山谷佑介・松川朋奈による二人展「at home」と、沢渡朔の個展「Rain」が、ユカ・ツルノギャラリーで開催されている。

紹介文
山谷佑介と松川朋奈の新作で構成される「at home」は、「家」に象徴されるような私的な日常空間に浮かび上がる、人間の営みの痕跡に焦点を当てた展覧会です。一方、沢渡朔の「Rain」は、カメラを持つ手に蓄積された時間の中、雨の情景を敢えて無意識に撮影してきたプライベートワークとなります。

国内外を放浪して様々なアンダーグラウンド・コミュニティで過ごす中で写真を実践してきた山谷は、はかない日々を捉えたストレートなスナップ写真「Tsugi no yoru e」、ライブハウスやクラブの床に原寸大の床写真を貼り、アルコールや靴跡などの痕跡を記録した「ground」、有効期限が切れたポラロイドフィルムを使ったポートレート「Usebefore」など、様々な角度から写真にアプローチをしてきています。本展覧会では、「箱」として立ち現れる家を、赤外線カメラで外部から撮影した新シリーズを発表します。昨年、新婚旅行を記録した作品を発表するなど、家庭を持った山谷は、無機質であるにもかかわらず、住人とともに変化し続け、人間の営みと切り離すことができない「家」に興味を持ち始めます。しかしながら、不可視光線に反応する赤外線カメラを使っても、厚い壁で仕切られた家の中はもちろん覗くことはできません。そのような「箱」としての家を、覗き込むことのできない諦めと、それでもなお人間の営みを覗いてみたいという欲求とともに、人間の痕跡らしきものを捉えることの可能性を探求します。

一方、松川朋奈は一貫して、同世代の女性たちの癖や生活習慣などが、身の回りの事物に「痕跡」として残されていること注目しています。近年はインタビューを重ね、その中で印象に残ったフレーズを作品の主題およびタイトルとし、彼女たちの持ち物や身体を写実的な表現方法を用いた絵画として再構成しています。踵の傷ついたハイヒールや、脱ぎ捨てられたワンピース、身体の傷など、日常生活の中でうまれる破損、形の崩れ、傷跡といった痕跡は、一般的にあまり好まれないものとして受け取られていますが、松川は、それらに表れる人間性や人間の内面に関心を寄せています。事物の忠実な再現をするのではなく、モチーフのクローズアップや筆跡を残さないフラットで美しい表面など、絵画上で再構成することで、これら人間性の影である残痕を新しい価値へと転換させることを試みています。

山谷佑介
1985年新潟県生まれ。立正大学文学部哲学科卒業後、外苑スタジオに勤務。その後、移住した長崎で出会った東松照明や無名の写真家との交流を通して写真を学ぶ。近年の展示に「KYOTOGRAPHIE」(2015年、無名舎、京都)、「Yusuke Yamatani: Recent Works」 (2015年、アリソン・ブラッドリー・プロジェクツ、ニューヨーク)、「Four From Japan」(2015年、 コンデナスト、ニューヨーク)、「東京国際写真祭」(2015年) など。写真集・モノグラフに『Tsugi no yoru e (2nd ver)』(YUKA TSURUNO GALLERY)、 『ground』(lemon books)、『RAMA LAMA DING DONG』(self published)、『Use Before』(a0)など。

松川朋奈
1987年愛知県生まれ。2011年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。近年の展示に「シェルアーティストセレクション」(2013年、国立新美術館、東京)、「クウキのヨメナイ、ワタシたち」(2013年、CAPSULE gallery、東京)、「Artist Meets 倉敷vol.12 松川朋奈」(2016年、大原美術館、岡山)など。ホルベインスカラシップ(2010年)、福沢一郎記念賞(2010年)を受賞。現在、「六本木クロッシング 2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、東京)に参加中。

展示会風景


Yusuke Yamatani 山谷佑介
house#001, 2016, chromogenic print
 

Tomona Matsukawa 松川朋奈
I still think of it「今でも時々思い出すの」, 2016, 80.3 x 116.7cm, oil on panel


Hajime Sawatari 沢渡朔
Rain, 2016, pigment print

展示会情報

YUKA TSURUNO GALLERY
http://yukatsuruno.com/

ギャラリー名
YUKA TSURUNO GALLERY
住所
東京都江東区東雲 2-9-13 2F
開館時間
火〜土 11:00〜19:00
アクセス
りんかい線 東雲駅 徒歩3分