところ—Where the beauty is—』(2011年、木之庄企畫、東京)。
主なグループ展に『TOKAS-Emerging 2024』(2024年、トーキョーアーツアンドスペース本郷、東京)、『ソノ アイダ#COVID-19』( 2020年〜、オンライン展示)、『Seeing the Unseen』(2016年、ギャラリー桜林、茨城)、『ワンダフルマイアート 高橋コレクションの作家たち』(2013年、河口湖美術館、山梨)、『TO THE FUTURE』(2012年、ミヅマ・アクション、東京)、『第31回損保ジャパン美術財団選抜奨励展』(2012年、損保ジャパン東郷青児美術館、東京)など。受賞歴に2010年「アートアワードトーキョー丸の内2010」木幡和枝賞、2010年「シェル美術賞展」入選など。
- ギャラリー名
KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY
- 住所
東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布 5F
- 開館時間
13:00〜18:00(水〜土)/日・月・火・祝休廊
- アクセス
東京メトロ 表参道駅 徒歩10分/六本木駅 徒歩13分
- URL