竹之内祐幸作品展「距離と深さ」が、PGIで開催される。
紹介文
遠く離れた場所に行ってしまう恋人に送りたいから、と撮影を頼まれた竹之内は、自分だったらどんなアルバムを作るだろう、様々な場所で撮った風景から小さな小石のような誰かにとってはほんの些細なものまで、ひとつの世界に感じられるようなアルバムが作れたら、と考えました。
本展は5月に開催予定でしたが、COVID-19による緊急事態宣言を受け、今秋の開催と相成りました。奇しくも私たちはコロナ渦の生活で、他者との「距離」について考えざるを得ない経験をしています。作者にとっても、想像ではなく実際に遮断された生活を送ることで、この作品に対する思いを新たにするところもあったでしょう。コロナ禍での生活で撮影した撮り下ろしの新作も交え、アーカイバルピグメントプリント約70点を展示いたします。
ステートメント
カラスをずっと撮っていた頃、いつか白いカラスを撮りたいと思っていた。白いカラスが保護されていると聞いて、真冬の新潟に撮りに行った。檻の中で退屈そうにしているカラスは、カメラを向けてずっと覗き込んでいても警戒することなく、自分はカラスと心が通いあったような気がしていた。数年後、今度は夏に行ってみると、カラスは二羽になっていた。以前と違って今度は檻の中を覗くだけで暴れて逃げるようになっていた。仲間が増えたことで、自分と人間との違いに気付いて、人間が怖くなったのかもしれないと思った。カラスを同じ世界の仲間として撮るのではなく、遠くからそっと見守るように、檻の隙間から撮影した。
友人に、離れ離れになってしまう恋人との写真を撮ってほしいと頼まれた。一緒にいた時間を忘れないように、アルバムにして渡したいと言われて、自分だったらどういうアルバムを作るだろうと考えていた。いろんな場所で撮った小石や動物や風景が、まるでひとつの世界に感じられるようなアルバムが作れたら、壁の向こうにある知らない世界や、新潟の白いカラスに、遠く離れていてもどこか深いところで繋がっていることを伝えられる気がした。
竹之内祐幸
- ギャラリー名
PGI
- 住所
東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F
- 開館時間
11:00〜18:00(月〜土)
- アクセス
東京メトロ 神谷町駅 徒歩10分 都営大江戸線 赤羽橋駅 徒歩7分
- URL