永坂嘉光写真展「空海 永坂嘉光の世界」が、キヤノンギャラリー Sで開催される。
長年にわたり、高野山をライフワークとして撮り続けている永坂さんが、空海ゆかりの地を撮影した作品を展示する。
ステートメント
私は、空海によって開かれた高野山で生まれました。串田孫一『季節の断章』等に影響を受けて、自然の気配を感じとりながら、見えるものとの対話をテーマに、地元高野山での撮影に日夜を過ごしました。樹々や堂塔など、同じ被写体を時や光の方向を変え、その移り変わりを黙視します。
1本の樹木でもその喜怒哀楽を感じて撮影していきます。なかには、2度とチャンスがない素晴らしい一期一会の出会いもありました。静寂さを求めるなら、人のいないときや、雨上がりを狙って撮影に行きます。時には台風の最中にも。それが私の創作の原点です。たなびく雲海や山深い高野山独自の四季の移ろいなど、この地に住む者ならではの独自の表現と思っています。
中国から密教を伝えた空海は、五大(地・水・火・風・空)からなる森羅万象にはみな響きがあるという言葉を残しています。私も大自然の中に身を置いて、見えるものと対話し、語りかけてくるものを聞いて撮影を続けてきました。作品から、人知を超えるものを感じていただければ幸いです。
永坂嘉光
1948 年、和歌山県高野山生まれ。大阪芸術大学卒。1970 年頃から高野山の撮影を始め、密教の源流を巡ってインド、中国、ブータンなどアジア各国を取材。日本の霊山や秘仏も数多く取材し、宗教と文化をテーマにしたスピリチュアルな映像表現で知られる。2002年、アメリカ・カーメルのウェストン・ギャラリーで個展「Echoes of the Spirit」開催後、同所で作品を常設展示。主な写真集に『弘法大師の足跡』(同朋舎出版)、『高野山千年』(ぎょうせい)、『永遠の宇宙―高野山』『空海の歩いた道』『天界の道-吉野・大峯 山岳の霊場』『空海 千二百年の輝き』(ともに小学館)など。大阪芸術大学教授として、長年写真教育の現場に携わる。日本写真芸術学会芸術賞、日本写真協会作家賞、和歌山県文化功労賞、地域文化功労者文部科学大臣表彰などを受賞。
- ギャラリー名
キヤノンギャラリー S
- 住所
東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー1階
- 開館時間
10:00〜17:30 日・祝休館
- アクセス
JR 品川駅 徒歩約8分
- URL