2023年キヤノンカレンダー 竹沢うるま写真展「World Heritage Journey 世界遺産を訪ねて」が、キヤノンオープンギャラリー1で開催される。
紹介文
本展は、写真家 竹沢うるま氏による写真展です。氏が撮影を担当した2023年版キヤノンマーケティングジャパン・カレンダー「World Heritage Journey 世界遺産を訪ねて」を飾る作品13点を含む、計35点を展示します。
キヤノンマーケティングジャパン・カレンダーは2018年より世界遺産をテーマにしており、今回で第6回目となります。
氏は知床、白神山地、小笠原諸島、屋久島などといった自然遺産を中心に、四季にあわせて日本の世界遺産を訪ねながら1年かけて撮影しました。
繊細で多様な季節の移ろいを切り取った作品群を、阿波和紙にプリントします。
ステートメント
日本の世界遺産を巡る旅は、紀伊山地で春の雲海を撮ることから始まった。日本では古来、季節を表すのに一年を15日ずつに区切り、二十四節気として季節に名を与えてきた。4月上旬は清明と呼ばれ、あらゆるものが清らかに明るく見える季節。ファインダーの中に浮かび上がる日本の春の風景は確かに輝いて見え、始まりに相応しい季節であった。
季節はここから堰を切ったように目まぐるしく変化していった。穀雨が降り、新緑が芽吹き、梅雨へと続く。夏になると同時に空は高くなり、頬を撫でる風に寂寥感が含まれるようになったと思ったら、秋を迎える。やがて冬が訪れ、雪が世界を浄化するかのように風景を白く染める。カレンダーは12ヶ月で構成されているが、実際には二十四節気に沿って構成しなければ表現しきれないのではないかと思うほど、日本の季節の移ろいは繊細で多様であった。
一年の撮影を終えて、心の中に深く残っている風景がひとつある。それは紀伊山地、熊野古道沿いの伏拝という集落で撮影した一本の桜の木である。まるで世界を祝福するかのように満開の花を咲かすその木の生命力に圧倒され、深く心を揺さぶられた。毎日、何度もこの木の前に立ち、シャッターを切った。それはまるで桜の木と会話しているかのようであり、手を合わせて拝んでいるような心持ちであった。日本では古来、すべての自然に神が宿るとされてきた。私はこの桜の木を通じて、日本の自然信仰の心の在り方を教わったような気がした。
春夏秋冬の撮影の最後、私は再び紀伊山地を訪れ、満開の花を咲かす伏拝の桜の木の前に立っていた。そこで確かに一年の季節が巡ったことを確認し、最後の一枚を撮った。そして日本の四季を巡る旅を終えた。
- ギャラリー名
キヤノンオープンギャラリー1
- 住所
東京都港区港南2-16-
6 - 開館時間
10:00~17:30
- アクセス
JR 品川駅 港南口 徒歩8分
- URL
https://canon.jp/personal/experience/gallery/schedule/shinagawa