National Portrait Gallery 主催のポートレイト写真の公募の賞が今年も発表されました(この賞に関しては永井氏のコラムをご参照ください。http://shooting-mag.jp/column/masashinagai_archive/vol10.html)。

例年はプリントでの申し込みだったため、締め切り前はロンドン中の現像所はてんやわんやになりましたが、今年から1次申し込みがデジタル提出となりました。

公募に申し込むカメラマンからすれば、プリントはお金がかかるので(参加費も大変高いです!)デジタルでの提出は大変ありがたいことですが、1年に一度自分の写真の大きなプリントを見ることのできるチャンスでもあったので少し残念でもあります。
 
こうした流れも関係あるのか、ロンドンでは今またフィルムの撮影のブームが来ているように思います。フィルムで撮影された写真のみを掲載するPYLOT magazine(http://www.pylotmagazine.com)などフィルムに特化した動きも多く見られます。今回はそんなフィルム撮影に欠かせないロンドンの現像所をご紹介したいと思います。
 
Rapid Eyeはロンドンの老舗の現像所で、特にプリントの職人の技が高いことで常に定評を得てきました。このデジタルの時代にも負けず元気に頑張っている活気のあるRapid Eyeの生き残りの術はどんなものなのでしょうか?
 
スピード:デジタル・コンタクトシート(ベタ焼き)
フィルムを現像所に出した後、メールでデジタル・コンタクトシートが届きます。これをそのままクライアントに送ることができるのでデジタルでの撮影と同じスピードで、またはそれよりも早くセレクトができます。もちろん、プリントのベタ焼きもしてもらえるので、ライトボックスを見ながらゆっくりセレクトもできます。
 

プリントのクオリティ:匠の技
ここでは担当のプリントする人が決まっていて、責任を持って仕上げてくれます。自分の好みをわかってくれる人にいつもお願いできるので助かります。プリントも1枚ではなく2,3枚焼いてくれるので好みのものが選べます。また私が一番びっくりしたのは、プリントをしてくれたプリンター本人から電話がかかってきたこと。

プリントがどうなったのか、どれを選んだのかなどアフターサービスも素晴らしいです。丁寧な心遣いと技術の高さに脱帽です。締め切りなどがある場合はプリンターを予約してプリントをお願いすることもできます。
 
ワークショップ:暗室
Rapid Eyeで特に素晴らしいのはワークショップに力を入れていることです。
プリントのワークショップは週末もやっているので普段仕事をしている人でもプリントに挑戦できます。プリントの量も好きなだけできて、時間もたっぷりあるのでじっくりとプリントができます。

先生が教えてくれつつ、提案をしてくれながらも見守ってくれるようなスタンスというもの面白いと思いました。
ワークショップの内容も今後プリントを続けていけるようにということを前提としていて、そういったカメラマンへのサポートの心意気もしびれます。 暗室のみのレンタルもしていて、時間内はプリントし放題です。


この現像所から伝わってくるのは「フィルムを盛り上げよう」というエネルギーと技術の高さ、カメラマンとの距離の近さだと思います。日本では東京写真美術館などがワークショップを行ったりしていますが、プリントの体験ができるだけではなくプリンターの方から技術を伝授してもらえるという機会があるということも、この現像所の最大の強みだと思います。

デジタルに対抗すると同時にフィルムの良さを融合させ、今までの技術も引き継ぐという大きな役割を担っているのが、美術館でも教育機関でもなく地元の現像所というのがいかにもロンドンらしいです。
 
私がお願いして公募に出したプリントは一度も入選しませんでしたが、その度に来年こそ入賞だよーと励ましてくれるRapid eyeがこれからも末長くロンドンのカメラマンに愛されることを願うばかりです。