ガーディアン・ガーデンで知り合ったフォトグラファー3氏が、アーティスト・コレクティブとして撮影した写真展を開催する。
紹介文
ガーディアン・ガーデンでは「The Second Stage at GG」シリーズの52回目として池崎一世・佐藤麻優子・染井冴香展「whereissheus」(ウェアイズシーアス)を開催します。
池崎一世は、人との関係性や家族のあり方をテーマとする作品で第5回写真「1_WALL」ファイナリストに選出され、佐藤麻優子は、人生に対する焦燥感や等身大の感覚を表現した作品で第14回グランプリを受賞し、染井冴香は空虚な世界を表したインスタレーションで第13回ファイナリストに選ばれました。
本展は、写真家3名のアーティスト・コレクティブによる、ポートレートを中心とした展覧会です。学校、公園、ホテル、自宅近くの森、ニュータウンなど、過去の記憶から連想される場所で場面をセットアップし、自身や互いを被写体に時にはカメラを交換しながら撮影を行いました。写真という共通項から繋がり意気投合した3人が、2019年から緊急事態宣言期間を挟み約2年もの間、対話を幾度も重ね相手の中に自らを見るような体験をしながら、それぞれの視点で制作した作品を展示します。
写真の中に登場する作家自身は、自分ではない他者の役割を演じ、演劇性を内包しています。また家族の中での父、母といった役割や、恋人、労働者、女性、男性、子ども、大人などを示唆することにより、社会規範が求める様々な枠組みに対する強烈な違和感を発しているようにも解釈できます。対話を基に互いの記憶を混じり合わせながら、他者に成り代わり、誰がというわけでもなく撮影をするという一連の行為を写真として実在させることは、それらを肯定も否定もせずただ静かに見ている視点の現れかもしれません。
池崎一世
女子美術大学絵画科洋画専攻卒業。NY市立大学ラガーディアコミュニティーカレッジメンタルヘルス科卒業。第5回写真「1_WALL」ファイナリスト、WEB Gallery 個展「彼らの時間」ガーディアン・ガーデン/東京、Culture Centre参加。
私たちは生活環境も歳もばらばらですが制作における意思決定や計画などを補完し合いながらやってきました。それはアイデンティティーについて考えることになりましたが、これもあくまでわたし個人のセンチメントであって、各自が写真や現場についてそれぞれの思いや考えを持っていると思います。そういった多様な同価値のものの集まりが現実であるような、そんなことをあらためて実感する経験でした。
佐藤麻優子
専門学校桑沢デザイン研究所中退。第14回写真「1_WALL」グランプリ。個展「ようかいよくまみれ」ガーディアン・ガーデン/東京、個展「ようかいよくまみれ」excube/大阪、「代官山フォトフェア2017」代官山ヒルサイドテラス/東京、個展「生きる女」VACANT/東京、グループ展「dix vol.3」QUIET NOISE arts and break/東京、個展「繋がってください」KKAG gallery/東京、グループ展「Culture Centre in flotsam books」flotsambooks/東京。
これはとても曖昧な展示だと思います。写真を通して繋がった、3人の展示です。私達は生い立ちも年齢も性格も考え方も違う人間です。しかし、それぞれがこれまで撮ってきた写真を観たときに、古くから相手を知っていたような、なにか深いところで繋がっているような、不思議な感覚がありました。それが何なのかは、制作し終えた今でもわからないままです。
お互いの記憶や経験が溶け合っていくように感じながら、やはり私達は全く違う人間なのだと境界線を感じながら、それぞれの人生の空間を行き来して、旅するようにして撮影した写真群の展示です。
染井冴香
武蔵野美術大学映像学科メディアアート専攻卒業。第13回写真「1_WALL」ファイナリスト。「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2016」光田由里賞、「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2017」準グランプリ。POST/PHOTOGRAPHY 2020(アートビートパブリッシャーズ)掲載。
2021年3月に15年過ごした家がなくなり、自分の周りにあった環境について以前より考えるようになりました。
育った家やその中の空気や温度、形、それの流れの中にいた人々、木々、母と最後に過ごしたリビング。昔行った海岸、もう多分会わない同級生、私の憧れた色や形。メモをするように撮りました。
- ギャラリー名
ガーディアン・ガーデン
- 住所
東京都中央区銀座7-3-5 ヒューリック銀座7丁目ビルB1F
- 開館時間
11:00〜19:00(日・祝休館 入場無料)
- アクセス
東京メトロ銀座駅 徒歩5分
- URL