三好耕三 作品展「童夢 Childhood」が、PGIで開催される。
開催概要
三好耕三は、1970年代に写真家としてのキャリアをスタートさせ、これまで非常に多くの作品を生み出してきました。2009年からは、16×20インチの超大型カメラを使用し、旅と撮影を続けています。
本作では、前作「井戸覗き Dig a Well」同様、これまでシリーズにまとめることのなかった作品をご覧いただきます。古くから伝わる祭りや桜、林檎などの撮影対象を目指し、1-2週間、長い時は一ヶ月の旅を幾度となく重ねてきました。そしてその旅の途上では、ふと出会った光景や人々にカメラを向けることもあり、それら一期一会の出会いは三好にとって大切な旅の一部として記憶されているのです。
お幼い頃見た夢をふと思い起こすことがあるように、ここに記録された人々は見る人の深層意識に呼びかけてきます。
作品は2008年から2024年までに16×20インチの大型カメラで撮影し、密着プリントされた作品、約25点をご覧いただきます。
童夢 Childhood
⼜、遠い昔の話だ。
週末になると、でも毎週末ではない。多分その頃、週⽇とか週末とかの認識はなかった。その⽇⼀⽇が総ての⼀⽇だった。年に⼆度やって来るお祭りの時以外、⼈気がないお不動さんの境内に、雷のオヤジと呼ばれていた紙芝居がやって来た。どうして雷のオヤジと呼んでいたかは定かではない。他所の町の紙芝居は拍⼦⽊を打って⼦供達にやって来たことを知らせていた気がする。でも、このオヤジは太⿎を鳴らして⼦供達に来たことを知らせていた。だからかも知れない。多分五円か⼗円で、ソース塗り煎餅、⽵棒に巻いた⽔飴を買う⼩遣いがある⼦供達が紙芝居を⾒ることが出来たのだ。
思うに紙芝居は有料の出し物だったのだ。出し物の⻩⾦バットやクイズよりも、このオヤジはどこから来て、どうしてこの仕事をしているのか、不思議に感じていた。暫くして、出現するテレビジョンよりも不思議な存在だった。何よりこのオヤジに興味があったのは、その⽇⼩遣いがない⼦供にも少し離れた場所からだったら⾒せてくれたことだった。地⾯に線を引いて差別をするわけでもない、でもしっかりと区別はされていた。幼稚な⼦供⼼に、よれた⻨わら帽⼦の、皺だらけの⽇焼けした、雷のオヤジの仕様が好きだった。思い起こせば、成⻑の節⽬節⽬に出会う何⼈かのヒーローがいた。このオヤジは⼀番最初のヒーローだったかも知れない。なにかの拍⼦に今だにふと思い起こすことがある。
三好耕三
近年の主な個展に「井⼾覗き Dig a Well」PGI (2022 年)、「SHASHIN 写真」キヤノンギャラリーS(2021 年)、「櫻 SAKURA」PGI (2020 年)、「On the Road Again &YUBUNE」BOOKS f3(新潟 2020 年)、「繭 MAYU」PGI (2019 年)、「繭 MAYU」PGI (2018 年)、「On the Road Again」PGI (2017 年)、「RINGO 林檎」PGI (2015 年)、「SABI」フォト・ギャラリー・インターナショナル<以下 P.G.I.>(2013 年)、「1972〜」gallery916 (2013 年)、「YUBUNE 湯船」P.G.I. (2012 年)、「櫻」1839 當代画廊 (台北 2011 年)、「SEE SAW」P.G.I. (2010 年)、「SAKURA 櫻覧」P.G.I. (2009 年)、「津々浦々」P.G.I. (2007 年)、「Tokyo Drive 東京巡景」P.G.I. (2006 年)、「Seagirt 海廻り」P.G.I. (2004 年)、「SAKURA 櫻」P.G.I. (2003 年)、「CAMERA 写真機」P.G.I. (2002 年)、「Tokyo Street 横丁」P.G.I. (1999 年)、「In The Road」P.G.I. (1997 年)。
グループ展多数。
- ギャラリー名
PGI
- 住所
東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F
- 開館時間
月~土 11:00~18:00 日・祝日休廊
- アクセス
東京メトロ 神谷町駅 徒歩10分 都営大江戸線 赤羽橋駅 徒歩7分
- URL