横木安良夫写真展「Day by Day」が、ブリッツ・ギャラリーで開催される。

同ギャラリーでは「Glance of lens (レンズの一瞥)」以来4年ぶりの個展となる。

本展は2006年に発表された「Teach Your Children 1967-1975 あの日の彼 あの日の彼女」の続編。同作は、当時の若者文化をコミュニティーの内側から撮影した団塊世代の青春グラフィティー。

前回は学生時代から写真家キャリアを開始した時期までの作品だったが、今回は1975年にアシスタントを経て写真家として独立した以降の70~80年代までの作品から約20点を展示。全作が横木さんによりプリントされた銀塩写真となる。

ステートメント
ぼくの父はアメリカ人、母は日本人だ。ぼくは混血児ということになる。もちろん文化的な話であって、実の父母は日本人だ。
通っていた幼稚園は、大正時代に日本に渡ってきたルーテル派の、筋金入り女宣教師、エーネ・パーラスが経営をしていた。戦後再来日し兵舎を改造した天井の高い木造の園舎、そこにはアメリカから寄付されたピカピカの玩具が溢れていた。そこでぼくはクリスマスの降誕劇を5歳でヨセフ、6歳では博士(3賢人)を演じ「私は乳香をさしあげます」というセリフまで言った。
小学校に入る頃、家にテレビがやってきた。毎日のようにアメリカのホームドラマが放送されブラウン管にかじりつき、アメリカ的民主主義のプロパガンダに洗脳された。
小学校4年が60年安保だった。ニュース報じられる安保反対のデモ。樺美智子の死が記憶に残り、初めてアメリカは正義ではないと知った。
高校生の時ブラスバンド部に入る。毎日アメリカのマーチ王スーザの行進曲を演奏した。「星条旗よ永遠なれ」「忠誠」「エルキャピタン」などなど。そんな時ケネディ暗殺が飛び込んできた。物質文明の王者アメリカは恐ろしい国に思えた。
大学では写真を学ぶ。時は泥沼のベトナム戦争真っ最中。反戦はあたりまえ。世界中で学生が立ち上がった。ぼくはデモに参加し安保反対を叫び、そして写真を撮った。
その頃アメリカの違う側面に出会っていた。それはかつてプロパガンダされたアメリカ精神ではなく、そこから生まれた、いやその闇から産み落とされた、ブルース、ジャズ、フォーク、ロックといった音楽で象徴されるようなアメリカ深部から生まれた文化とエネルギーに惹かれてゆく。
ぼくは本格的に写真を撮り始めていた。ぼくの記憶のなかのアメリカ的風景と、目の前の日本の風景とのミックス。まさに写真を撮ることは、自分の混血性を実証することだった。撮っている時たしかに「カッコイイ」という表現を使っていた。それは木村伊兵衛のいう「粋だね」に近いかもしれない。それは決して美しいだけではない。モダンでもない。日本的情緒とアメリカ的ドライさがミックスしたものだ。
写真は誕生した時から、何も産み出してはいない。新たなものを創造することもない。さまざまな実在にレンズを向け、シャッターを切る。それは単なるサンプリング、本物の顔をしたイリュージョンだ。混血児であるぼくにとって写真ほど、気分良くその本質を具現できるメディアはない。
横木安良夫

展示会風景


"Yokosuka, 1969" © Alao Yokogi
 

"California, USA, 1976" © Alao Yokogi


"Foreign lady and her bicycle, Shibuya, Tokyo, 1980" © Alao Yokogi


"Three old graceful tourist, Waikiki, Hawaii, 1973" © Alao Yokogi


"Street worker, Hong Kong, 1976" © Alao Yokogi
 

展示会情報

ブリッツ・ギャラリー
http://www.blitz-gallery.com/

ギャラリー名
ブリッツ・ギャラリー
住所
東京都目黒区下目黒6-20-29
開館時間
13:00~18:00
アクセス
JR目黒駅からバス、目黒消防署下車徒歩3分 / 東急東横線学芸大学下車徒歩15分