長谷良樹個展「COLOSSUS」が、KANA KAWANISHI GALLERYで開催されている。
展示概要
長谷良樹は7年間に渡り写真家としてニューヨークで活動し、帰国後も精力的に作品を展開するアーティストです。〈181°〉シリーズでは、水平に広がる地平に、作家自身が制作した立体物を新たな構成要素として加えることで、未踏の調和の風景をつくりだし、弊廊での初個展となった〈DESSIN〉では、線の集合で形成されるオブジェを自然風景に持ち込むことで、作家がその風景に触れたときの衝動を、多次元的な風景写真として定着させました。
4年振りの新作となる「COLOSSUS」では、水、空、緑など自然の美しさが印象的な風景の中に、巨大な像の立ち現れる場面を一時的につくりだすことで、違和感と懐かしさが入り混じる新たな鑑賞体験を導きます。人類は太古より身体を模した造形物をつくり続け、今もさまざまな古代文明でつくられた彫像が世界中に残されていますが、長谷の写真作品では、それらの巨像が時空を超えて自然風景に召喚されることで、我々の無意識下に眠る畏敬の念のようなものを喚起するかのようです。
ステートメント
写真を使って表現する身でありながら、昔から写真以上に惹かれたのは彫刻と絵画でした。彫刻では特に人のかたちの像を眺めることが、わたしの精神に平穏と多大なインスピレーションをもたらしたような気がします。2020年に構想を始めたこの作品では、自然のなかに工具を運び込み、わたし自身の「像のある風景」を一時的に作りだしました。
像というものは自然物でもなく、また完全な人でもありませんが、たとえ頭や体の一部が欠けた不完全な姿でも、周囲と風景に “生命” を宿すように思えます。
人間は我がもの顔で自然の制御を試みますが、一方、その同じ自然に神的なものを見出し精神的な帰属を求めるのも人間です。我々の行為は矛盾に満ち溢れています。
わたしはこの虚構の風景を撮ることで、人間が静寂と威厳を保ち、同時に生命として尊大でなかった時代を少しだけ覗きたいような気持ちです。
長谷良樹
1999年から2006年までニューヨークを拠点に活動し、現在は東京在住。 自ら製作したオブジェを現実の風景の中に設置する手法を使い、空間-人間-自然などの関係性を題材に幻視的で絵画的な写真作品を制作。
近年の主な個展に『ENA』(2020年、Gallery Main、京都)、『1st Composition』(2020年、FASS Art Gallery、トルコ・イスタンブール)、『181° – New Dimensions of Nature Landscapes』(2019年、River City Bangkok Gallery、タイ・バンコク)、『DESSIN』(2019年、KANA KAWANISHI GALLERY、東京)、『 Refuse to Make Them Happen』(2018年、G Gallery、台北)、『ENA』(2018年、KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY、東京)、『almost nature』(2017年、コートヤードHIROO ガロウ、東京)など。写真祭・グループ展に『麗水国際写真祭』(2019年、中国・麗水)、『第8回大理国際写真祭』( 2019年、中国・大理)、『T3 Photo Festival Tokyo』(2017年、東京)、『United Photo Industries』(2017年、ニューヨーク)、『Singapore International Photography Festival』(2016年、シンガポール)、『Photo Saint-Germain』(2016年、Galerie Zlotowski、パリ)など多数。また、2023年9月〜11月には『大邱フォトビエンナーレ』(韓国・テグ)に招待作家として参加予定。
主な受賞歴に、2019年『第8回大理国際写真祭』で〈181°〉シリーズにて「The Best Single Photography Award」受賞のほか、2018年〈 ENA〉シリーズにて「 LensCulture Emerging Talent Awards」の受賞者に選出、2016年〈First Composition〉シリーズにて「東京国際写真コンペティション」の上位8名に選出など。
- ギャラリー名
KANA KAWANISHI GALLERY
- 住所
東京都江東区白河4-7-6
- 開館時間
水曜日〜金曜日 13:00〜18:00|土曜日 13:00〜19:00(日・月・火・祝休廊)
夏季休廊:8/16(水)〜8/19(土)- アクセス
東京メトロ 半蔵門線 清澄白河駅 徒歩12分
- URL