木村和平 写真展「IRON RIBOON」が、THE BOOK ENDで開催される。これは同名の写真集との連動企画展。
ステートメント
近年取り掛かっているシリーズ『石と桃』の写真の多くは、パートナーとの旅行で訪れた老舗のホテルで、コンテに応じてセットアップで撮影しています。本作『Iron Ribbon』は、その制作のあいまに撮影した写真を中心に構成されました。私たちはクラシカルなホテルが好きで、旅行先をどこにするかは、その街に好みのホテルがあるかどうかで決まります。名所や食事、風景よりも、ホテルが優先なのです。
まだ写真をはじめる前のこと、ファッションに夢中だった10代のころに、通っていたセレクトショップでひとつのチョーカーと出会いました。それは鉄でできたリボンでした。言葉のまま、鉄をリボンの形状に曲げてチョーカーに仕上げられたもので、中場信次さんの作品でした。見た目はしなやかで可愛らしいのに、触ると硬く、鋭利で、冷たい。当時の私にとってはとても高価なものでしたが、その相反する性質の共存に強く惹かれ、迷うことなく購入しました。
10代のころに購入したものの中には、好みが変わっていく過程で手放してしまったものも多くあります。けれどこの鉄のリボンは、手放すという選択肢はなく、大切に手元にのこしています。手にした時からずっと、同じ熱量で好きだからです。
私のパートナーは、鉄でできたリボンのようなひとです。彼女の長い髪と、静かな背中をみているとそう思います。普段はほんわかとマイペースに見えますが、いつだって冷静で、独自の品と意思の強さがあります。その性質の共存に、私は魅力を感じています。
木村和平/Kazuhei Kimura
1993年、福島県いわき市生まれ。東京都在住。第19回写真1_WALLで審査員奨励賞(姫野希美選)、IMA next #6「Black&White」でグランプリを受賞。主な個展に、2022,23,24年「石と桃」(Roll)、2020年『あたらしい窓』(BOOK AND SONS / book obscura)、2019年『袖幕 / 灯台』(B gallery)、主な写真集に、『IRON RIBBON』(libraryman)、『あたらしい窓』(赤々舎)、『湖awaumi』(daughter)、『NEW GENTLEMEN』(IMA photobooks/ GUCCI)、『袖幕』『灯台』(共にaptp)など。
- ギャラリー名
THE BOOK END
- 住所
兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-5 海岸ビルヂング 302
- 開館時間
11:00〜18:00(火・水曜定休)入場無料
- アクセス
JR 元町駅 徒歩5分
- URL