外部に開かれた生としての生き延びについて考える展覧会シリーズ、Kanzan Curatorial Exchange「生き延び」 Vol.2 として、喜多村みか「revenant」が、kanzan galleryで開催される。
紹介文
本展覧会は、初の写真集『Einmal ist Keinmal』(2013)からちょうど10年を経た今年、これまでの10年間を振り返りながら、喜多村が変わらず写真で捉えようとしてきたものをキュレーターとの共同作業において再考し、これからに向けた新たな出発点となるようなものを目指すものです。個展のタイトル「revenant」は「亡霊」と「回帰するもの」の両方の意味を備えています。異なる時期に異なる場所で撮影された写真たちは、再解釈され、未発表の作品とともに提示されることで新たな生を獲得します。
喜多村はこれまで、よくわからないもの、理解を超えたもの、予見できない出来事など、いわば「他者」に眼差された瞬間の感覚を頼りに、それがやって来る方向にレンズを向けてきました。喜多村の写真には家族やその日常は写されてはおらず、無限遠の雄大な風景もありません。すべてがその中間の、プライベートな距離を超えた、しかし遠くには行かないある帯域において「他者」からの眼差しを捉えています。そのため被写体が統一されているわけでもなければ、絶対的な撮影距離も異なっていますが「時間的な距離」は同じだとも言えるでしょう。加えて、このシリーズがいわゆる「日常写真」と異なるのは、それが「いま・ここ」の記録性を一義的に目指したものではなく、「他者」に対しそれぞれの単独性/特異性を尊重しながらまるで祈るような態度で臨むことにあるでしょう。
未来を計画可能なものとして想定し、自分の意志で世界をコントロールできるようなものとして捉える風潮の現代だからこそ、いつどこからやってくるかもわからない「他者」に晒され「他者」に対して開かれていることで生き延びるような作品を、この機会に是非ご高覧ください。
喜多村みか
1982年 福岡県糸島市生まれ
2005年 東京工芸大学 芸術学部 写真学科 卒業
2008年 東京工芸大学 大学院 芸術学研究科 メディアアート専攻写真領域 修了
主な個展
2020年 「TOPOS」PORT ART & DESIGN TSUYAMA(岡山)LIBRIS KOBACO(福岡)
2019年 「TOPOS」Alt_Medium(東京)
2017年 「meta」Alt_Medium(東京)
2014年 「DEEP POOL GUIDE」百年(東京)
2013年 「Einmal ist Keinmal / my small fib」テルメギャラリー(東京) / ブックスキューブリック(福岡)/ prinz(京都)
2005年 「Einmal ist Keinmal」新宿・大阪ニコンサロン (東京・大阪)
作品集
2013年 写真集『Einmal ist Keinmal』/ 帯・序文:飯沢 耕太郎 / 出版:Therme Books
- ギャラリー名
Kanzan gallery
- 住所
東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル2F
- 開館時間
[火曜-土曜]12:00〜19:30[日曜]12:00〜17:00 月曜定休/入場無料
- アクセス
JR 馬喰町 徒歩3分 都営新宿線 馬喰横山駅 徒歩4分
- URL