2025年12月、港区の六本木スタジオにて、フォトグラファーの五十嵐隆裕さんのワークショップ「ロクスタアカデミー」が開催された。

会場となった六本木スタジオ
https://www.roppongi-st.co.jp/
私も参加をしたので、少しだけ記録と報告を兼ねて書いてみた。
五十嵐さんは、広告や雑誌で活動されているフォトグラファーで、最近は映像も手がけている。
「SHOOTING」でも、撮り下ろしを依頼したことがあり、プロフォトのストロボを使い、液体や粉体を絡ませた瞬間を切り取る、という企画だった。
五十嵐隆裕 x Profoto「Pro-D3 & ハードリフレクター ホワイト」
https://shooting-mag.jp/interview/17094/
どのような撮影でも、撮影前に様々な打ち合わせをするのだけれど、五十嵐さんの場合は「この機材を使ってどう撮る」という以前に、まず「何を表現したいのか」「伝えたいのか」という思いからはじまる。
機材やライト(光)の前に、その前提となる長いステートメントをいただき、スタートから大きく違っていたのがとても印象的だった。
「SHOOTING」での撮り下ろしインタビュー記事公開後に、プロフォト主催でワークショップを開催。そして今回、「5回シリーズ」として「ロクスタアカデミー」が開講。当日はその第一回「Loop」が開催された。
白ホリスタジオの撮影は「ゼロ」から「イチ」を作る仕事
広告や雑誌の撮影をしているフォトグラファーにとって、「外ロケ100%」という人はかなり少ないだろう。撮影を仕事にしている以上、白ホリ系やバック紙を使ったスタジオでの仕事は普通にある。
当たり前だが、入ったばかりのスタジオには「光がない」。スタジオというのは「ゼロ」から自分なりの光を作って、被写体と向き合う場所である。
広告や雑誌の場合、撮影にはクライアントがいて目的があるわけだが、その「目的」と「被写体の特徴」、そして「自分の意向」。この3つを最大化した撮影ができるかどうかで、その人の仕事の評価にも繋がってくる。撮影のクオリティを向上させていくためには、考え方(理論)と技術は両輪であるはずだ。
このアカデミーは、「雰囲気がカッコいい写真」とか「何となくキレイ」といった感覚で行っていたライティングを、「学問として理論的に学ぶ」というところからスタートしている。

まず、太陽をつくる
五十嵐さんは冒頭、「スタジオライティングにとって一番大事なものは何か」と参加者に問いかける。様々な回答が出る中での答えは「まず、太陽をつくる」ということ。
つまり「キーライト」から作るということだ。
スタジオに入ると、傘トレでバックの「白飛ばし」から作りはじめてはいないか? それよりも、まず重要なことは、「被写体にどのような光をあてるか」ということだ。
しかし、日本の学校やワークショップでライティングを教わる際、講師の方はまず「ソフトボックス」を出してきてはいないだろうか。傘(アンブレラ)に、トレペを貼って、被写体の前に1灯立ててはいないだろうか。。
太陽と同じで、まずは被写体に直射で当てる。五十嵐さん曰く「デュフューザーは曇りの陽」であって、どのような光が適しているかはまず直射を当ててから。ディフューズはバウンスはあくまでもそこからのアレンジである。

蝶形骨を観察することからの対応
人間の顔には輪郭を形成する「蝶形骨」という骨がある。人それぞれの形であり、そこに当てる光の角度は非常に重要になる。
五十嵐さん曰く「ベストと思えるポイントは狭い」。肌の質感、シャドウ部の落ち込み、テカリ、ほうれい線…。様々な要素をクリアできるポイントはその一点しかない。そこを見切ることで写真のレベルを上ていける。


参加者も撮影しながら、現場を見ながら学べる実践アカデミー
細かく書いていくのは控るが、このアカデミーは、五十嵐さんの一人トークセミナーではない。参加している方々は、疑問点やわからないことがあれば、いつでも質問できるというのが利点だ。
話を聞いている中で、今の説明がわからなくて後で聞こうと思っても、「どうしようかな?」「改めると聞きづらいな」と、質問熱も冷めかねない。
「その場ですぐに聞ける」フラットな空間を作っているのも、五十嵐さんが醸し出している「僕自身も含め、みんなで学ぼう!」という空気感が寄与していると思う。
また後半では参加者が光を動かして撮影する「参加型ミニ体験」の時間、また「Loop」の応用編、質疑応答、懇親会と続く。
ポートレートの基本ライティングは、バタフライ、レンブラント、ループ、スプリットとあるが、もう1種類を含め、5回シリーズとして実践的な学びができる。次回は2026年2月頃の予定だ。
ロクスタアカデミー
主催:六本木スタジオ
https://academy.roppongi-st.co.jp/
協力:SIGNO
協賛:プロフォト/テイク/EIZO/ライトアップ
機材協力:ニコンイメージグジャパン

五十嵐隆裕
1980年東京生まれ。
日本写真芸術専門学校を卒業後、2001年アリゾナ州ツーソンへ渡り、その後カリフォルニア→ニュ ーヨークへ。Brooks Institute、I.C.Pを卒業後、リチャード・アヴェドン・ファンデーションでのインターン、伊島薫氏の助手を経て2014 年(株)ゴーニーゼロ設立。2016 年(株)シグノ所属。国内外作家の器のギャラリー「FOOD FOR THOUGHT」のオーナーでもあり、工芸全般に造詣が深い。
https://signo-tokyo.co.jp/artists/takahiro-igarashi/
https://www.instagram.com/520_igarashi/
SHOOTING編集長・フォトプロデューサー
坂田大作
Web Magazine「SHOOTING」編集長。株式会社ツナガリ代表。フォトディレクター、エディター、プロデューサー。
Webサイトを運営する傍ら、書籍「SHOOTING PHOTOGRAPHER + RETOUCHER FILE」を15年連続で発行。アマナトークラウンジや、日本最大の写真イベント「CP+」で毎年多くのステージを企画・登壇するなど、「写真」を軸に、ウェブ、出版、トークイベント等、メディアの垣根を超えて活動している。
2021年11月より、写真家らと組んで「NFT Art作品」の販売をスタート。「普遍的な作品の価値」を追求している。
https://shooting-mag.jp/
https://shooting-nftart.com/








