Tree of Life | Toru Komatsu 小松透写真展が、iwao galleryで開催される。
紹介文
2011年3月11日の大震災、実家の古い家も倒壊した。写真家・小松透は息子をアシスタントに東北の太平洋沿岸に足を運び撮影を続けた。本展は、その10年をまとめた 写真集『nature morte ─ après 311─』(2021年)を中心とした写真展を開催する。本展のタイトルは〝Tree of (still)Life〟であり、小松は「写真は〝still Life〟である」と言う。彼はどこかに迷い込むかのように木(木々)を撮り続け、その先に何が見えてきたのだろうか……。小松の写真には一貫して静けさが漂っている。取り残された木(木々)、地を這うように倒れた木(木々)、静寂のなかに広がる荒涼な風景は、時として、異国のような雰囲気を醸し出す。時を経て、儚くも力強い自然(木々)の先に希望がみえる。
ステートメント
あれから10年、その間にも何度も東北の太平洋沿岸に足を運ぶ度に息子の静をアシスタントとして連れて行った。海岸沿いには裾野の広い防潮堤がどんどん築かれ、遠くからは海が望めず以前の面影はなくなっていくけれど、防潮堤を越えれば以前と変わらない広い海が広がっている。驚くことに一本松は本当の意味で静物となったが、希望の象徴であることにかわりはない。
小学3年生だった静は19歳になった。静と一緒に一本松の前で写っている父親はもういない。その写真を褒めてくれた母親も。世界中の人が外に出る際にマスクをするようになるとは。
そう考えると10年という時間は長く感じるが、僕にとっては、あの日が昨日のことのように思えてならない。だけど、じっとしてはいられない。ただ先へ進め。
ギャラリートーク:萩原朔美×小松透
日時:2023年3月16日(木)19:10〜20:30
映像作家、演出家、エッセイストでもある萩原朔美氏(多摩美術大学名誉教授、前橋文学館長)を迎えてギャラリートークを開催。
多摩美術大学の師弟関係でもあるふたり、お互いのライフワークでもある〝定点観測〟について語り合っていただきます。
小松 透
1969年宮城県生まれ。94年、多摩美術大学芸術学科卒業。写真家、TokyoLightroomプリンティングディレクター、RED Photo Gallery のメンバーとして活動。1992年より「静物」をテーマに映像作品と写真作品を制作。2016年11月 Place M 出版より写真集『遠い渚 ─ a distant shore ─』を刊行。同年、Steidl Book Award Japan にて、ファイナリストに選出。現在ドイツの出版社 Steidl にて未だ写真集制作中。2020年6月より Place M のメンバーとなり、2021年3月 Place M 出版より写真集『nature morte ─ aprés311 ─』を刊行。
- ギャラリー名
iwao gallery
- 住所
東京都台東区蔵前2-1-27 2F
- 開館時間
(木・金・土)12:00〜19:00(日)12:00〜17:00 (休廊)月・火・水
- アクセス
都営浅草線 蔵前駅 A1出口 徒歩1分
- URL