土田ヒロミ個展「Hiroshima Monument」が、ふげん社で開催される。
開催概要
戦後80年となる今年、土田のライフワークのひとつである「ヒロシマ・モニュメント」シリーズの決定版の写真集がふげん社から刊行されたことを記念した展覧会です。
土田ヒロミは、1939年福井県生まれの写真家です。デビュー以来、批評のまなざしと好奇心を持って、カメラを通して日本の時代の変遷を見つめ、記録し続けているドキュメンタリストです。
80年前の1945年8月6日、広島市に原子爆弾が投下されました。広島市内には、原爆投下による壊滅的な破壊をくぐり抜け、現在まで永く生き続ける事物――建物、橋、樹木、石碑が点在しています。本作「ヒロシマ・モニュメント」は、土田が市内に点在しているそれら48箇所の事物=「モニュメント」を、1979年から2025年までの45年間に、およそ10年ごとに定点撮影した4連の写真を集成したものです。本作は、被爆者取材を行った「ヒロシマ 1945-1979」や、被爆資料を取材した「ヒロシマ・コレクション」、とともに構成されている「ヒロシマ三部作」は、作家のキャリアおいて最も重要なシリーズです。
決定的な事象が風化し忘却されつつある過程における長期的な定点観測には、現在が常に過去や未来との連なりの中にあることを可視化し、目まぐるしく変動する未来をも予測することができるのではないか、という作者の考えがあります。
この大きなプロジェクトは、広島という「街そのものが『世紀のモニュメント』として記憶されなければならない」という作者の強い意識から始まり、戦後80年を迎えた今、戦後100年、200年、さらなる未来へつながるメッセージがこめられています。
写真集『Hiroshima Monument』は、ほぼ同時期に刊行される『Hiroshima Collection』(NHK 出版)と合わせ、菊地敦己氏が両書のデザインを担当しています。本書『Hiroshima Monument』には、伊藤俊治氏によるテキスト「零時のモニュメント」、作品リストを収録。1995年刊行の『ヒロシマ・モニュメント II』(冬青社)から30年後に刊行された「ヒロシマ・モニュメント」シリーズの決定版となる本書を、展覧会と合わせてぜひご覧いただければ幸いです。
土田ヒロミ/Hiromi Tsuchida
1939年福井県生まれ。福井大学工学部卒業。ポーラ化粧品本舗退社後、フリーランスに。1971-96年、東京綜合写真専門学校教職。2000-13年、大阪芸術大学教授、現在非常勤講師。各種審査委員をつとめる。1975年から40年間、撮影しつづけた被爆地ヒロシマのほか、高度経済成長やバブル経済、祭礼や土俗文化などのテーマによって、変貌する日本の姿を表現してきた。代表作に「自閉空間」(’71太陽賞)「ヒロシマ1945-1978」(’78伊奈信男賞)「ヒロシマ」(’84日本写真家協会賞)「土田ヒロミのニッポン」(’08土門拳賞)。その他、写真集に『俗神』(’76)『砂を数える』(’90)『BERLIN』(’11)など。作品は東京都写真美術館、東京国立近代美術館、ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センター、カナダ国立美術館、テート・モダン等、各地の美術館にコレクションされている。
2022年日本写真協会賞功労賞受賞。

楠の木(基町住宅団地)1979,1993,2010,2019 ©️ Hiromi Tsuchida

橋(荒神橋)1979, 1990, 2010, 2025 ©️ Hiromi Tsuchida

建物(福屋デパート)1979,1993,2010,2019 ©️ Hiromi Tsuchida
- ギャラリー名
ふげん社
- 住所
東京都目黒区下目黒 5-3-12
- 開館時間
火〜金 12:00〜19:00/土・日 12:00〜18:00 休廊:月曜日 夏季休業(8月11日〜8月18日)
- アクセス
JR 目黒駅 徒歩15分 JR目黒駅 西口より東急バス(黒01 黒02 黒07)「元競馬場前」下車 徒歩1分
- URL