ギャラリー コネクション展「Pictures of Hope」が、ブリッツ・ギャラリーで開催される。
紹介文
2000年代に話題になった山田昌弘の「希望格差社会」(2004年刊)では、社会心理学者ランドルフ・ネッセによる「希望とは努力が報われると思うときに生じる、絶望は努力してもしなくても同じだと思うときに生じる」という定義を紹介しています。
同書では、ポスト工業社会への移行がさらに進み、経済格差拡大が希望格差につながり、社会の活力を大きく損なう時代の到来を予言していました。2010年代以降、それは現実となり格差社会はさらに進行しました。そして、今年春にコロナウイルスが世界的猛威を振るい、いまだに感染が終息していません。いま私たちは全く新しい日常への対応を求められています。また地球温暖化による大雨などの気候変動も多発し、多くの人が不幸なニュースに圧倒されて、希望をなくしてしまうような状況だといえるでしょう。
このような時代だからこそ、あえて「Hope(希望)」を思い起こさせる写真をセレクションしてみました。それらは、人間愛、愛情、協力、ハーモニー、ポジティブさを感じさせる、未来志向でダイナミックな写真です。本展の作品は、ネガティブに陥りがちな私たちの気持ちを、ひと時でも新たな視点から見直すきっかけを提供してくれるかもしれません。
本展では、すでに亡くなった20世紀の有名写真家から、現在活躍中の写真家までのモノクロ、カラーによる珠玉の約30点を展示いたします。
(特集) 中村ノブオ「ハーレムの瞳」
いまアフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為に抗議して、非暴力的な市民的不服従を唱えるブラック・ライヴズ・マター (BLM)運動が世界中で注目されています。80年代にハーレムで暮らす人たちの日常を、社会の内側から、デアドルフ8X10”大型カメラでドキュメントした中村ノブオ「ハーレムの瞳」シリーズは、アフリカ系アメリカ人たちへの高いリスペクトが感じられる作品としていま再注目されています。作品が永久保存されているブルックリン国立博物館が最近発行した、ブラックコミュニティーと権利を主張する為に、「みなで選挙に行きましょう!」と呼び掛けるニュースレターにも、中村の作品が紹介されています。
80年代、彼はいち早くアフリカ系アメリカ人の未来への「Hope(希望)」を意識して作品制作を行っていたのです。「Pictures of Hope」展では、中村ノブオ「ハーレムの瞳」を特集します。代表作と貴重な当時にプリントされたヴィンテージ・プリントを展示いたします。
参加アーティスト:
ロベール・ドアノー (Robert Doisneau, 1912-1994)
マイケル・デウィック (Michael Dweck)
エリオット・アーウイット (Elliott Erwitt)
ケイト・マクドネル (Kate MacDonnell)
マーカス・クリンコ (Markus Klinko)
カート・マーカス (Kurt Markus,)
テリー・オニール (Terry O’Neill, 1938-2019)
ノーマン・パーキンソン (Norman Parkinson, 1913-1990)
ハーブ・リッツ (Herb Ritts, 1952-2002)
ウィリー・ロニス (Willy Ronis, 1910-2009)
ジャンル―・シーフ (Jeanloup Sieff, 1933-2000)
デボラ・ターバヴィル (Deborah Turbeville, 1932-2013)
テリ・ワイフェンバック (Terri Weifenbach)
鋤田 正義 (Masayoshi Sukita)
中村 ノブオ (Nobuo Nakamura)
ハービー山口 (Herbie Yamaguchi)
- ギャラリー名
ブリッツ・ギャラリー
- 住所
東京都目黒区下目黒6-20-29
- 開館時間
13:00~18:00(月・火休廊)入場無料・事前予約制
- アクセス
JR目黒駅からバス、目黒消防署下車徒歩3分 / 東急東横線学芸大学下車徒歩15分
- URL